ノンフィクション

2017年8月 5日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ Becoming Brilliant

7年前くらいに読んだ"Einstein Never Used Flash Cards"(2003年)の著者が、昨年、新しい本を出していたことを知って、早速読んでみました。

本作では、"Einstein Never Used Flash Cards"で強く主張していた「自ら進んでやる遊び(Play)を通じて、子供は生きていく力を身につけるのである(Play = Learning)」との考えを根底におきつつ、これからの変化の早い世の中を生きていく子供達にとっては、単に知識を詰め込むだけではなく、次のような6つの能力(Soft Skills, 6Cs)を伸ばすことがより大事であると主張しています。そして、そのような能力を伸ばす為に我々大人はどうしたらよいか、具体的に提案をしています。

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1 Collaboration

まずは、自分自身の行動・気持ちをコントロールできるようになり、更には、お互いに助け合うことができるようになり、最終的には、お互いを信頼・尊重して、共通の目的に向かって協同することができるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供と一緒にキャッチボールをする。家族皆でボードゲームをする。お手伝いをしてもらう。ブラスバンドやサッカーチーム等の課外活動に参加させる。

2 Communication

相手の考え、気持ち等をある程度理解して会話等のやりとりができるようになった上で、最終的には、相手の考え、気持ち等を正しく理解して、自分の考え、意見等を簡潔に、的確に、丁寧に伝えられるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

スマホ等を脇に置いて、まずは子供の話をよく聞く。その上で、子供に広がりのある(決まった回答の無い)質問をする。5回以上のやりとりはしたいところ。小さい子であれば、ごっこ遊びを沢山させる、又は一緒にする。子供がテレビやスマホを見る時間を制限する。

3 Content

自分の持っている個々の知識を結びつけて何か新しいことに取り組むことができるようになり、最終的には、ある分野での専門性を更に高めて、これまでの知識(常識)を改善・修正できるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供と一緒に本を読んだり、宿題をしたりしながら、学んだ知識を子供の日常生活と結びつけて話を膨らませる。子供と公園に行って草木を観察したり、草木で何か描いたり作ったりする。楽しめるようだったら、キャンプやワークショップに参加させて、新しい経験をさせる。楽しく、興味をもって学べる環境・機会を出来るだけ沢山作る。

4 Critical Thinking

自分や他人の意見・方法等に対して疑問をもつことから始まり、世の中には自分と違う意見・方法等があることを理解するようになり、最終的には、様々な意見・方法等のうちどれがより優れているか、その根拠を確認しながら判断できるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に興味がありそうな本を沢山読ませたり、様々な話をしたりして、世の中にはいろいろな考え方があることを知ってもらう。子供が質問してきたら、分かり易く答えるだけでなく、時々「どう思う?」と聴き返してみる。

5 Creative Innovation

得意分野において、豊富な知識を使って自分らしいユニークなものを生み出せるようなった上で、最終的には、他の分野にも影響を及ぼすような、世の中の問題・課題に対する新たな解決策を生み出せるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に不要になった箱や布やガラクタを自由に使わせる(部屋はかなりちらかりますが…)。できるだけ自由に遊ばせて、なるべく口を出さない。美術館、博物館、音楽会、演劇等に行くのも、創造性を刺激するのでいい。

6 Confidence

新たなことを行うメリットとリスクを検討した上で、ある程度リスクをとって挑戦することができるようになり、最終的には、自分の能力を超えたことに対しても、失敗から学びながら、何度もチャレンジできるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に対しては、成果ではなく「努力(過程)」を褒める。子供が何か失敗してしまったら、怒るのではなく、何が起きたのか訊いて、次に失敗しない為にはどうしたらよいか冷静に考えさせる。もし子供に好きなことがあれば、それを一杯やらせる。多少難しいことでも、できるだけ口出ししないで、子供に任せてみる。

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これら6つの能力は、お互いに関係しているので、それぞれをバランス良く伸ばしていく必要があります。また、子供は親をよく観察して学んでいるので、親自身も、これら6つの能力を伸ばしていくよう努力しなければならない(共に学んでいかなければならない)とのことです。子供に言うだけでは駄目ということですね…

正直な感想としては、これらの6つの能力すべてを最終的なレベルにまで引き上げるのは大変だと思います。ただ、方向性としては、知識偏重の教育に警鐘を鳴らす著者の考え方に同意できるので、目標として頑張っていければいいかと思っています。

本作も、様々な調査・観察・実験等を踏まえて分かり易く書かれており、最後まで興味深く読むことができました。但し、文章が少し固く、単語のレベルも私にとってはちょっと難しかったので、読むのに多少骨が折れました。

また、Walter Mischel氏の"Marshmallow Test"Elena Bodrova氏等の"Tools of the Mind"Angela Duckworth氏の"Grit Scale"等も出てきて、今まで読んだ本との関連性も分かり、より理解を深めることができました。

日々の子育てに役に立ちそうなアドバイスが沢山載っているので、この本も、特に子育て中の方にお勧めできると思います。本作も、そのうち邦訳が出るかな?

2017年7月 8日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ The Marshmallow Test

心理学、教育関連の本で良く出てくる「マシュマロ・テスト(The Marshmallow Test)」の考案者、Walter Mischel氏が書いた本です。紀伊國屋の春の洋書バーゲンで見つけたので、読んでみました。

「マシュマロ・テスト」自体は、1960年代後半に考案された古いものです。観察者が、幼児の目の前にマシュマロ(別の物を使う場合もある)を1個置いて、

「これから、用事があってちょっと部屋を出ていくけど、また戻ってくるね。もし、私が戻ってくるまでマシュマロを食べないで待てたら、マシュマロを2個あげるよ。もし、私が戻ってくるまで待てなかったら、そのベルを鳴らしてね。その時は、マシュマロは1個だけだよ。」

と説明し、部屋を出て、外から幼児の行動を観察する実験です。この実験で、長い時間待つことができる子は、待てない子よりも、大人になってうまくやっていける傾向があることが、追跡調査から判明しています。

著者は本書で、この「マシュマロ・テスト」を端緒に、自制心(自制できる能力/self-control)が人生にどのような影響を与えるかについて、読者に語りかけるように、分かり易く説明しています。

本書の中で、「なるほどなぁ…」「覚えておきたいなぁ…」と思った箇所は、

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...parents who overcontrol their toddlers risk undermining the development of their children's self-control skills, while those who support and encourage autonomy in problem-solving efforts are likely to maximize their children's chances of coming home from preschool eager to tell them how they got their two marshmallows.

→よちよち歩きの頃は、つい、すぐに手を出したくなりますが、なるべくこらえる必要がありそう。既にこの頃から、自制心は育まれるようだ。

Our genes influence how we deal with the environment. The environment affects which parts of our DNA are expressed and which are ignored.

...human dispositions and behavior patterns, including character and personality, attitudes, and even political beliefs, reflect the complex effects of our genes, whose expressions throughout the course of life are shaped by a host of  environmental determinants.

→(自制心等の)人の性格や個性は、遺伝だけで決まる訳ではないし、環境だけで決まる訳でもない。双方が複雑にからみあって影響を与えているようだ。

...under high pressure and the threat of failure in the new school environment , the students who viewed their abilities as fixed soon began to get lower grades, doing progressively worse over the two years of junior high school. The students with a growth mind-set, in contrast, kept getting better and better grades over those two years.

→「努力すればできるようになる(能力が上がる)!」という気持ち・信念を持てるようになることが大切。

If you see more continuity between yourself now and yourself in the future, you probably put more value on delayed rewards and less value on immediate rewards and are less impatient than people who view their future selves as strangers.

→「現在の私(yourself now)」と「将来の私(yourself in the future)」との連続性(つながり)を意識する工夫が必要。

...the same question - "Why did I feel that way?" - reactivates the hurt when one is self-immersed, but it will cool the hurt and provide a more adaptive narrative when one is self-distanced, like an observer.

By increasing your psychological distance from the (painful) event, you reduce stress, cool the hot system, and can use the prefrontal cortex to reappraise what happened so that you can make sense of it, gain closure, and move on.

→自分に起きた嫌な出来事、辛い出来事は、壁にとまっている蝿になった気で(as a fly on the wall)、一度距離を置いて覚めた目で眺めてみると良さそう。

...positive self-affirming mental states, including positive illusions (as long as they are not extreme distortions of reality), enhance healthier physiological and neuroendocrine functioning and lead to lower stress levels. The realists who perceive themselves more accurately experience lower self-esteem and more depression, and they are generally less mentally and physically healthy.

We see others accurately, but we wear the rose-colored glasses when we rate ourselves, if we are fortunate enough to not to be depressed. In fact, this kind of inflation in self-evaluation may be what helps protect most people from being depressed.

→自己についての正確な評価・認識が、必ずしも心の健康につながるとは限らない。自己評価は、少しぐらい水増しした方が良いみたい。

We are both ants and grasshoppers, and to lose the hot emotional system and live continually dominated by the cool cognitive system in the service of a possible future can become a life story as unsatisfying as its opposite.

...a life lived with too much delay of gratification can be as sad as one without enough of it.

→自制心はとても大事だが、自制心があり過ぎるのも問題。何事も、バランスが大事。

...if you want your children to adopt high self-reward standards, it's a good idea to guide them to adopt those standards and also model them in your own behavior.

How parents and other important figures in a child's life do or do not control themselves ...all profoundly influence the child.

→子供に言うだけでは駄目、自分でも実践しないと。

Self-control involves more than determination; it requires strategies (e.g. If-Then implementation plans) and insights, as well as goals and motivation, to make willpower easier to develop and persistence (often called grit) rewarding in its own right.

...without compelling goals and drive, EF (executive function) can leave us competent but aimless.

→自制心を養うためには、決意するだけではうまくいかない。賢い方法、目標、動機付けが必要。

In life, employing If-Then implementation plans has helped adults and children control their own behavior more successfully than they had imagined possible.

The more often we rehearse and practice implementation plans, the more automatic they become, taking the effort out out effortful control.

→「~という(自分がうまく対処できない)状態が起きたら…する」という計画を予め定めておくことは、自分の行動を上手にコントロールするのにとても有効である。

(例えば、「仕事が重なってパニックになりそうだったら、深呼吸を20回以上する(外の空気を吸ってくる)」「パソコンでソーシャル・メディアを読んでいる時に子供達が話しかけてきたら、子供達と話をするのを優先する」などなど…)

To keep infants' stress levels low, a first step for parents might be to try to reduce their own stress, recognizing that it often increases when newborns arrive.

→子供の自制心を育むためには、新生児の頃からできるだけ子供にストレスを与えないことが肝要だが、その為には、まずは親自身がリラックスする必要がありそう。

To promote children's sense of both autonomy and responsibility, we can help them realize early in life that they do have choices that are theirs to make, and that each choice comes with consequences: good choices - good consequences; bad choices - bad consequences.

→小さい頃に、どのように行動するかは自分で決められること、その行動によって結果・成果が違ってくることを理解させることが大切。

The challenge for the parents is to provide the support their child needs and wants, and then let her work on her own, without taking over and doing if for her.

→サポートはするけど、あくまでサポートに徹する。

Rather than looking for good grades and applauding kids for being "so smart," we can praise them for trying as hard as they can.

...we can help them to understand and accept that failures along the route are part of life and learning, and then encourage them to find constructive ways to deal with such setbacks so that they keep trying instead of becoming anxious, depressed, and avoidant.

→子供の頃は、「成果」ではなく「努力」を褒める。 同様のことは、以前読んだ本、"Einstein Never Used Flash Cards"や"Nurture Shock"にも書かれたので、特に留意する必要がありそう。

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以上、本当に一杯ありました。

読む前は、著者は、もう年配の方だし、学者だし、固い内容で読むのが大変かなぁ…と思っていたのですが、様々な調査、観察、実験結果を引用しながら、とても分かり易く書かれており、興味深く読むことができました(特に後半)。

また、本書には、以前読んだ本"Nurture Shock"に出てきたTools of the Mind、"How Children Succeed"に出てきたKIPP(Knowledge Is Power Program)、"Grit"の著者であるAngela Duckworth氏、"Thinking, Fast and Slow"の著者であるDaniel Kahneman氏等も登場し、それらとの関連性を確認することができたのも良かったです。

子育てに関しても、自分自身の生き方に関しても、参考になりそうな箇所が一杯あると思います。子育て中の方の方が、より興味を持って読めると思いますが、そうでない方にも十分お勧めできる本だと思います。

ご参考までに、日本語訳はこちら…

2017年5月20日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ GRIT

以前読んで興味深かった本"How Children Succeed"に名前が出てきたAngela Duckworth氏が初めて出した本で、書店で日本語訳が売り出されていて、とても気になっていたのですが、やっと読むことができました。

本書では、表題でもある"Grit"とは一体何か、なぜ"Grit"が大事なのか、どのようにしたら"Grit"が育つのかについて、丁寧に分かり易く説明しています。著者が学者と言うこともあり、調査・実験データが豊富に取り上げられていて、とても興味深い本になっています。

自分なりに、要点をまとめてみると…

・人生において何を成し遂げられるかは、"talent(生まれ持っての才能)"にも影響されるが、それ以上に、その人に"Grit"があるかどうかに大きく影響されることが、様々な調査結果から分かってきた。

・"Grit"とは、長期的な目標を達成する為に、熱意を持って、粘り強く努力し続ける力のことである(passion and perseverance)。

・理解の為にあえて単純化すると、 「talent(生まれ持っての才能)×effort(努力)=skill(技量)/skill(技量)×effort(努力)=achievement(成果)」ということであり、talentよりもeffortの影響の方が大きいことが分かると思う。

・"Grit"の程度は、人によって固定された(変わらない)ものではなく、育てることができる。

・"Grit"を沢山持っている人は、①interest(興味)、②capacity to practice(練習できる力)、③purpose(他者への貢献という目的)、④hope(逆境から立ち直れる力)の4つを持っているので、"Grit"を育てるには、その4つの側面を育てるようにすると良い。

・interest(興味)を育てる、つまり興味を深めていく為には、物事の微妙なニュアンスを理解できる、楽しめるようになる必要がある。

・capacity to practice(練習できる力)を育てる為には、漫然と練習するのではなく、自分のできていない点(苦手な点)を把握し、その点を改善する為に集中して繰り返し練習し、少しずつ理想に近づけていく、ということを意識する必要がある。更に、そのような練習(deliberate practice)を習慣(habit)にすることが大切である。

・purpose(他者への貢献という目的)を育てる為には、日々の行動について、どうしたらより他者に貢献できるようになるのか考えてみることが大切である。ロール・モデルになる人を見つけて参考にするのも良い。

・hope(逆境から立ち直れる力)を身につける為には、能力は育てることができる(固定されたものではない)という意識を持つこと、前向き、楽天的な思考を持つよう努めることが大切である。そして、必要なときには、他の人に助け・助言を求めることも大事である。

・子供が"Grit"を身につける為には、高いハードルを設定しながらも、子供に寄り添う(必要に応じて手助けする)ような子育てが必要である。どちらか片方だけではうまくいかない。

・子供が"Grit"を身につける為には、課外活動(extracurricular activities)に参加させるのが有効である。その際は、子供本人が参加する課外活動を決めること、一度決めたら一定期間(数年間)は頑張って続けることが大切である。

・"Grit"を育てる為には、"Grit"の文化を持った組織を見つけて参加するのも有効である。

個人的には、本書を読んで「楽器・英語の練習・学習方法をもうちょっと工夫しよう」「練習・学習を毎日の習慣にしよう」と改めて思いました。あと、「あの人には生まれつき才能があるから…」と羨ましがる癖も、止めようと思いました。

理論的にすっきりしない箇所もありましたが、ここ数年話題になっている"Grit"について分かり易く書かれており、非常に興味深く読むことができました。

洋書としては、文章や単語もそれほど難しくなく、具体例も豊富で、比較的読み易かったです。教育に携わる人にだけではなく、より充実した人生を送りたいと思っている人にもお勧めできる本だと思いました。

ご参考までに、日本語訳はこちら…

2017年4月16日 (日)

読みました(ノンフィクション) ~ THE HAPPINESS PROJECT

先日読みましたGretchen Rubin氏の「Better Than Before」が、読みやすい英語で分かりやすく、自分の為にもなったので、本書も読んでみることにしました。少し古くて、2009年の著作です。

著者が、1年間に亘り、自分自身がより幸せになる方法を試行錯誤しながら模索するプロジェクトを実施し、それをまとめたものが本書です。著者のスタンスは…

"...I didn't want to reject my life. I wanted to change my life without changing my life, by finding more happiness in my own kitchen."

というものですので、人生に大きな変化を求めている人には物足りないかと思いますが、逆に、日々の生活を少し修正したいなぁ…と思っている人にはぴったりの本だと思います。

また、本書は、著者自信の話が殆どですし、その他についても、著者の知り合い、著者のブログに書き込んだ人達等の話であり、実験・調査に基づくデータ・統計等があまり出てきませんので、読む人によっては少し物足りなく感じると思います。逆に、親しみやすい本ではありますが。

著者は、月ごとにテーマを決めてプロジェクトに取組むのですが、各月のテーマは…

January : boost energy - Vitality
  Go to sleep earlier.
  Exercise better.
  Toss, restore, organize.
  Tackle a nagging task.
  Act more energetic.
 

February : remember love - Marriage
  Quit nagging.
  Don't expect praise or appreciation.
  Fight right.
  No dumping.
  Give proofs of love.
 

March : aim higher - Work
  Launch a blog.
  Enjoy the fun of failure.
  Ask for help.
  Work smart.
  Enjoy now.
 

April : lighten up - Parenthood
  Sing in the morning.
  Acknowledge the reality of people's feelings.
  Be a treasure house of happy memories.
  Take time for projects.
 

May : be serious about play - Leisure
  Find more fun.
  Take time to be silly.
  Go off the path.
  Start a collection.

June : make time for friends - Friendship
  Remember birthdays.
  Be generous.
  Show up.
  Don't gossip.
  Make three new friends.

July : buy some happiness - Money
  Indulge in a modest splurge.
  Buy needful things.
  Spend out.
  Give something up.

August : contemplate the heavens - Eternity
  Read memoirs of catastrophe.
  Keep a gratitude notebook.
  Imitate a spiritual master.

September : pursue a passion - Books
  Write a novel.
  Make time.
  Forget about results.
  Master a new technology.

October : pay attention - Mindfulness
  Meditate on koans.
  Examine True Rules.
  Stimulate the mind in new ways.
  Keep a food diary.

November : keep a contented heart - Attitude
  Laugh out loud.
  Use good manners.
  Give positive reviews.
  Find an area of refuge.

December : boot camp perfect - Happiness

といった感じです。

毎月、テーマに沿って、より幸せになる方法をいろいろ試してみるのですが、うまくいった方法だけでなく、うまくいかなかった方法についても率直に書いているところが、好感が持てました。著者も言っているように、「いろいろな方法を試しながら、自分にあったより幸せになる方法を見つけていくしかないのだなぁ…」と読みながらしみじみと感じました。

また、本書には、格言のようなフレーズが本当に沢山出てきます。個人的に気に入ったフレーズ、気になったフレーズをいくつか挙げますと…

All truly great thoughts are conceived while walking...

Although people believe they like to have lots of choice, in fact, having too many choices can be discouraging.

...even an artificially induced smile brings about happier emotions...

What you do every day matters more than what you do once in a while.

...we unconsciously overestimate our contributions or skills relative to other people.

It takes at least five positive marital actions to offset one critical or destructive action...

We are happy when we are growing.

By doing a little bit each day, you can get a lot accomplished.

If you're not failing, you're not trying hard enough.

...much of children's frustration comes not from being forced to do this or that but rather from the sheer fact that they're being ignored.

...people tend to persevere longer with problems they've been told are difficult as opposed to easy.

Studies show that recalling happy times helps boost happiness in the present.

What you enjoyed as a ten-year-old is probably something you'd enjoy now.

It's easier to complain than to laugh, easier to yell than to joke around, easier to be demanding than to be satisfied.

What's fun for other people may not be fun for you - and vice versa.

No deposit, no return.

一杯ありますね…

私にとっては、「Better Than Before」よりも単語が少し難しく、すらすらとは読めませんでしたが、それでもなかなか良い本でした。「Better Than Before」の方がよりお勧めですが、本書も読んでみる価値は十分あると思います。より幸せになる為のヒントが、沢山見つかると思いますよ。

2017年2月 4日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ Better Than Before

以前、紀伊國屋の洋書バーゲンで見つけて購入したのですが、やっと読むことができました。

この本は、「それぞれが幸せに暮らす為には、良い習慣を身に付ける、つまり、意識しなくても(自分にとって)好ましい行動が取れるようにすることが大事である。では、よい習慣を身に付けるためにはどうしたら良いか?」について考察している本だと思います。

著者の家族、親戚、友人の例や、著者のブログに書き込んだ人達の例などが沢山出てくるので、とても読みやすく、理解しやすく、親しみやすい本になっていると思います。実験・調査に基づくデータ・統計等が殆ど出てこないので、個人的には少し物足りなく感じましたが、著者はあえてそうしているような気がします。(人は、データ・統計等よりも、ある一人の物語の方に心を動かされますので…)

読み易さとしては、難しい単語もあまり出てこなく、文章もとても読み易いと思います。

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良い習慣を身に付ける為には、まずは自分を知る必要がある、ということで、第一章は「SELF - KNOWLEDGE」となっております。ポイントとしては…

・他人からの期待、自分自身からの期待にどう反応するかにより、人は凡そ、次の4つのタイプ(The Four Tendencies)に分類できる。

 Upholders "What's on the schedule and the to-do list for today?"

 →「やるべきことリスト」を作り、線で消していくのが好き。このタイプは以外と少ない。

 Questioners "What needs to get done today, and why?"

 →自分が納得した上でないと、実行したくない。このタイプは多い。

 Obligers "What must I do today?"

 →他の人から期待されていることは、よく実行できる。このタイプも多い。

 Rebels "What do I want to do today?"

 →その時々で、自分のしたいこをする。このタイプは少数派。

・自分の性格、特質(朝型?/倹約家?/シンプルがいい?/新しもの好き?/等々)(Distinctions)を理解した上で、それらにあった習慣を身に付ける必要がある。単に、他の人の習慣を真似ただけでは、うまくいかない。

次に、第二章「PILLARS OF HABITS」で、習慣を身に付ける際に最も重要となる、4つの戦略について考察しています。

・習慣を変える為には、まず、正確な現状把握(Monitoring)が大事である。(毎日、歩数計を使うとか、ピアノの練習時間を記録するとか…)

・他の習慣の基礎(Foundation)となる習慣として、①sleep(十分な睡眠)、②move(適度な運動)、③eat and drink right(健康的な食事)、④unclutter(身の回り整理)の4つが挙げられる。まずは、これらの習慣を改善するのが効果的である。

・好ましい習慣をバランス良く身につける為には、場当たり的では難しく、具体的に計画を立てること(Scheduling)が大事である。(仕事、家庭、趣味、健康等のバランスをどのようにとるか、予め具体的に落とし込む…)

・良い習慣を身につける為には、他の人に対して責任があること(Accountability)も大きな助けになる。(適度に監視の目が光っていた方が…)

続いて、習慣も初めが肝心ということで、第三章は「THE BEST TIME TO BEGIN」となっています。

・ある習慣を新たに始める(First Steps)際には、「(来年、来月、来週ではなく)今」「小さく」始めると、うまくいくことが多い。また、一旦止めてしまうと、再開するのは新たに始めるよりも大変なので、(形だけでも)継続することが大事。

・引越し、転勤、結婚、子供の誕生等々、新たなスタート(Clean Slate)は良い習慣を始めるチャンスであると共に、これまでの良い習慣が途絶えてしまう危険性もある。そいういう意味でも、正確な現状把握(Monitoring)を続けていくことは大事…

・習慣は徐々に形成されていくものだが、一方で、特別な本との出会い、一人旅、中年の危機等々、ある出来事を切っ掛けに新たな考え、信念が浮かんできて(Lightning Bolt)、突然、習慣が変わってしまうこともある。

そして、第四章「DESIRE, EASE, AND EXCUSES」では、習慣を続けていく為の戦略(コツ)をいろいろと紹介しています。

・人によっては、ある好ましくない習慣を(適度な量に)制限する(Moderating)よりも、一切止めてしまう(Abstaining)方が楽な場合がある。一切止めることに決めたら、今日はやろうかどうしようかと迷う必要がなくなるので、楽になる。

・よい習慣を身につける為には、その習慣をし易い環境(Convenience)を作ることが重要。(楽器の練習だったら、いつでもすぐに弾けるよう、楽器をケースにしまわず外に出しておく…レッスン料であれば、一回毎ではなく、月謝や年会費で払ってしまう…)

・悪い習慣を止める為には、その習慣をし難い環境(Inconvenience)を作るのが効果的。(スナック菓子を、目に付きにくい所にしまう、開けにくい容器にしまう…)

・どんな習慣でも、時には破りたくなることもあるから、予め対策(Safeguards)を立てておくとよい。(「疲れて楽器を練習したくない時でも、ロングトーンだけはやる」と予め決めておくとか…)

・どんな習慣でも、何かと理由をつけて休みたくなるものだから、思いつきがちな逃げ道(Loophole)を予め知っておくとよい。(「今週は頑張ったから…」「今日は忙しいから…」「明日から頑張るから…」「旅行中だから…」いろいろあるなぁ…)

・集中力が切れたり、他の(好ましくない)事に気がとられたりして、習慣がうまく続けられない時は、ちょっとした身体的活動を伴う気晴らしをしてみるとよい。(スナック菓子が食べたくなったり、ソーシャルメディアを見たくなった時には、ちょっと柔軟体操でもしてみるか…)

・習慣を身につける為に、「ご褒美(Reward)」がよく使われるが、逆に習慣が身に付くのを阻害している場合が多い。習慣は、それ自体に意義を見出せないと長続きしないが、「ご褒美」がそれを妨げてしまう。但し、習慣自体を強化する「ご褒美」はO.K.

・習慣を身につける為に「ご褒美(Reward)」を使うのはうまくないが、ちょっとした「楽しみ(Treats)」を使うのは効果的。但し、「食べ物」「買い物」「テレビ」は危険。(途中で、お茶を飲んだり、好きなカタログを見たり、好きな楽器を少しいじってみたり…)

・なかなか身につかない習慣は、好きな習慣と一組にして(一緒に)やるとうまくいくことがある(Pairing)。(好きな音楽を聴きながらウォーキングや体操をする…)

最終章「UNQUE, JUST LIKE EVERYONE ELSE」では、習慣をより根付かせる為に、より深く自分自身を理解することについて、考察しています。

・習慣を続ける為には、習慣の(自分にとっての)価値(意義)を明確にし(clarity of values)、行動計画も明確にする(clarity of action)とよい。

・自分の本性・個性(Identity)に合った習慣は身につきやすいし、合わない習慣は身につきにくい。(自分のアイデンティティを把握するのが、意外と難しいですが…)

・他人(Other People)の習慣を変えることはできないが、自分が習慣を変えることにより身近な人の習慣が変わるかもしれないし、逆に、身近な人の習慣の変化を切っ掛けに自分が変わるかもしれない。

最後の結論では、次のようなことを述べて、締めくくっています。

・一人一人が、自分に合った、長い目で見て幸せになれる習慣を少しずつ身につけられるといい。いわゆる「Before and After」(急激な変化)ではなく、「Better than Before」(着実な改善)を目指せばいい。

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「好ましい習慣を身に付ける効果的な方法は、人によって異なる」ということを前提にした上で、好ましい習慣を身に付けるヒントが沢山載っており、幅広い方に参考になる本だと思います。私にとっても、いろいろと気づきがあり、いくつか習慣を変えることにもなりました。

日々の暮らしに組み込まれているにも拘わらず、普段あまり意識することのない「習慣」について、読みやい英語で分かり易く考察している本であり、読む価値は十分にあると思います。お勧めです。

2016年12月 4日 (日)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Teacher Man

Frank McCourtの「Angela's Ashes」「'Tis」が面白かったので、続けて3作目の「Teacher Man」も読んでみました。McCourt氏が70代の時に出版された本です。

本作は、著者の英語教師としての経験を主に綴ったものになります。著者はNew Yorkで、5つの高校(専門高校、エリート校等)と1つのコミュニティ・カレッジで英語や作文を教えてきたのですが、どの場所でも、生徒達の興味を起こさせようと、試行錯誤しながら型にとらわれない授業をしていきます。

例えば…専門高校では、やる気のない生徒達を相手に、親から提出されることになっている遅刻・欠席の理由書(実は、親が書いてくれないので、生徒自身が想像力豊かに代筆している…)を題材に授業をしています。自分が親になったつもりになって、想像力豊かに遅刻・欠席の理由書を書いてみたり、さらに推し進めて、アダムとイブの神様に対する弁解書を書いてみたり、なかなか面白そうです。

例えば…エリート校では、詩の代わりに、料理本を題材に授業をしています。気に入った料理の材料や作り方を朗読してみたり、フルートやオーボエやギター等による伴奏をつけて朗読してみたり、こちらもなかなか面白そうです。

「Playing = Learning」という、よく言われていることだけど、なかなか実践できないことを、著者は試行錯誤しながら直感的に実践してきたのだなぁ…と思いました。

また、著者が素のままで生徒達と向き合っている、自分の経験、気持ちを生徒達に率直に伝えているのも印象的でした。知らないことは知らないと正直に言うし、自分も生徒達から学ぼうとしているし、あまり偉ぶっていないし…生徒達も、そのような著者だからこそ、生身の人間として共感できたのではないかと思いました。McCourt氏のような先生ばかりだったら、それはそれで収拾がつかなくなって大変そうだけど、こういう型にはまらない先生がもっといたらいいのになぁ…と思いました。

長い教員人生の中では、うまくいかないこと、生徒達と意思疎通できないことも一杯あったようですが、生徒達と共に深く学ぶことのできた、心を通わすことの出来た瞬間も一杯あったようで、著者はその思い出をとても大切にしているように感じました。

McCourt氏は、教師なんかやっていられないと思っている時もあるし、自分の人生について常に迷い、あがいているし、博士号の取得には失敗するし、結婚生活もうまくいかないし、皮肉屋だし、不器用だし、充実した人生なんて言葉からは程遠いように思うのですが、そうだからこそ、この自伝がとても魅力的になっているし、深く共感できるのだと思いました。

前2作と同じく、私にとっては単語も文体も難しかったのですが、一つ一つの生徒達とのエピソードが個性的、印象的で、最後まで飽きることなく読むことができました。前2作を面白く読んだので、もうそろそろ飽きてくるかなぁ…と思っていたのですが、そのようなことは全くありませんでした。相変わらず、子供には読ませられないような表現が多々出てきますが…

「なかなか、スマートに、要領よくは生きられないけど、それでも頑張って日々を過ごしていこう。」そう思わせてくる本でした。

最後に、覚えておきたいと思った文章をいくつか…

You don't have to respond to every stimulus.

I don't think anyone achieves complete freedom, but what I am trying to do with you is drive fear into a cornor. (F→F / from FEAR to FREEDOM)

...it is the business of the young to push the old off the planet.

2016年10月28日 (金)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ 'Tis

Frank McCourtの「Angela's Ashes」がとっても面白かったので、そのまま続けて、続編である「'Tis」も読んでみました。

前作「Angela's Ashes」は、著者(Frank)がアメリカに船で着いたところで終わりますが(1949年)、本作はその後の物語です。

アイルランドからアメリカに来て、最初はホテルの清掃員として働き、軍隊に徴兵され、その後倉庫や港湾で働き、銀行で働き、様々なオフィスで派遣として働き、働きながら大学で勉強し(1954年から正規の学生)、希望かなって教師になったが(1958年)、勉強する気のない高校生相手に悪戦苦闘しながら、恋をし、結婚をし(1961年)、子供が生まれ(1971年)、その間に、兄弟がアメリカに来て、母親もアメリカに来て、家族を捨てたアル中の父親がアイルランドから会いに来て(1963年)、母親が亡くなり、父親が亡くなり(1985年)、母親の遺灰(Angela's Ashes) をアイルランド(リムリック)に持ち帰るまでが描かれています。

一人の人生を振り返ったに過ぎない、と言ってしまえばそれまでですが、アイルランド人であること等の劣等感を抱えながら、情けない思いを何度もしながら、それでもなんとか前に進もうともがきながら、やっぱり駄目でうまくいかないけれど、それでも少しずつ状況は良くなっているような、やっぱり良くなっていないような、そんなFrankの行動・視点・考え方がとても面白く、可笑しく 、暖かく、切なく、真剣で、なんとも言えない感じで、読み終えるのがもったいなかったです。

前作と同じく、私にとっては単語も文体も難しかったのですが、話が面白いので、読むのが苦になりませんでした。また、青年 から大人になっていく過程が描かれていることもあり、子供には読ませられないような表現が多々出てきますので、万人には進められないかなぁ…とちょっと思いました。

本作も、前作同様、読んでいると不思議に元気が出てくる本でした。日々の生活において小さなことでくよくよ悩むことはよくあると思うのですが、「駄目なところも一杯あるけど、そんな小さなことは笑い飛ばして、日々を生きていこうか…」と思わせてくれるような本でした。何とも言えない不思議な魅力の詰まった本です。

ちなみに邦訳は「アンジェラの祈り」というタイトルで出版されています。

2016年9月24日 (土)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Angela's Ashes

アイルランドを舞台にしていること、1996年に出版された原作がピューリッツアー賞等を受賞していることから興味を持ち、10年以上前に映画(吹き替え版)を観ました。その時は、正直それほど面白いとは思いませんでした。

先日、紀伊國屋の洋書バーゲンで原作を見つけたので、改めて読んでみました。

単語も文体も私には難しく、最初の十数頁で挫折しそうになったのですが、なんとか頑張って読み進めていくと、文体にも慣れてきて、数十頁読んだくらいから、非常に面白くなってきました。

主に、第二次世界大戦頃のアイルランドのリムリック(Limerick)を舞台にした作品で、著者(Frank McCourt)が自分の子供時代から青年時代、アメリカへ旅立つまでを描いた回想録です。

貧しさのせいで妹や弟二人を失い、アル中の父(Malachy)は僅かな賃金も失業手当もすべてギネスの飲み代に使い果たしてしまい、食べる物も殆どなく、靴も服もズボンもボロボロで、母(Angela)もすっかり疲れ果ててしまい、もう本当にどうしようもない極貧の(惨めな)状況なのですが、それでもFrankは、逞しく、したたかに、そして(ある意味)真面目に生きていきます。

そんな貧しいリムリックでの生活が、Frankの目を通して描かれます。Frankの子供時代、青年時代の思考がユーモアがあって面白く、とても笑ってはいられないようなひどい状況なのですが、読みながら思わず笑わずにはいられませんでした。また、当時はカトリック教会の影響力が大きく、Frankの思考にも大きな影響を与えているのですが、それも非常に興味深かった(面白かった)です。

個人的には、アイルランドの伝統音楽をやっているので、アイルランドのダンスの話が出てきたのも興味深かったです。

映画を観ていたので、結末はなんとなく覚えていたのですが、それでも、最後まで面白く楽しく読むことができました。ペーパーバックで400頁以上ありましたが、(読み始め以外は)長いのも苦にならず、久しぶりに読み終えるのがもったいないと思えた作品でした。お勧めです!

It's lovely to know the world can't interfere with the inside of your head.

You might be poor, your shoes might be broken, but your mind is a palace.

(本文中より…)

2016年7月10日 (日)

読みました(洋書/ビジネス) ~ The Essential Drucker

ビジネス書をよく読むのですが、まだDrucker氏の本を一冊も読んだことがなかったので、本書を読んでみました。1940年代から1990年代に書かれた同氏の数多く著作からエッセンスを抜き出したような本で、同氏のマネジメント論を広く(浅く?)知ることができるようになっております。

文章や語彙が私にとっては少々難しく、読むのに時間がかかりましたが、事例が豊富なので、最後まで飽きずに読み通すことができました。また、日本のことや、事例としてソニーやホンダといった会社も出てくるので、興味深く読むことができました。26の章に分かれているのも、細かく区切りをつけながら読むことができて良かったです。

Drucker氏のマネジメント論の「全体像」を把握する為の本なので、少々物足りなく感じる時もありますが、「なるほどなぁ…」「気をつけたいなぁ…」と思う箇所が沢山ありました。いくつか挙げてみますと…

1. Management as social function and liberal art より

Not to innovate is the single largest reason for the decline of existing organizations. Not to know how to manage is the single largst reason for the failure of new ventures.

→勤め先について言えば前者に注意しないと。ただ、新規事業については後者か…

Management is about human beings. Its task is to make people capable of joint performance, to make their strengths effective and their weaknesses irrelevant.

→「個々人の弱みを無意味にする」というのが大切かと思います。

5. Social impacts and social problems より

Healthy businesses require a healthy, or at least a functioning, society. The health of the community is a prerequisite for successful and growing business.

→当たり前のことなのですが、ついつい忘れがち。CSRの根底にある考えでしょうか。

8. Management by objectives and self-control より

The hierarchical structure of management aggravates the danger. What the "boss" does and say, his most casual remarks, habits, even mannerisms, tend to appear to subordinates as  calculated, planned, and meaningful.

→どのようなレベルであれ、リーダーが常に意識しなければならないこと。一方的なコミュニケーションに陥っていないか、常に謙虚な検証が必要。

To "control" everything is to control nothing. And to attempt to control the irrelevant always misdirects.

→「木を見て森を見ず」ということでしょうか。審査部門として陥りがちなので、要注意。

9. Picking people - the basic rules より

Usually every man who was good at this task had serious weaknesses in other areas.

→他人もそうだし、自分もそう。

One executive's judgment alone is worthless. Because all of us have first impressions, prejudices, likes, and dislikes, we need to listen to what other people think.

→これも、あらゆるレベルのリーダーが常に意識しなければならないこと。常に謙虚な姿勢で。

14. Focus on contribution より

The effective person focuses on contribution. He looks up from his work and outward toward goals. He asks, "What can I contribute that will significantly affect the performance and the results of the institution I serve?"

→"What can I contribute?"という問いかけを、常にしていきたいと思いました。

The most common cause of failure is inability or unwillingness to change with the demands of a new positon. The knowledge worker who keeps on doing what he has done successfully before he moved is almost bound to fail.

→なかなか耳の痛い話ですが、その通りなんでしょうね。

15. Know your strengths and values より

Waste as little effort as possible on improving areas of low competence. Concentration should be on areas of high competence and high skill. It takes far more energy and far more work to improve from incompetence to low mediocrity than it takes to improve from first-rate performance to excellence.

→「苦手分野を克服しなくては」と考えがちですが、それは非効率なのか…意外でした。

16. Know your time より

Actually, all one has to do is to learn to say no if an activity contributes nothing to one's own organization, to oneself, or to the organization for which it is to be performed.

→断る勇気が必要。

But above all, meetings have to be the exception rather than the rule. An organization in which everybody meets all the time is an organization in which no one gets anything done.

→これも耳の痛い話ですが、気をつけないと…

Even one quarter of the working day, if consolidated in large time units, is usually enough to get the important things done. But the three quarters of the working day are useless if it is only available as fifteen minutes here or half an hour there.

→忘れがちですがとても大事なこと。「電話」や「メールのお知らせ」でいちいち中断されていては、まともな仕事ができないのは当たり前。

17. Effective decisions より

Whenever one has to judge, one must have alternatives among which to choose. A judgment in which one can only say yes or no is no judgment at all.

→対案は、しっかり用意しておかないとなぁ…

21. The second half of your life より

For where there is success, there has to be failure. And then it is vitally important for the individual - but equally for the individual's family - that there be an area in which the individual contributes, makes a difference, and is somebody. That means having a second area, whether a second career, a parallel career, a social venture, a serious outside interest, anything offering an opportunity for being a leader, for being respected, for being a success.

→組織としてではなく、個人として大事なこと。将来的に、ますます大切になってくる観点だと思います。

24. The coming of entrepreneurial society より

They can no longer assume that what they have learned as children and youngsters will be the "foundation" for the rest of their lives. It will be the "launching pad" - the place to take off from rather than the place to build on and to rest on.

→一生、学び続けて、変わり続けなくてはならない、ということでしょうか。

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また、全体を通して、「お客様(customer)を中心に」という考えが、随所に、繰り返し出てきたのが印象的でした。

Finally, the single most important thing to remember about any enterprise is that results exist only on the outside. The result of a business is a satisfied customer.

It is the customer who determines what a business is. It is the customer alone whose willingness to pay for a good or for a service converts economic resources into wealth, things into goods.

Business are not paid to reform customers, They are paid to satisfy customers.

All the strategies discussed in this section have one thing in common. They create a customer - and that is the ultimate purpose of a business, indeed, of economic activity.

But there are no "irrational customers." As an old saying has it, There are only lazy manufacturers. The customer has to be assumed to be rational. His or her reality, however, is usually quite different from that of the manufacturer.

It also means that the center of gravity, and the center of power, will be the customer. In the last thirty years, the center of power has shifted from the supplier, the manufacturer, to the distributor. In the next thirty years, it will certainly shift to the customer - for the simple reason that the customer now has full access to information worldwide.

本書には、最近のビジネス書に書かれていることが沢山書かれており、Drucker氏の考えは現在のマネジメント論の基礎になっているのだなぁ…としみじみ思いました。少々読みにくいかもしれませんが、一読の価値のある本だと思います。

2016年4月28日 (木)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Unfinished Business

渡辺由佳里さんの洋書ファンクラブ紹介記事を読んで、「いつか読もう!」と思っていた本です。仕事でバタバタしていてなかなか読めなかったのですが、やっと読むことができました。

国際関係の専門家・学者であり、Hillary Clintonの下で重責を担ったこともある著者が、自己の経験を踏まえつつ、「女性と男性とが同等に活躍できる社会を実現する為にはどうしたらよいか?」について、考えを述べている本です。

同じテーマについて書かれた本としては、FacebookのCOOであるSheryl Sandbergの「Lean In」が有名ですが、同書が客観的なデータに基づきつつも、意図的に著者の感情を前面に出して書かれていたのと対照的に、本書は、感情を前面に出さず、冷静且つ丁寧に主張が展開されていると思いました。

まず、本書の「Part I」では、私たちが女性の社会進出に対して持っている典型的な考え方、例えば、

・女性でも、とにかく仕事に熱心に取組みさえすれば、すべてを手に入れられる。

・女性は、サポートしてくれる適切な人と結婚すれば、すべてを手に入れられる。

・子供には母親が必要である。

・男性の仕事は稼ぐことである。

・女性の社会進出が進まないのは、女性自身の問題である。

・長時間働く人が、一番良い仕事をしている。

といったような考え方について丁寧に検証し、「必ずしもそうとは限らないのでは?」と問題提起しています。

そして、「Part Ⅱ」では、上記のような典型的な考え方に囚われることなく、少し違った角度から考えてみる必要があるとして、

・女性と男性の真の平等を実現する為には、会社のトップとして活躍しているような女性だけではなく、すべての女性の置かれている状況を見ることが肝要である。

・世間一般で、「仕事すること」に比べて「世話すること(子育て、介護、家事)」が軽んじられていることが、女性の置かれている状況を厳しいものにしている。

・「世話すること」は「仕事すること」と同様に、様々なスキル(忍耐力、柔軟性、共感力等)を必要とするのであり、骨の折れる大変なことである。

・女性だけでなく、男性の選択肢も広げていく必要がある。いわゆる「男らしさ」に縛られることなく、自分の気持ちに忠実に生きられるようにする必要がある。

・女性は、男性が世話(子育て、介護、家事)をする際には、一つ一つ指示を出したりせず、男性のやり方に任せた方がよい

といったような視点を持つことが大切だと、主張しています。

その上で、最後の「Part Ⅲ」において、女性と男性の真の平等を実現する為に採るべき具体的方策として、

①話し方を変えることで、考え方も変えていく。

・母親がしても当然と思われるようなこと(平日の学校行事に出席する等)を父親がしたぐらいで、過剰に賞賛するのは良くない。

・ビジネスの世界で、女性を紹介する時には「2児の母親でもあります」というように紹介する一方で、男性を紹介するときには父親としては紹介しない、というのもよろしくない。

・職場において、子育て、介護、家事等に関することを正直に話すべきである。

・女性だけでなく男性に対しても、将来どのように家庭と仕事のバランスをとるつもりなのか訊くべきである。

②今後どのように仕事をしていくか、予め計画しておく(計画通りにはいかないが…)。

・将来の一時期、「世話すること(子育て、介護、家事)」に重きを置くために、より時間に融通の効く働き方をしたり、あまり大変でない仕事についたりすることを、予め想定しておく。

・「世話すること」の為に完全に仕事を辞めてしまうのはよくない。パートタイムでもいいので、将来につながる仕事を続けていくべきである。

・家庭と仕事の両立が立ち行かなくなった時に、慌てて対策を考えるのではうまくいかない。

・普段から、いざという時にサポートしてくれる人的ネットワークを構築するよう努めることが大切である。

③職場を変えていく。

・フリーランス、契約社員といったような働き方は、地位が不安定になるが、時間に融通が効くことが多いので、世話(子育て、介護、家事)をしながら働く人にとっては、考慮すべき働き方である。

・インターネット等を使って在宅勤務できるような会社も増えてきており、世話をしながら働く人にとって好ましい動きである。

・世話をしながら働くために会社に求めることを、まずは上司等に伝え、そのようなニーズがあることを会社に分かってもらう必要がある。

・長時間勤務は生産性が下がることを認識し、職場にいる時間ではなく、仕事の成果で評価されるように変えていかなくてはならない。

・「世話すること」に必要なスキル(忍耐力、柔軟性、共感等)は、仕事において必要なスキルでもあるので、世話しながら働くことをもっと評価する必要がある。

④「世話すること」を大切にする市民になる。

・世話(子育て、介護、家事)している人達をサポートするのは、個々の会社だけでは限界があるので、そのような政策を政治的に実現していく必要がある。

・現在はまだ、「世話すること」を担っている人の多くは女性なので、より多くの女性を政治の世界に送り込む必要がある。

・「世話すること」は、次世代を育てることでもあり、国の将来を左右するような極めて重要なことであり、国として「世話すること」に積極的に投資していく必要がある。

といったことを提唱して、本書を終えています。

本書は、先ほど挙げた「Lean In」でにおける、

・一人でも多くの女性が、もっともっと積極的に前に出て、組織、政治等のリーダーとなって、社会を変えていく必要がある。

・仕事と家庭の両立について若いうちから考え過ぎて、初めから一歩引いてしまっては駄目である。

といった主張とはまた違った視点から書かれていて、なかなか興味深く読むことができました。

「世話すること(子育て、介護、家事)」を今よりもっと大事にする(評価する)意識が世間一般に浸透すれば、女性も男性も、世話(子育て、家事、介護)しながら働きやすくなり、その結果として、より良い人生が送れるようになるのだと思います。

短い期間でそのような変化を起こすのは、正直難しいとは思いますが、まずは自分のできる範囲から、そのような変化を起こしていきたいなぁ…と思いました。

「Lean In」ほどは読みやすくないですが、女性と男性の平等についてじっくり考えることのできる良書だと思います。

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