教育

2022年11月 6日 (日)

mindset / Changing the way you think to fulfil your potential

Dsc_0031

Amazonへのリンク

教育関連の洋書で"mindset"という言葉がよく出てくるので気にはなっていたのですが、先日YouTubeで観たGuy Kawasaki氏のTEDでの講演でも本書がお勧めされていたので、読んでみることにしました。渡辺由佳里さんの「洋書ベスト500」にも掲載されています。

mindsetには、fixed mindsetとgrowth mindsetとがあり、前者は「能力は生まれ持ったものであり、努力で改善できる余地は少ない」という考え方で、後者は「能力は生まれ持ったものという側面もあるが、適切な努力で向上させることができる」という考え方です。著者のCarol S. Dweck氏は、大人も子供もgrowth mindsetを持つことで自分の可能性を最大限生かすことができる、と主張しています。

とはいっても、人は、fixed mindsetの人とgrowth mindsetの人に明確に分けられる訳ではなく、殆どの人は両方の側面を持っているとのことです。各人にとってfixed mindsetになりやすい場面というのがそれぞれあり、そういう場面になったら、まずは「fixed mindsetになっている自分自身」を否定せず受け入れ、そういう自分と対話しながら、growth mindsetを持って少しずつチャレンジしていく必要があるとのことです。一度上手くいっても、油断をしていると直ぐにfixed mindsetが表れてきがちなので、継続した努力・意識が必要とのことです。

また、指導教育する人たち(親や先生やコーチ)は、子供や生徒や選手がgrowth mindsetを持てるような環境作りをしていく必要があるとのことです。例えば…

・子供等が何か上手くいった、成果を上げた時には、その人の才能を褒めるのではなく、その人の努力の過程、戦略、工夫等を評価する。

・子供等が何か上手くいかなかった、失敗した時には、その人がどのような努力をしたかに関心を持つと共に、失敗から何が学べるか、次はどんな戦略、工夫等をしたら良さそうか、子供等と一緒に考える。

・人の能力は、今の能力を少し超えたチャレンジをすることで少しずつ伸びていくという事実を、ことあるごとに伝えていく。

・自分自身も、能力を向上させる為に絶えず学ぶ姿勢を持ち、その姿を子供等に見せる。

といったような働きかけをすると良いそうです。

その他、印象に残った箇所としては、

・fixed mindsetの人が経営者になると恐ろしい。自分の優位性・優越性を守る為に、自分より優秀そうな人を退けたり、自分の意に沿わない意見に耳を貸さなくなったりして、次第に会社がおかしくなっていく。

・理数分野でのジェンダーギャップの要因としては、「女性は理数系が苦手であるといったステレオタイプ」や「女性の、他人の自分に対する評価を信頼しがちな傾向」といった要因のほかに、「理数系の才能は生まれ持ったものである(努力では向上しない)と考えるfixed mindset」も挙げられる。

・夫婦関係においてもgrowth mindsetは大事である。自分にとって気になる点が皆無のパートナーなんていない、自分やパートナーの性質は適切な努力により少しずつ変えていくことができるという認識の下、自分の気持ちをパートナーに丁寧に伝えつつ、パートナーの話にも耳を傾けて、お互いに歩み寄っていくことが大事である。

・認知療法は一定の成果を上げているが、現状を客観的に認識することが主題であり、fixed mindsetからgrowth mindsetへ導くようなものではない。(私が生きていくうえで認知療法の考えはとても役立っているのですが、そのような限界があることも納得できましたので、これからは「認知療法+growth mindset」という組み合わせで試してみたいと思います。)

といったあたりでしょうか。

2006年に出版された本ですが、2017年にアップデートされており、古さは感じませんでした。具体的事例が多く載っており、文章も分かりやすいので、最後まで飽きずに楽しく読むことが出来ました。年を取ってくると、難しいことに挑戦する元気がなくなってきがちですが、本書を読んで「何かチャレンジしようかなぁ…」と思わされました。多くの方にお勧めできる本だと思います。

日本語訳はこちら

2021年12月 7日 (火)

THE INEQUALITY MACHINE - How education divides us

Dsc_0029_20240622191201

Amazonへのリンク

Paul Tough氏の本は、これまで"How Children Succeed(2012年)"と"Helping Children Succeed(2016年)"を読んだのですが、どちらも興味深かったので、本作(2019年)も手に取ってみました。私が入手した本では副題が"How education divides us"となっていたのですが、現在は"How college divides us"と、より直接的な表現になっていますね。

今回は、アメリカの大学についての話です。本書の要旨は、概ね次のとおりかと思います。

「貧しい家庭に育った子供たち(特にBlack studentsやLatino students)でも、頑張って勉強して良い大学に進めれば、より豊かな人生を送れるチャンスが広がると考えられてきたが、どうもそう簡単ではないらしい。現実には、貧しい家庭で育った子供が良い大学に入るのは様々な要因で難しくなっているし、頑張って良い大学に入れたとしても、そこで退学せずに卒業までやり抜くのは、こちらも様々な要因で大変である。残念ながら、現状、大学の仕組みが貧しい家庭の子供たちにとってかなり不利になっている、と言わざるを得ない。現状を克服しようと大学による取り組みが行われているが、まだまだ不十分である。」

上記のような内容を、様々なデータや教育研究者、教授、学校職員、家庭教師、学生等に対する取材に基づき、具体的事例を交えながら丁寧に説明していきます。

貧しい家庭の子供が良い大学に入るのが難しくなっている要因としては、

・大学受験の選考に用いられるテスト(SATやACT)のスコアは、家庭教師等でテスト対策をしっかり行える裕福な家庭の子供たちの方が、貧しい家庭の子供たちよりも高い傾向があり、結果として、選考の仕組みが貧しい家庭の子供に不利になっている。

・財政的に厳しい大学が多いが、それらの大学は、学費を免除することになる貧しい家庭の優秀な子供よりも、学費を満額払ってくれる裕福な家庭のそれほど優秀でない子供の方を優先せざるを得ない。

・多額の寄付金で潤っているトップクラスの大学は、貧しい家庭の子供を受け入れる財政的余裕が十分あるにも拘らず、選考でSATのスコアを重視すること等により、他の大学よりも貧しい家庭の子供たちを受け入れていない。

・貧しい家庭の子供にチャンスを与える使命を負っているはずの州立大学でも、1980年頃から州からの補助金が大幅に減った為、授業料が高騰し、授業の質が低下してきている。つまり、貧しい家庭の子供にとって不利な状況になってきている。

・貧しい家庭の子供は、家庭や地元の高校から勉強面、精神面、財政面等で支援を殆ど受けられない。大学進学についてのアドバイスも十分に受けられない。

などが挙げられていたと思います。また、貧しい家庭の子供が、トップクラスの大学を退学せずに卒業するのが大変な理由としては、

・同じような家庭環境で育った学生がキャンパスに少なく、疎外感を感じ、居場所がなくなる。特に、私立の名門(エリート)大学では、裕福な家庭の学生(特にWhite students)が大多数で、話がかみ合わず、彼らの文化、振る舞いにも馴染むことができない。

・地元の高校ではトップクラスだった子供が、地元の高校ではしっかりしたAP(Advanced Placement)の授業を受けられなかった(又はAPの授業を全く受けられなかった)為、大学1年目の微分積分学等の授業についていけなくなり、自信を喪失し、理系の進路を諦めてしまったり、退学してしまったりすることになる。

・大学で疎外感を感じ、勉強面でも苦労している上に、家庭でも財政面を中心に様々な問題が発生しており、家庭から全くサポートを受けられない。

などが挙げられていたと思います。その上で、このような現状を克服しようとする試みについては、

・大学の選考の際に、SATやACTのスコアの提出を任意(提出しなくても良い)とし、高校での成績(GPA)や取り組み等で評価、選考する。

・大学のキャンパス内に貧しい家庭の学生達、マイノリティの学生達が集まれるような場を設け、安心できる居場所を作り、必要に応じて適切にサポートできる体制を整える。

・勉強面で苦労しそうな子供たちを集めて、TA(Teaching Aide)の支援を受けながら、仲間で協力し合って勉強できるような場をつくる。

などが挙げられていたと思います。個人的には、テキサス大学の微分積分学の授業を教授やTAの支援を受けながら乗り越えた、メキシコ出身のIvonneの話に希望を感じました。

そして最後に、次のとおり問題提起をして本書を終えています。

「これまでアメリカは、貧しい家庭の子供たちも含めた、全ての子供たち若者たちが、家族を養っていくのに十分な教育を受けられるような政策を実施してきた。例えば、1910年から1940年頃にかけて行われた高校無償化(high school movement)や第二次世界大戦後に実施された退役軍人が大学教育を無償で受けられる制度(GI Bill)が挙げられる。しかしながら今日のアメリカでは、国や州などによる十分な支援が行われていない。すべての子供たち若者たちに、家族を養っていくのに十分な教育(技術が進展した今日においては「大学教育」)の機会を与えることは、国の経済的繁栄につながることを今一度認識して、政策を考えていくべきであるし、我々も、親、教育者、市民として働きかけていくべきである。」

私がこれまで読んできた教育関連の本では、教育格差を縮める取り組みとして、幼児期から高校までの取り組みに焦点が当たっていることが多かったのですが、本書では大学での取り組みに焦点が当たっていて、非常に興味深かったです。個人的には、できるだけ早い時期(幼児期~小学校低学年)での取り組み(介入)が一番大事だと思っているのですが、大学での取り組みも大切であることを理解することができました。

本書はアメリカの大学についての話ですが、日本でも、アメリカほどではないにせよ、同様のことが起きていると思います。国立大学の授業料は1980年から2000年頃にかけて大分上がりましたし、貧しい家庭の子供よりも裕福な家庭の子供の方が、一般的には良い大学に入りやすい環境が整っていると思います。本書で主張されているとおり、教育格差を無くすことが国の発展につながっていくと思うので、日本でも積極的に取り組んでいってもらいたいと思います。

洋書としては、様々な学生たちのストーリーが適度に織り交ぜられており、文章も分かりやすく、単語もそれほど難しくはなかったので、最後まで飽きずに興味深く読むことができました。教育に興味がある方にはお勧めできる本だと思います。

2021年7月11日 (日)

Most Likely to Succeed / Preparing our Kids for the Innovation Era

Dsc_0008

Amazonへのリンク

同タイトルのドキュメンタリー映像の方で有名ですが、書籍もあるということなので読んでみました。

本書において著者は、現在の社会は「知識を重視する社会」から「イノベーションを重視する社会」に変わったにも拘わらず、子供たちへの教育は昔のままで知識を詰め込むことに重きを置いており、結果的に、子供たちから社会で成功するための能力(創造力、協同する力、批判的思考力などなど)を奪っていると、具体的なデータを挙げて警鐘を鳴らしています。その上で、どのように教育を変えていくべきか、先進的な取り組みを紹介しながら提案し、早期の変革を促しています。

ドキュメンタリー映像で中心的に取り上げている"High Tech High"の取り組みについては、本書では数ページ程度しか取り上げられていませんので、そこは期待しない方がよいと思います。本書では、ドキュメンタリー映像よりも、かなり包括的で詳細な分析がなされており、読みごたえがあります。

私自身、昨年頃から子供たちの進路について考える機会が多くなったので、本書を読みながらいろいろと考えさせられました。私自身が旧来型の知識重視の(テスト重視の)教育を受けてきたからだと思いますが、本書を読んで頭では理解したつもりでも、いざ自分の子供たちに新しい教育を受けさせる段になると、どうしても少し抵抗を感じてしまいます。おそらく、まずは親自身が学んで、考え方を修正していかなければならないのでしょうね。

本書ではアメリカの教育について取り上げていますが、日本でも同様に、まだまだ、大学受験に合格することが中学校・高校の教育の中心になっていると思います。本書で紹介されている先進的な取り組みや、日本における先進的な取り組み(数年前に研修を受けた「ラーンネット」もその一つでしょう)を頭に置きながら、子供たちの話に耳を傾けていきたいと思いました。

少々難しい英単語が出てきますが比較的読み易いと思いますので、子供の教育に関心のある方、特に子供の進路について考えている方にお勧めできる本だと思います。併せて、同タイトルのドキュメンタリー映像(Trailerへのリンクはこちら)も観ると、より理解が深まると思います。

 

2019年12月10日 (火)

Dear Ijeawele, a Feminist Manifesto in Fifteen Suggestions

Dsc_0013

Amazonへのリンク

著者(女性)が、友人(娘が生まれたばかりの母親)から「娘(名前はChizalum)をfeministに育てる為にはどのようにしたらよいか?」と問われ、それに15の提言で答えたものです。 渡辺由佳里さんの洋書ファンクラブで紹介されていて、子育ての参考になりそうだったので読んでみました。

15の提言は、著者の友人("母親")に宛てて書かれたものではありますが、私("父親")にも参考になりそうな点が多々ありました。その中でも、特に私が心に留めておきたいと思った箇所は…

Motherhood is a glorious gift, but do not define yourself solely by motherhood. Be a full person. Your child will benefit from that.

You love what you do, and loving what you do is a great gift to give your child.

 →まずは、親自身が自分の人生を充実させる必要がある。

Do not even tell her that she should or should not do something because she is a girl.

If we don't place the straitjacket of gender roles on young children, we give them space to reach their full potential.

 →性別に捉われず、子供には、好きなこと、興味を持ったことをやらせよう。

Books will help her understand and question the world, help her express herself, and help her in whatever she wants to become - a chef, a scientist, a singer, all benefit from the skills that reading brings.

 →子供には、とにかく本を読ませよう。

Teach her to question language. Language is the repository of our prejudices, our beliefs and our assumptions. But to teach her that, you have to question your own language.

Teach Chizalum that the woman is a mechanic, not a 'lady mechanic'.

 →「けんせつ小町」「ドボジョ」に感じる違和感はこれかなぁ…

We teach girls to be likeable, to be nice, to be false. And we do not teach boys the same.

So instead of teaching Chizalum to be likeable, teach her to be honest. And kind. And brave. Encourage her to speak her mind, to say what she really thinks, to speak truthfully.

 →子供が言いたいこと、思っていることを正直に言えるよう、後押ししよう。

If she likes make-up, let her wear it. If she likes fashion, let her dress up. But if she doesn't like either, let her be.

Don't think that raising her feminist means forcing her to reject femininity. Feminism and femininity are not mutually exclusive.

 →男女同権主義(feminism)と女性らしさ(femininity)は相容れないものではない。

So make sure that you create alternatives for her to see. Let her know that slim white women are beautiful, and that non-slim, non-white women are beautiful. 

 →子供には、いろいろな美しさを伝えよう。

Because social norms are created by human beings, and there is no social norms that cannot be changed.

 →世間で言われている男女の役割は、誰かが作ったものであり絶対的なものではないことを、子供に伝えよう。

Teach her that to love is not only to give but also to take.

I think love is the most important thing in life. Whatever kind, however you define it, but I think of it generally as being valued by another human being and greatly valuing another human being.

 →愛は与えるだけのものではなく、双方向のものであることを、子供に伝えよう。

Teach her about difference. Make difference ordinary. Make difference normal. Teach her not to attach value to difference.

...difference is the reality of our world. And by teaching her about difference, you are equipping her to survive in a diverse world. 

 →世の中には様々な人がいる、一人一人違って当たり前であることを、子供に伝えよう。

上記のほかにも、いろいろと気づかされる点がありました。

本書は約60頁のコンパクトな本で、15の提言の一つ一つも短く、とても読みやすいと思います。個人的には、もう少し詳しく著者の考えを聞きたい感じもしましたが、たまにはこのような簡潔な本もいいですね。女の子を子育て中の方には、特にお勧めできる本だと思います。

邦訳はこちら

2019年7月 6日 (土)

The BRAVE LEARNER

Amazonへのリンク

先日、新宿の紀伊國屋の「洋書セール」で見つけて、面白そうだったので読んでみました。

著者のJulie Bogartさんは、5人のお子さんをホーム・スクーリングで育てており、本書では、その経験に基づいて、ホーム・スクーリングをする際の気持ちの持ち様、気に留めるべきポイント、具体的な実践方法・実践事例等々について、幅広くアドバイスしております。

基本的には、ホーム・スクーリングをしている親向けに書かれた本だと思いますが、ホーム・スクーリングをしていない親にも参考になりそうな箇所が結構ありました。

本書の内容で、個人的に参考にできそう、覚えておきたいと思った点は、

・学んだことが日々の生活でどのように使われているか分かると、学んだことがより記憶に残る。

・子供や自分ののひらめきに従って、スケジュールから脱線してみるのもまた良い。そんな時にこそ、楽しい学びが生まれる。

・ボーっとしている時にこそ、新しいアイデアは生まれる。

・子供が自ら学べるようになるには、一緒に協力してくれる仲間が不可欠である。子供が一人だけでやることが難しいことがあれば、進んで協力してあげよう。

・どんなことをしていても、学びは生まれる。ゲームをしていても、漫画を読んでいても、何かを学んでいることが多い。

・子供に興味が芽生えたら、たとえ長続きしなくても、それをとことん、目に見える形でサポートしてあげよう。

・一日を、子供が興味のあることから始めて、子供に一日を乗り切るエネルギーを与えよう。

・子供ができていないことに目が行きがちなので、もっと、子供のできていることに目を向けよう。

・体を動かしていた方が、じっとしているよりも集中力が高まる。

・子供の集中力は、長続きするものではない。平均すると、(年齢+1)分程度しかつづかない。「集中→リフレッシュ→集中…」のサイクルを上手くまわしていくのが大切。

・一つのこと(課題)ができるようになったら、すぐに次のこと(課題)に移るのは良くない。その前に、できるようになったことを存分にやらせてあげよう。

・子供に他人の気持ちを尊重するようになって欲しかったら、まずは親が子供の気持ちを尊重しよう。そして、他人を批判したり、他人の陰口をたたかないように務めよう。

・算数の課題を理解するのに時間のかかる子もいるが、問題はない。むしろ、ゆっくり学ぶことが、より深く理解することにつながる。

・子供が取り組む教材は、親自身が興味が持てるもの、魅かれるものを選ぼう。

・子供が学ぶことを嫌がっている時は、怒ったり、説教したり、脅したりしてやらせても、楽しく学ぶようにならない。そんな時は、どのようにしたら子供を学びに引き込むことができるかを考えよう。

・学び(learning)が遊び(play)のようになればなるほど、子供はより多くのことを学ぶ。

・微笑むこと(smiling)は、周りの人たちによい影響を与えるだけでなく、自分自身にも良い影響を与える。

・高度で複雑な思考を身につける為には、「成長→停滞→成長…」のサイクルが必要がある。停滞の時期は、学びが止まっているのではなく、これまで学んだことを統合している大切な時期なのである。

・子供が(課題ができなくて)泣いたら、学習は終了して、暖かく接してあげよう。

・子供に、親自身が大人になっても楽しく学び続けている姿を見せるのが大切。まずは親が自分の興味を探求しよう。

・家は、皆がありのままの自分でいられる場所であるべき。

・一つの教育方針・方法にこだわる必要はないし、それでは上手くいかない。子供によって個性、得手不得手、年齢、学習ペースが様々だし、親によって求めること、目指すこと、能力も様々なので、その時々で適した方針・方法は変わってくる。選択肢を広く持ち、いろいろ試しながら柔軟に変えて行くのが良い。

・学びは一生続くものなので、あせらず子供のペースに合わせてゆったりと取り組むことが大切である。

また、具体的な実践方法で面白そうだと思ったのは、

・テーブルの上に、いろいろな種類の画材、筆記用具、紙類、布類、テープ、接着剤、スタンプ、雑誌等々、様々な物を置いておき、子供に自由に使わせる。飽きないように、定期的にアイテムを入れ替える。

・子供の好きな飲み物・お菓子を食べながら、一緒に算数の問題を解く。

・時には、カフェや図書館や公園へ行って、一緒に勉強するのも良い。

・筆記用具は、鉛筆だけでなく、色鉛筆、クレヨン、蛍光ペン等、子供の好きなものを自由に使わせると良い。

・子供と一緒に、疑問に思ったことを付箋に書いて、どんどん壁に貼っていく。一週間ぐらい溜めたら、夕食の時にでも、その付箋を読み上げたり、それについて話し合ったりする。

・ベッドで読書をしている時には、夜更かしを認める。クッションを置いたり、バスケットの中に本を入れたりして、くつろげる読書専用の場所(コーナー)を作る。

・子供と一緒に、思いついたこと、心に浮かんだことをそのまま書く時間を設ける(freewriting)。例えば、書くことが思いつかないようだったら、「書くことが思いつかない」とそのまま書く。子供が戸惑うようだったら、テーマを決めてもいい。

・ボードゲームを一緒にやる。数える、お金を配る、読む、順番を待つ、戦略を考える、集中する等々、沢山のことが学べる。最近は協力型のゲームもある。

・月(週)に一度、子供の丸一日の出来事をノートに書き記す。学習している時以外の、何気ない会話、お風呂での鼻歌、レゴやテレビゲームの遊び等も書き記す(narrative sketch)。そのことにより、子供が一日を通して、様々なことから様々な学びをしていることに気づくことができるし、子供がどのような点で苦労しているか、最近やっていないこと(課題)は何かについても、冷静に把握することができる。また、過去の記録と比べると、どのように成長しているかも把握することができる。

・自分用のノートを作って、いつも手元に置いておく。子供の教育について思ったことや気になったこと、自分の為にやってみたいこと、心に残ったフレーズ、気になる本、映画、ミュージシャン、イベント、場所等々、自由に書き記す(Scatterbook)。それを定期的に見返すことにより、今後やるべきこと、やりたいことのヒントになる。

・片付け等は、家族全員でやって、やり終えたら皆でお茶をするといい。

・手伝いは、指示するのではなく、助けが必要な旨を伝えてお願いをする。無理強いはしない。子供が手伝ってくれる時は、やり方や、やるタイミングは子供に任せる(基準は下げる)。一緒にやる。ありがとうと言う。

使えそうなアイデアが一杯ありましたので、これから少しずつ実践していきたいと思います。

5人のお子さんをホーム・スクーリングで育てただけあって、本書には著者のアイデアが一杯一杯詰まっていました。また、本書を読み終えて、やはり「Playing = Learning」なんだなぁ…と改めて思いました。

本書は、文章自体は少しくだけていて、知らない単語も多く、私にはちょっと読みにくく感じました。私にもう少し英語力があれば、著者のユーモアもより理解できて、もっと面白く読めたのかなぁ…と思いました。

とは言え、ホーム・スクーリングをしていない親にとっても、子育てにおいて参考になりそうな箇所が沢山ありましたので、子供の教育に関心のある方にはお勧めできる本だと思います。

なかなか面白い本なのですが、日本ではそれほどホーム・スクーリングが盛んでないと思うので、日本語訳は出ないかなぁ…

2017年10月29日 (日)

読みました(洋書/教育) ~ Helping Children Succeed

Dsc_0009_20240622192501

Amazonへのリンク

 

ベストセラーになった"How Children Succeed"(邦題「成功する子 失敗する子」)の続編とも言うべき作品です。前作がとても興味深かったのと、フローレンス代表の駒崎氏が邦訳「私たちは子どもに何ができるのか」のまえがきを書いていることもあり、読んでみました。

 

前作の"How Children Succeed"で、子供たちが将来うまくやって行く為には、Grit、Perseverance、Resilience、Zest、Curiosityといったnoncognitive skillsを身に付けることが大切だ、という結論になったのですが、「それでは、子供たちにそのようなスキルを身に付けさせる為には、一体どのようにしたら良いのか?」という残された課題について考察しているのが、本書になります。

 

大まかな著者の主張としては、「そのようなスキルを子供たちに直接的に教え込むことはできない。そのようなスキルを身に付けられるような環境を子供たちの周りに整える必要がある。」ということだと思います。

 

Rather than consider noncognitive capacities as skills to be taught, I came to conclude, it's more accurate and useful to look at them as products of a child's environment.

 

If we want to improve a child's grit or resilience or self-control, it turns out that the place to begin is not with the child himself. What we need to change first, it seems, is his environment.

 

乳幼児期であれば、家庭で、若しくは幼稚園等で、子供たちの言葉・行動・様子に暖かく反応してあげれる環境を作ることが大切、とのことです。

 

These rudimentary interactions (="serve and return" interactions) between parents and babies, which can often feel to parents nonsensical and repetitive, are for the infants full of valuable information about what the world is going to be like. More than any other experiences infants have, they trigger the development and strengthening of neural connections in the brain between the regions that control emotion, cognition, language, and memory.

 

But first, before they set foot in preschool, they need to spend their first three years in an environment with plenty of responsive, warm and serve-and-return interaction with caring adults. And if they can't get that at home, they need to get it at a place like Educare.

 

学校に行くようになれば、やはり子供たち一人一人の話をしっかり聞き、一人一人への期待をしっかり伝えると共に、一方的に講義をするのではなく、自主的・主体的に学べるような環境、子供たちの3つの欲求(competence, autonomy and relatedness/belonging, independence and growth)を満たすような環境を作ってあげることが大切、とのことです。例えば、グループワーク等で、子供たちの能力を少し超えるような課題にチャレンジさせる、等。厳しい規則を決めたり、ご褒美等のインセンティブを与えたりしても、殆ど効果はないようです。

 

The way kids learn that (=character) is by continually being compelled and supported to take risks - by sharing their work with their parents, by sharing thier work with groups, by speaking out in class, by presenting their work.

 

In order for a student to truly feel motivated by and about school, he also has to perceive that he is doing important work - work that is challenging, rigorous, and deep.

 

The experience of persisting through an intellectual challenge and succeeding despite the struggle is a profound one for school-children...It produces feelings of both competence and autonomy...

 

また、そのような環境を作る為には、子供たちだけでなく、環境を作る主体である親や先生たちも同様にサポートしていく必要がありそうです。

 

本書は、一章が短く、ポイントがコンパクトにまとまっていて読み易いのですが、思ったよりも具体例が少なく、読み物としてはちょっと物足りない感じがしました。個人的には、もう少しページ数を増やして、前作のSpiegel先生の話のような具体例を沢山挟み込んで欲しかったなぁ…と思いました。

 

とは言え、興味深い話ではありますので、教育・育児に興味のある方にはお勧めできると思います。

 

ちなみに、邦訳はこちら

2017年8月 5日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ Becoming Brilliant

Dsc_0020

Amazonへのリンク

7年前くらいに読んだ"Einstein Never Used Flash Cards"(2003年)の著者が、昨年、新しい本を出していたことを知って、早速読んでみました。

 

本作では、"Einstein Never Used Flash Cards"で強く主張していた「自ら進んでやる遊び(Play)を通じて、子供は生きていく力を身につけるのである(Play = Learning)」との考えを根底におきつつ、これからの変化の早い世の中を生きていく子供達にとっては、単に知識を詰め込むだけではなく、次のような6つの能力(Soft Skills, 6Cs)を伸ばすことがより大事であると主張しています。そして、そのような能力を伸ばす為に我々大人はどうしたらよいか、具体的に提案をしています。

 

--------------------------------------------------------------

 

1 Collaboration

 

まずは、自分自身の行動・気持ちをコントロールできるようになり、更には、お互いに助け合うことができるようになり、最終的には、お互いを信頼・尊重して、共通の目的に向かって協同することができるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

子供と一緒にキャッチボールをする。家族皆でボードゲームをする。お手伝いをしてもらう。ブラスバンドやサッカーチーム等の課外活動に参加させる。

 

2 Communication

 

相手の考え、気持ち等をある程度理解して会話等のやりとりができるようになった上で、最終的には、相手の考え、気持ち等を正しく理解して、自分の考え、意見等を簡潔に、的確に、丁寧に伝えられるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

スマホ等を脇に置いて、まずは子供の話をよく聞く。その上で、子供に広がりのある(決まった回答の無い)質問をする。5回以上のやりとりはしたいところ。小さい子であれば、ごっこ遊びを沢山させる、又は一緒にする。子供がテレビやスマホを見る時間を制限する。

 

3 Content

 

自分の持っている個々の知識を結びつけて何か新しいことに取り組むことができるようになり、最終的には、ある分野での専門性を更に高めて、これまでの知識(常識)を改善・修正できるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

子供と一緒に本を読んだり、宿題をしたりしながら、学んだ知識を子供の日常生活と結びつけて話を膨らませる。子供と公園に行って草木を観察したり、草木で何か描いたり作ったりする。楽しめるようだったら、キャンプやワークショップに参加させて、新しい経験をさせる。楽しく、興味をもって学べる環境・機会を出来るだけ沢山作る。

 

4 Critical Thinking

 

自分や他人の意見・方法等に対して疑問をもつことから始まり、世の中には自分と違う意見・方法等があることを理解するようになり、最終的には、様々な意見・方法等のうちどれがより優れているか、その根拠を確認しながら判断できるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

子供に興味がありそうな本を沢山読ませたり、様々な話をしたりして、世の中にはいろいろな考え方があることを知ってもらう。子供が質問してきたら、分かり易く答えるだけでなく、時々「どう思う?」と聴き返してみる。

 

5 Creative Innovation

 

得意分野において、豊富な知識を使って自分らしいユニークなものを生み出せるようなった上で、最終的には、他の分野にも影響を及ぼすような、世の中の問題・課題に対する新たな解決策を生み出せるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

子供に不要になった箱や布やガラクタを自由に使わせる(部屋はかなりちらかりますが…)。できるだけ自由に遊ばせて、なるべく口を出さない。美術館、博物館、音楽会、演劇等に行くのも、創造性を刺激するのでいい。

 

6 Confidence

 

新たなことを行うメリットとリスクを検討した上で、ある程度リスクをとって挑戦することができるようになり、最終的には、自分の能力を超えたことに対しても、失敗から学びながら、何度もチャレンジできるようになること。

 

(この能力を育てるためには、例えば…)

 

子供に対しては、成果ではなく「努力(過程)」を褒める。子供が何か失敗してしまったら、怒るのではなく、何が起きたのか訊いて、次に失敗しない為にはどうしたらよいか冷静に考えさせる。もし子供に好きなことがあれば、それを一杯やらせる。多少難しいことでも、できるだけ口出ししないで、子供に任せてみる。

 

--------------------------------------------------------------

 

これら6つの能力は、お互いに関係しているので、それぞれをバランス良く伸ばしていく必要があります。また、子供は親をよく観察して学んでいるので、親自身も、これら6つの能力を伸ばしていくよう努力しなければならない(共に学んでいかなければならない)とのことです。子供に言うだけでは駄目ということですね…

 

正直な感想としては、これらの6つの能力すべてを最終的なレベルにまで引き上げるのは大変だと思います。ただ、方向性としては、知識偏重の教育に警鐘を鳴らす著者の考え方に同意できるので、目標として頑張っていければいいかと思っています。

 

本作も、様々な調査・観察・実験等を踏まえて分かり易く書かれており、最後まで興味深く読むことができました。但し、文章が少し固く、単語のレベルも私にとってはちょっと難しかったので、読むのに多少骨が折れました。

 

また、Walter Mischel氏の"Marshmallow Test"Elena Bodrova氏等の"Tools of the Mind"Angela Duckworth氏の"Grit Scale"等も出てきて、今まで読んだ本との関連性も分かり、より理解を深めることができました。

 

日々の子育てに役に立ちそうなアドバイスが沢山載っているので、この本も、特に子育て中の方にお勧めできると思います。本作も、そのうち邦訳が出るかな?

 

 

2017年7月 8日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ The Marshmallow Test

Amazonへのリンク

 

心理学、教育関連の本で良く出てくる「マシュマロ・テスト(The Marshmallow Test)」の考案者、Walter Mischel氏が書いた本です。紀伊國屋の春の洋書バーゲンで見つけたので、読んでみました。

 

 

「マシュマロ・テスト」自体は、1960年代後半に考案された古いものです。観察者が、幼児の目の前にマシュマロ(別の物を使う場合もある)を1個置いて、

 

「これから、用事があってちょっと部屋を出ていくけど、また戻ってくるね。もし、私が戻ってくるまでマシュマロを食べないで待てたら、マシュマロを2個あげるよ。もし、私が戻ってくるまで待てなかったら、そのベルを鳴らしてね。その時は、マシュマロは1個だけだよ。」

 

と説明し、部屋を出て、外から幼児の行動を観察する実験です。この実験で、長い時間待つことができる子は、待てない子よりも、大人になってうまくやっていける傾向があることが、追跡調査から判明しています。

 

著者は本書で、この「マシュマロ・テスト」を端緒に、自制心(自制できる能力/self-control)が人生にどのような影響を与えるかについて、読者に語りかけるように、分かり易く説明しています。

 

 

本書の中で、「なるほどなぁ…」「覚えておきたいなぁ…」と思った箇所は、

 

************************************************************************

 

...parents who overcontrol their toddlers risk undermining the development of their children's self-control skills, while those who support and encourage autonomy in problem-solving efforts are likely to maximize their children's chances of coming home from preschool eager to tell them how they got their two marshmallows.

 

 

→よちよち歩きの頃は、つい、すぐに手を出したくなりますが、なるべくこらえる必要がありそう。既にこの頃から、自制心は育まれるようだ。

 

 

Our genes influence how we deal with the environment. The environment affects which parts of our DNA are expressed and which are ignored.

 

...human dispositions and behavior patterns, including character and personality, attitudes, and even political beliefs, reflect the complex effects of our genes, whose expressions throughout the course of life are shaped by a host of  environmental determinants.

 

 

→(自制心等の)人の性格や個性は、遺伝だけで決まる訳ではないし、環境だけで決まる訳でもない。双方が複雑にからみあって影響を与えているようだ。

 

 

...under high pressure and the threat of failure in the new school environment , the students who viewed their abilities as fixed soon began to get lower grades, doing progressively worse over the two years of junior high school. The students with a growth mind-set, in contrast, kept getting better and better grades over those two years.

 

 

→「努力すればできるようになる(能力が上がる)!」という気持ち・信念を持てるようになることが大切。

 

 

If you see more continuity between yourself now and yourself in the future, you probably put more value on delayed rewards and less value on immediate rewards and are less impatient than people who view their future selves as strangers.

 

 

→「現在の私(yourself now)」と「将来の私(yourself in the future)」との連続性(つながり)を意識する工夫が必要。

 

 

...the same question - "Why did I feel that way?" - reactivates the hurt when one is self-immersed, but it will cool the hurt and provide a more adaptive narrative when one is self-distanced, like an observer.

 

By increasing your psychological distance from the (painful) event, you reduce stress, cool the hot system, and can use the prefrontal cortex to reappraise what happened so that you can make sense of it, gain closure, and move on.

 

 

→自分に起きた嫌な出来事、辛い出来事は、壁にとまっている蝿になった気で(as a fly on the wall)、一度距離を置いて覚めた目で眺めてみると良さそう。

 

 

...positive self-affirming mental states, including positive illusions (as long as they are not extreme distortions of reality), enhance healthier physiological and neuroendocrine functioning and lead to lower stress levels. The realists who perceive themselves more accurately experience lower self-esteem and more depression, and they are generally less mentally and physically healthy.

 

We see others accurately, but we wear the rose-colored glasses when we rate ourselves, if we are fortunate enough to not to be depressed. In fact, this kind of inflation in self-evaluation may be what helps protect most people from being depressed.

 

 

→自己についての正確な評価・認識が、必ずしも心の健康につながるとは限らない。自己評価は、少しぐらい水増しした方が良いみたい。

 

 

We are both ants and grasshoppers, and to lose the hot emotional system and live continually dominated by the cool cognitive system in the service of a possible future can become a life story as unsatisfying as its opposite.

 

...a life lived with too much delay of gratification can be as sad as one without enough of it.

 

 

→自制心はとても大事だが、自制心があり過ぎるのも問題。何事も、バランスが大事。

 

 

...if you want your children to adopt high self-reward standards, it's a good idea to guide them to adopt those standards and also model them in your own behavior.

 

How parents and other important figures in a child's life do or do not control themselves ...all profoundly influence the child.

 

 

→子供に言うだけでは駄目、自分でも実践しないと。

 

 

Self-control involves more than determination; it requires strategies (e.g. If-Then implementation plans) and insights, as well as goals and motivation, to make willpower easier to develop and persistence (often called grit) rewarding in its own right.

 

...without compelling goals and drive, EF (executive function) can leave us competent but aimless.

 

 

→自制心を養うためには、決意するだけではうまくいかない。賢い方法、目標、動機付けが必要。

 

 

In life, employing If-Then implementation plans has helped adults and children control their own behavior more successfully than they had imagined possible.

 

The more often we rehearse and practice implementation plans, the more automatic they become, taking the effort out out effortful control.

 

 

→「~という(自分がうまく対処できない)状態が起きたら…する」という計画を予め定めておくことは、自分の行動を上手にコントロールするのにとても有効である。

 

(例えば、「仕事が重なってパニックになりそうだったら、深呼吸を20回以上する(外の空気を吸ってくる)」「パソコンでソーシャル・メディアを読んでいる時に子供達が話しかけてきたら、子供達と話をするのを優先する」などなど…)

 

 

To keep infants' stress levels low, a first step for parents might be to try to reduce their own stress, recognizing that it often increases when newborns arrive.

 

 

→子供の自制心を育むためには、新生児の頃からできるだけ子供にストレスを与えないことが肝要だが、その為には、まずは親自身がリラックスする必要がありそう。

 

 

To promote children's sense of both autonomy and responsibility, we can help them realize early in life that they do have choices that are theirs to make, and that each choice comes with consequences: good choices - good consequences; bad choices - bad consequences.

 

 

→小さい頃に、どのように行動するかは自分で決められること、その行動によって結果・成果が違ってくることを理解させることが大切。

 

 

The challenge for the parents is to provide the support their child needs and wants, and then let her work on her own, without taking over and doing if for her.

 

 

→サポートはするけど、あくまでサポートに徹する。

 

 

Rather than looking for good grades and applauding kids for being "so smart," we can praise them for trying as hard as they can.

 

...we can help them to understand and accept that failures along the route are part of life and learning, and then encourage them to find constructive ways to deal with such setbacks so that they keep trying instead of becoming anxious, depressed, and avoidant.

 

 

→子供の頃は、「成果」ではなく「努力」を褒める。 同様のことは、以前読んだ本、"Einstein Never Used Flash Cards"や"Nurture Shock"にも書かれたので、特に留意する必要がありそう。

 

************************************************************************

 

以上、本当に一杯ありました。

 

 

読む前は、著者は、もう年配の方だし、学者だし、固い内容で読むのが大変かなぁ…と思っていたのですが、様々な調査、観察、実験結果を引用しながら、とても分かり易く書かれており、興味深く読むことができました(特に後半)。

 

また、本書には、以前読んだ本"Nurture Shock"に出てきたTools of the Mind、"How Children Succeed"に出てきたKIPP(Knowledge Is Power Program)、"Grit"の著者であるAngela Duckworth氏、"Thinking, Fast and Slow"の著者であるDaniel Kahneman氏等も登場し、それらとの関連性を確認することができたのも良かったです。

 

 

子育てに関しても、自分自身の生き方に関しても、参考になりそうな箇所が一杯あると思います。子育て中の方の方が、より興味を持って読めると思いますが、そうでない方にも十分お勧めできる本だと思います。

 

 

ご参考までに、日本語訳はこちら

 

2017年5月20日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ GRIT

Dsc_0024

Amazonへのリンク

 

以前読んで興味深かった本"How Children Succeed"に名前が出てきたAngela Duckworth氏が初めて出した本で、書店で日本語訳が売り出されていて、とても気になっていたのですが、やっと読むことができました。

 

本書では、表題でもある"Grit"とは一体何か、なぜ"Grit"が大事なのか、どのようにしたら"Grit"が育つのかについて、丁寧に分かり易く説明しています。著者が学者と言うこともあり、調査・実験データが豊富に取り上げられていて、とても興味深い本になっています。

 

自分なりに、要点をまとめてみると…

 

・人生において何を成し遂げられるかは、"talent(生まれ持っての才能)"にも影響されるが、それ以上に、その人に"Grit"があるかどうかに大きく影響されることが、様々な調査結果から分かってきた。

 

・"Grit"とは、長期的な目標を達成する為に、熱意を持って、粘り強く努力し続ける力のことである(passion and perseverance)。

 

・理解の為にあえて単純化すると、 「talent(生まれ持っての才能)×effort(努力)=skill(技量)/skill(技量)×effort(努力)=achievement(成果)」ということであり、talentよりもeffortの影響の方が大きいことが分かると思う。

 

・"Grit"の程度は、人によって固定された(変わらない)ものではなく、育てることができる。

 

・"Grit"を沢山持っている人は、①interest(興味)、②capacity to practice(練習できる力)、③purpose(他者への貢献という目的)、④hope(逆境から立ち直れる力)の4つを持っているので、"Grit"を育てるには、その4つの側面を育てるようにすると良い。

 

・interest(興味)を育てる、つまり興味を深めていく為には、物事の微妙なニュアンスを理解できる、楽しめるようになる必要がある。

 

・capacity to practice(練習できる力)を育てる為には、漫然と練習するのではなく、自分のできていない点(苦手な点)を把握し、その点を改善する為に集中して繰り返し練習し、少しずつ理想に近づけていく、ということを意識する必要がある。更に、そのような練習(deliberate practice)を習慣(habit)にすることが大切である。

 

・purpose(他者への貢献という目的)を育てる為には、日々の行動について、どうしたらより他者に貢献できるようになるのか考えてみることが大切である。ロール・モデルになる人を見つけて参考にするのも良い。

 

・hope(逆境から立ち直れる力)を身につける為には、能力は育てることができる(固定されたものではない)という意識を持つこと、前向き、楽天的な思考を持つよう努めることが大切である。そして、必要なときには、他の人に助け・助言を求めることも大事である。

 

・子供が"Grit"を身につける為には、高いハードルを設定しながらも、子供に寄り添う(必要に応じて手助けする)ような子育てが必要である。どちらか片方だけではうまくいかない。

 

・子供が"Grit"を身につける為には、課外活動(extracurricular activities)に参加させるのが有効である。その際は、子供本人が参加する課外活動を決めること、一度決めたら一定期間(数年間)は頑張って続けることが大切である。

 

・"Grit"を育てる為には、"Grit"の文化を持った組織を見つけて参加するのも有効である。

 

個人的には、本書を読んで「楽器・英語の練習・学習方法をもうちょっと工夫しよう」「練習・学習を毎日の習慣にしよう」と改めて思いました。あと、「あの人には生まれつき才能があるから…」と羨ましがる癖も、止めようと思いました。

 

理論的にすっきりしない箇所もありましたが、ここ数年話題になっている"Grit"について分かり易く書かれており、非常に興味深く読むことができました。

 

洋書としては、文章や単語もそれほど難しくなく、具体例も豊富で、比較的読み易かったです。教育に携わる人にだけではなく、より充実した人生を送りたいと思っている人にもお勧めできる本だと思いました。

 

ご参考までに、日本語訳はこちら

2016年12月 4日 (日)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Teacher Man

Amazonへのリンク

 

Frank McCourtの「Angela's Ashes」「'Tis」が面白かったので、続けて3作目の「Teacher Man」も読んでみました。McCourt氏が70代の時に出版された本です。

 

本作は、著者の英語教師としての経験を主に綴ったものになります。著者はNew Yorkで、5つの高校(専門高校、エリート校等)と1つのコミュニティ・カレッジで英語や作文を教えてきたのですが、どの場所でも、生徒達の興味を起こさせようと、試行錯誤しながら型にとらわれない授業をしていきます。

 

例えば…専門高校では、やる気のない生徒達を相手に、親から提出されることになっている遅刻・欠席の理由書(実は、親が書いてくれないので、生徒自身が想像力豊かに代筆している…)を題材に授業をしています。自分が親になったつもりになって、想像力豊かに遅刻・欠席の理由書を書いてみたり、さらに推し進めて、アダムとイブの神様に対する弁解書を書いてみたり、なかなか面白そうです。

 

例えば…エリート校では、詩の代わりに、料理本を題材に授業をしています。気に入った料理の材料や作り方を朗読してみたり、フルートやオーボエやギター等による伴奏をつけて朗読してみたり、こちらもなかなか面白そうです。

 

「Playing = Learning」という、よく言われていることだけど、なかなか実践できないことを、著者は試行錯誤しながら直感的に実践してきたのだなぁ…と思いました。

 

また、著者が素のままで生徒達と向き合っている、自分の経験、気持ちを生徒達に率直に伝えているのも印象的でした。知らないことは知らないと正直に言うし、自分も生徒達から学ぼうとしているし、あまり偉ぶっていないし…生徒達も、そのような著者だからこそ、生身の人間として共感できたのではないかと思いました。McCourt氏のような先生ばかりだったら、それはそれで収拾がつかなくなって大変そうだけど、こういう型にはまらない先生がもっといたらいいのになぁ…と思いました。

 

長い教員人生の中では、うまくいかないこと、生徒達と意思疎通できないことも一杯あったようですが、生徒達と共に深く学ぶことのできた、心を通わすことの出来た瞬間も一杯あったようで、著者はその思い出をとても大切にしているように感じました。

 

McCourt氏は、教師なんかやっていられないと思っている時もあるし、自分の人生について常に迷い、あがいているし、博士号の取得には失敗するし、結婚生活もうまくいかないし、皮肉屋だし、不器用だし、充実した人生なんて言葉からは程遠いように思うのですが、そうだからこそ、この自伝がとても魅力的になっているし、深く共感できるのだと思いました。

 

前2作と同じく、私にとっては単語も文体も難しかったのですが、一つ一つの生徒達とのエピソードが個性的、印象的で、最後まで飽きることなく読むことができました。前2作を面白く読んだので、もうそろそろ飽きてくるかなぁ…と思っていたのですが、そのようなことは全くありませんでした。相変わらず、子供には読ませられないような表現が多々出てきますが…

 

「なかなか、スマートに、要領よくは生きられないけど、それでも頑張って日々を過ごしていこう。」そう思わせてくる本でした。

 

最後に、覚えておきたいと思った文章をいくつか…

 

You don't have to respond to every stimulus.

 

I don't think anyone achieves complete freedom, but what I am trying to do with you is drive fear into a cornor. (F→F / from FEAR to FREEDOM)

 

...it is the business of the young to push the old off the planet.