ノンフィクション

2017年2月 4日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ Better Than Before

以前、紀伊國屋の洋書バーゲンで見つけて購入したのですが、やっと読むことができました。

この本は、「それぞれが幸せに暮らす為には、良い習慣を身に付ける、つまり、意識しなくても(自分にとって)好ましい行動が取れるようにすることが大事である。では、よい習慣を身に付けるためにはどうしたら良いか?」について考察している本だと思います。

著者の家族、親戚、友人の例や、著者のブログに書き込んだ人達の例などが沢山出てくるので、とても読みやすく、理解しやすく、親しみやすい本になっていると思います。実験・調査に基づくデータ・統計等が殆ど出てこないので、個人的には少し物足りなく感じましたが、著者はあえてそうしているような気がします。(人は、データ・統計等よりも、ある一人の物語の方に心を動かされますので…)

読み易さとしては、難しい単語もあまり出てこなく、文章もとても読み易いと思います。

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良い習慣を身に付ける為には、まずは自分を知る必要がある、ということで、第一章は「SELF - KNOWLEDGE」となっております。ポイントとしては…

・他人からの期待、自分自身からの期待にどう反応するかにより、人は凡そ、次の4つのタイプ(The Four Tendencies)に分類できる。

 Upholders "What's on the schedule and the to-do list for today?"

 →「やるべきことリスト」を作り、線で消していくのが好き。このタイプは以外と少ない。

 Questioners "What needs to get done today, and why?"

 →自分が納得した上でないと、実行したくない。このタイプは多い。

 Obligers "What must I do today?"

 →他の人から期待されていることは、よく実行できる。このタイプも多い。

 Rebels "What do I want to do today?"

 →その時々で、自分のしたいこをする。このタイプは少数派。

・自分の性格、特質(朝型?/倹約家?/シンプルがいい?/新しもの好き?/等々)(Distinctions)を理解した上で、それらにあった習慣を身に付ける必要がある。単に、他の人の習慣を真似ただけでは、うまくいかない。

次に、第二章「PILLARS OF HABITS」で、習慣を身に付ける際に最も重要となる、4つの戦略について考察しています。

・習慣を変える為には、まず、正確な現状把握(Monitoring)が大事である。(毎日、歩数計を使うとか、ピアノの練習時間を記録するとか…)

・他の習慣の基礎(Foundation)となる習慣として、①sleep(十分な睡眠)、②move(適度な運動)、③eat and drink right(健康的な食事)、④unclutter(身の回り整理)の4つが挙げられる。まずは、これらの習慣を改善するのが効果的である。

・好ましい習慣をバランス良く身につける為には、場当たり的では難しく、具体的に計画を立てること(Scheduling)が大事である。(仕事、家庭、趣味、健康等のバランスをどのようにとるか、予め具体的に落とし込む…)

・良い習慣を身につける為には、他の人に対して責任があること(Accountability)も大きな助けになる。(適度に監視の目が光っていた方が…)

続いて、習慣も初めが肝心ということで、第三章は「THE BEST TIME TO BEGIN」となっています。

・ある習慣を新たに始める(First Steps)際には、「(来年、来月、来週ではなく)今」「小さく」始めると、うまくいくことが多い。また、一旦止めてしまうと、再開するのは新たに始めるよりも大変なので、(形だけでも)継続することが大事。

・引越し、転勤、結婚、子供の誕生等々、新たなスタート(Clean Slate)は良い習慣を始めるチャンスであると共に、これまでの良い習慣が途絶えてしまう危険性もある。そいういう意味でも、正確な現状把握(Monitoring)を続けていくことは大事…

・習慣は徐々に形成されていくものだが、一方で、特別な本との出会い、一人旅、中年の危機等々、ある出来事を切っ掛けに新たな考え、信念が浮かんできて(Lightning Bolt)、突然、習慣が変わってしまうこともある。

そして、第四章「DESIRE, EASE, AND EXCUSES」では、習慣を続けていく為の戦略(コツ)をいろいろと紹介しています。

・人によっては、ある好ましくない習慣を(適度な量に)制限する(Moderating)よりも、一切止めてしまう(Abstaining)方が楽な場合がある。一切止めることに決めたら、今日はやろうかどうしようかと迷う必要がなくなるので、楽になる。

・よい習慣を身につける為には、その習慣をし易い環境(Convenience)を作ることが重要。(楽器の練習だったら、いつでもすぐに弾けるよう、楽器をケースにしまわず外に出しておく…レッスン料であれば、一回毎ではなく、月謝や年会費で払ってしまう…)

・悪い習慣を止める為には、その習慣をし難い環境(Inconvenience)を作るのが効果的。(スナック菓子を、目に付きにくい所にしまう、開けにくい容器にしまう…)

・どんな習慣でも、時には破りたくなることもあるから、予め対策(Safeguards)を立てておくとよい。(「疲れて楽器を練習したくない時でも、ロングトーンだけはやる」と予め決めておくとか…)

・どんな習慣でも、何かと理由をつけて休みたくなるものだから、思いつきがちな逃げ道(Loophole)を予め知っておくとよい。(「今週は頑張ったから…」「今日は忙しいから…」「明日から頑張るから…」「旅行中だから…」いろいろあるなぁ…)

・集中力が切れたり、他の(好ましくない)事に気がとられたりして、習慣がうまく続けられない時は、ちょっとした身体的活動を伴う気晴らしをしてみるとよい。(スナック菓子が食べたくなったり、ソーシャルメディアを見たくなった時には、ちょっと柔軟体操でもしてみるか…)

・習慣を身につける為に、「ご褒美(Reward)」がよく使われるが、逆に習慣が身に付くのを阻害している場合が多い。習慣は、それ自体に意義を見出せないと長続きしないが、「ご褒美」がそれを妨げてしまう。但し、習慣自体を強化する「ご褒美」はO.K.

・習慣を身につける為に「ご褒美(Reward)」を使うのはうまくないが、ちょっとした「楽しみ(Treats)」を使うのは効果的。但し、「食べ物」「買い物」「テレビ」は危険。(途中で、お茶を飲んだり、好きなカタログを見たり、好きな楽器を少しいじってみたり…)

・なかなか身につかない習慣は、好きな習慣と一組にして(一緒に)やるとうまくいくことがある(Pairing)。(好きな音楽を聴きながらウォーキングや体操をする…)

最終章「UNQUE, JUST LIKE EVERYONE ELSE」では、習慣をより根付かせる為に、より深く自分自身を理解することについて、考察しています。

・習慣を続ける為には、習慣の(自分にとっての)価値(意義)を明確にし(clarity of values)、行動計画も明確にする(clarity of action)とよい。

・自分の本性・個性(Identity)に合った習慣は身につきやすいし、合わない習慣は身につきにくい。(自分のアイデンティティを把握するのが、意外と難しいですが…)

・他人(Other People)の習慣を変えることはできないが、自分が習慣を変えることにより身近な人の習慣が変わるかもしれないし、逆に、身近な人の習慣の変化を切っ掛けに自分が変わるかもしれない。

最後の結論では、次のようなことを述べて、締めくくっています。

・一人一人が、自分に合った、長い目で見て幸せになれる習慣を少しずつ身につけられるといい。いわゆる「Before and After」(急激な変化)ではなく、「Better than Before」(着実な改善)を目指せばいい。

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「好ましい習慣を身に付ける効果的な方法は、人によって異なる」ということを前提にした上で、好ましい習慣を身に付けるヒントが沢山載っており、幅広い方に参考になる本だと思います。私にとっても、いろいろと気づきがあり、いくつか習慣を変えることにもなりました。

日々の暮らしに組み込まれているにも拘わらず、普段あまり意識することのない「習慣」について、読みやい英語で分かり易く考察している本であり、読む価値は十分にあると思います。お勧めです。

2016年12月 4日 (日)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Teacher Man

Frank McCourtの「Angela's Ashes」「'Tis」が面白かったので、続けて3作目の「Teacher Man」も読んでみました。McCourt氏が70代の時に出版された本です。

本作は、著者の英語教師としての経験を主に綴ったものになります。著者はNew Yorkで、5つの高校(専門高校、エリート校等)と1つのコミュニティ・カレッジで英語や作文を教えてきたのですが、どの場所でも、生徒達の興味を起こさせようと、試行錯誤しながら型にとらわれない授業をしていきます。

例えば…専門高校では、やる気のない生徒達を相手に、親から提出されることになっている遅刻・欠席の理由書(実は、親が書いてくれないので、生徒自身が想像力豊かに代筆している…)を題材に授業をしています。自分が親になったつもりになって、想像力豊かに遅刻・欠席の理由書を書いてみたり、さらに推し進めて、アダムとイブの神様に対する弁解書を書いてみたり、なかなか面白そうです。

例えば…エリート校では、詩の代わりに、料理本を題材に授業をしています。気に入った料理の材料や作り方を朗読してみたり、フルートやオーボエやギター等による伴奏をつけて朗読してみたり、こちらもなかなか面白そうです。

「Playing = Learning」という、よく言われていることだけど、なかなか実践できないことを、著者は試行錯誤しながら直感的に実践してきたのだなぁ…と思いました。

また、著者が素のままで生徒達と向き合っている、自分の経験、気持ちを生徒達に率直に伝えているのも印象的でした。知らないことは知らないと正直に言うし、自分も生徒達から学ぼうとしているし、あまり偉ぶっていないし…生徒達も、そのような著者だからこそ、生身の人間として共感できたのではないかと思いました。McCourt氏のような先生ばかりだったら、それはそれで収拾がつかなくなって大変そうだけど、こういう型にはまらない先生がもっといたらいいのになぁ…と思いました。

長い教員人生の中では、うまくいかないこと、生徒達と意思疎通できないことも一杯あったようですが、生徒達と共に深く学ぶことのできた、心を通わすことの出来た瞬間も一杯あったようで、著者はその思い出をとても大切にしているように感じました。

McCourt氏は、教師なんかやっていられないと思っている時もあるし、自分の人生について常に迷い、あがいているし、博士号の取得には失敗するし、結婚生活もうまくいかないし、皮肉屋だし、不器用だし、充実した人生なんて言葉からは程遠いように思うのですが、そうだからこそ、この自伝がとても魅力的になっているし、深く共感できるのだと思いました。

前2作と同じく、私にとっては単語も文体も難しかったのですが、一つ一つの生徒達とのエピソードが個性的、印象的で、最後まで飽きることなく読むことができました。前2作を面白く読んだので、もうそろそろ飽きてくるかなぁ…と思っていたのですが、そのようなことは全くありませんでした。相変わらず、子供には読ませられないような表現が多々出てきますが…

「なかなか、スマートに、要領よくは生きられないけど、それでも頑張って日々を過ごしていこう。」そう思わせてくる本でした。

最後に、覚えておきたいと思った文章をいくつか…

You don't have to respond to every stimulus.

I don't think anyone achieves complete freedom, but what I am trying to do with you is drive fear into a cornor. (F→F / from FEAR to FREEDOM)

...it is the business of the young to push the old off the planet.

2016年10月28日 (金)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ 'Tis

Frank McCourtの「Angela's Ashes」がとっても面白かったので、そのまま続けて、続編である「'Tis」も読んでみました。

前作「Angela's Ashes」は、著者(Frank)がアメリカに船で着いたところで終わりますが(1949年)、本作はその後の物語です。

アイルランドからアメリカに来て、最初はホテルの清掃員として働き、軍隊に徴兵され、その後倉庫や港湾で働き、銀行で働き、様々なオフィスで派遣として働き、働きながら大学で勉強し(1954年から正規の学生)、希望かなって教師になったが(1958年)、勉強する気のない高校生相手に悪戦苦闘しながら、恋をし、結婚をし(1961年)、子供が生まれ(1971年)、その間に、兄弟がアメリカに来て、母親もアメリカに来て、家族を捨てたアル中の父親がアイルランドから会いに来て(1963年)、母親が亡くなり、父親が亡くなり(1985年)、母親の遺灰(Angela's Ashes) をアイルランド(リムリック)に持ち帰るまでが描かれています。

一人の人生を振り返ったに過ぎない、と言ってしまえばそれまでですが、アイルランド人であること等の劣等感を抱えながら、情けない思いを何度もしながら、それでもなんとか前に進もうともがきながら、やっぱり駄目でうまくいかないけれど、それでも少しずつ状況は良くなっているような、やっぱり良くなっていないような、そんなFrankの行動・視点・考え方がとても面白く、可笑しく 、暖かく、切なく、真剣で、なんとも言えない感じで、読み終えるのがもったいなかったです。

前作と同じく、私にとっては単語も文体も難しかったのですが、話が面白いので、読むのが苦になりませんでした。また、青年 から大人になっていく過程が描かれていることもあり、子供には読ませられないような表現が多々出てきますので、万人には進められないかなぁ…とちょっと思いました。

本作も、前作同様、読んでいると不思議に元気が出てくる本でした。日々の生活において小さなことでくよくよ悩むことはよくあると思うのですが、「駄目なところも一杯あるけど、そんな小さなことは笑い飛ばして、日々を生きていこうか…」と思わせてくれるような本でした。何とも言えない不思議な魅力の詰まった本です。

ちなみに邦訳は「アンジェラの祈り」というタイトルで出版されています。

2016年9月24日 (土)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Angela's Ashes

アイルランドを舞台にしていること、1996年に出版された原作がピューリッツアー賞等を受賞していることから興味を持ち、10年以上前に映画(吹き替え版)を観ました。その時は、正直それほど面白いとは思いませんでした。

先日、紀伊國屋の洋書バーゲンで原作を見つけたので、改めて読んでみました。

単語も文体も私には難しく、最初の十数頁で挫折しそうになったのですが、なんとか頑張って読み進めていくと、文体にも慣れてきて、数十頁読んだくらいから、非常に面白くなってきました。

主に、第二次世界大戦頃のアイルランドのリムリック(Limerick)を舞台にした作品で、著者(Frank McCourt)が自分の子供時代から青年時代、アメリカへ旅立つまでを描いた回想録です。

貧しさのせいで妹や弟二人を失い、アル中の父(Malachy)は僅かな賃金も失業手当もすべてギネスの飲み代に使い果たしてしまい、食べる物も殆どなく、靴も服もズボンもボロボロで、母(Angela)もすっかり疲れ果ててしまい、もう本当にどうしようもない極貧の(惨めな)状況なのですが、それでもFrankは、逞しく、したたかに、そして(ある意味)真面目に生きていきます。

そんな貧しいリムリックでの生活が、Frankの目を通して描かれます。Frankの子供時代、青年時代の思考がユーモアがあって面白く、とても笑ってはいられないようなひどい状況なのですが、読みながら思わず笑わずにはいられませんでした。また、当時はカトリック教会の影響力が大きく、Frankの思考にも大きな影響を与えているのですが、それも非常に興味深かった(面白かった)です。

個人的には、アイルランドの伝統音楽をやっているので、アイルランドのダンスの話が出てきたのも興味深かったです。

映画を観ていたので、結末はなんとなく覚えていたのですが、それでも、最後まで面白く楽しく読むことができました。ペーパーバックで400頁以上ありましたが、(読み始め以外は)長いのも苦にならず、久しぶりに読み終えるのがもったいないと思えた作品でした。お勧めです!

It's lovely to know the world can't interfere with the inside of your head.

You might be poor, your shoes might be broken, but your mind is a palace.

(本文中より…)

2016年7月10日 (日)

読みました(洋書/ビジネス) ~ The Essential Drucker

ビジネス書をよく読むのですが、まだDrucker氏の本を一冊も読んだことがなかったので、本書を読んでみました。1940年代から1990年代に書かれた同氏の数多く著作からエッセンスを抜き出したような本で、同氏のマネジメント論を広く(浅く?)知ることができるようになっております。

文章や語彙が私にとっては少々難しく、読むのに時間がかかりましたが、事例が豊富なので、最後まで飽きずに読み通すことができました。また、日本のことや、事例としてソニーやホンダといった会社も出てくるので、興味深く読むことができました。26の章に分かれているのも、細かく区切りをつけながら読むことができて良かったです。

Drucker氏のマネジメント論の「全体像」を把握する為の本なので、少々物足りなく感じる時もありますが、「なるほどなぁ…」「気をつけたいなぁ…」と思う箇所が沢山ありました。いくつか挙げてみますと…

1. Management as social function and liberal art より

Not to innovate is the single largest reason for the decline of existing organizations. Not to know how to manage is the single largst reason for the failure of new ventures.

→勤め先について言えば前者に注意しないと。ただ、新規事業については後者か…

Management is about human beings. Its task is to make people capable of joint performance, to make their strengths effective and their weaknesses irrelevant.

→「個々人の弱みを無意味にする」というのが大切かと思います。

5. Social impacts and social problems より

Healthy businesses require a healthy, or at least a functioning, society. The health of the community is a prerequisite for successful and growing business.

→当たり前のことなのですが、ついつい忘れがち。CSRの根底にある考えでしょうか。

8. Management by objectives and self-control より

The hierarchical structure of management aggravates the danger. What the "boss" does and say, his most casual remarks, habits, even mannerisms, tend to appear to subordinates as  calculated, planned, and meaningful.

→どのようなレベルであれ、リーダーが常に意識しなければならないこと。一方的なコミュニケーションに陥っていないか、常に謙虚な検証が必要。

To "control" everything is to control nothing. And to attempt to control the irrelevant always misdirects.

→「木を見て森を見ず」ということでしょうか。審査部門として陥りがちなので、要注意。

9. Picking people - the basic rules より

Usually every man who was good at this task had serious weaknesses in other areas.

→他人もそうだし、自分もそう。

One executive's judgment alone is worthless. Because all of us have first impressions, prejudices, likes, and dislikes, we need to listen to what other people think.

→これも、あらゆるレベルのリーダーが常に意識しなければならないこと。常に謙虚な姿勢で。

14. Focus on contribution より

The effective person focuses on contribution. He looks up from his work and outward toward goals. He asks, "What can I contribute that will significantly affect the performance and the results of the institution I serve?"

→"What can I contribute?"という問いかけを、常にしていきたいと思いました。

The most common cause of failure is inability or unwillingness to change with the demands of a new positon. The knowledge worker who keeps on doing what he has done successfully before he moved is almost bound to fail.

→なかなか耳の痛い話ですが、その通りなんでしょうね。

15. Know your strengths and values より

Waste as little effort as possible on improving areas of low competence. Concentration should be on areas of high competence and high skill. It takes far more energy and far more work to improve from incompetence to low mediocrity than it takes to improve from first-rate performance to excellence.

→「苦手分野を克服しなくては」と考えがちですが、それは非効率なのか…意外でした。

16. Know your time より

Actually, all one has to do is to learn to say no if an activity contributes nothing to one's own organization, to oneself, or to the organization for which it is to be performed.

→断る勇気が必要。

But above all, meetings have to be the exception rather than the rule. An organization in which everybody meets all the time is an organization in which no one gets anything done.

→これも耳の痛い話ですが、気をつけないと…

Even one quarter of the working day, if consolidated in large time units, is usually enough to get the important things done. But the three quarters of the working day are useless if it is only available as fifteen minutes here or half an hour there.

→忘れがちですがとても大事なこと。「電話」や「メールのお知らせ」でいちいち中断されていては、まともな仕事ができないのは当たり前。

17. Effective decisions より

Whenever one has to judge, one must have alternatives among which to choose. A judgment in which one can only say yes or no is no judgment at all.

→対案は、しっかり用意しておかないとなぁ…

21. The second half of your life より

For where there is success, there has to be failure. And then it is vitally important for the individual - but equally for the individual's family - that there be an area in which the individual contributes, makes a difference, and is somebody. That means having a second area, whether a second career, a parallel career, a social venture, a serious outside interest, anything offering an opportunity for being a leader, for being respected, for being a success.

→組織としてではなく、個人として大事なこと。将来的に、ますます大切になってくる観点だと思います。

24. The coming of entrepreneurial society より

They can no longer assume that what they have learned as children and youngsters will be the "foundation" for the rest of their lives. It will be the "launching pad" - the place to take off from rather than the place to build on and to rest on.

→一生、学び続けて、変わり続けなくてはならない、ということでしょうか。

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また、全体を通して、「お客様(customer)を中心に」という考えが、随所に、繰り返し出てきたのが印象的でした。

Finally, the single most important thing to remember about any enterprise is that results exist only on the outside. The result of a business is a satisfied customer.

It is the customer who determines what a business is. It is the customer alone whose willingness to pay for a good or for a service converts economic resources into wealth, things into goods.

Business are not paid to reform customers, They are paid to satisfy customers.

All the strategies discussed in this section have one thing in common. They create a customer - and that is the ultimate purpose of a business, indeed, of economic activity.

But there are no "irrational customers." As an old saying has it, There are only lazy manufacturers. The customer has to be assumed to be rational. His or her reality, however, is usually quite different from that of the manufacturer.

It also means that the center of gravity, and the center of power, will be the customer. In the last thirty years, the center of power has shifted from the supplier, the manufacturer, to the distributor. In the next thirty years, it will certainly shift to the customer - for the simple reason that the customer now has full access to information worldwide.

本書には、最近のビジネス書に書かれていることが沢山書かれており、Drucker氏の考えは現在のマネジメント論の基礎になっているのだなぁ…としみじみ思いました。少々読みにくいかもしれませんが、一読の価値のある本だと思います。

2016年4月28日 (木)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Unfinished Business

渡辺由佳里さんの洋書ファンクラブ紹介記事を読んで、「いつか読もう!」と思っていた本です。仕事でバタバタしていてなかなか読めなかったのですが、やっと読むことができました。

国際関係の専門家・学者であり、Hillary Clintonの下で重責を担ったこともある著者が、自己の経験を踏まえつつ、「女性と男性とが同等に活躍できる社会を実現する為にはどうしたらよいか?」について、考えを述べている本です。

同じテーマについて書かれた本としては、FacebookのCOOであるSheryl Sandbergの「Lean In」が有名ですが、同書が客観的なデータに基づきつつも、意図的に著者の感情を前面に出して書かれていたのと対照的に、本書は、感情を前面に出さず、冷静且つ丁寧に主張が展開されていると思いました。

まず、本書の「Part I」では、私たちが女性の社会進出に対して持っている典型的な考え方、例えば、

・女性でも、とにかく仕事に熱心に取組みさえすれば、すべてを手に入れられる。

・女性は、サポートしてくれる適切な人と結婚すれば、すべてを手に入れられる。

・子供には母親が必要である。

・男性の仕事は稼ぐことである。

・女性の社会進出が進まないのは、女性自身の問題である。

・長時間働く人が、一番良い仕事をしている。

といったような考え方について丁寧に検証し、「必ずしもそうとは限らないのでは?」と問題提起しています。

そして、「Part Ⅱ」では、上記のような典型的な考え方に囚われることなく、少し違った角度から考えてみる必要があるとして、

・女性と男性の真の平等を実現する為には、会社のトップとして活躍しているような女性だけではなく、すべての女性の置かれている状況を見ることが肝要である。

・世間一般で、「仕事すること」に比べて「世話すること(子育て、介護、家事)」が軽んじられていることが、女性の置かれている状況を厳しいものにしている。

・「世話すること」は「仕事すること」と同様に、様々なスキル(忍耐力、柔軟性、共感力等)を必要とするのであり、骨の折れる大変なことである。

・女性だけでなく、男性の選択肢も広げていく必要がある。いわゆる「男らしさ」に縛られることなく、自分の気持ちに忠実に生きられるようにする必要がある。

・女性は、男性が世話(子育て、介護、家事)をする際には、一つ一つ指示を出したりせず、男性のやり方に任せた方がよい

といったような視点を持つことが大切だと、主張しています。

その上で、最後の「Part Ⅲ」において、女性と男性の真の平等を実現する為に採るべき具体的方策として、

①話し方を変えることで、考え方も変えていく。

・母親がしても当然と思われるようなこと(平日の学校行事に出席する等)を父親がしたぐらいで、過剰に賞賛するのは良くない。

・ビジネスの世界で、女性を紹介する時には「2児の母親でもあります」というように紹介する一方で、男性を紹介するときには父親としては紹介しない、というのもよろしくない。

・職場において、子育て、介護、家事等に関することを正直に話すべきである。

・女性だけでなく男性に対しても、将来どのように家庭と仕事のバランスをとるつもりなのか訊くべきである。

②今後どのように仕事をしていくか、予め計画しておく(計画通りにはいかないが…)。

・将来の一時期、「世話すること(子育て、介護、家事)」に重きを置くために、より時間に融通の効く働き方をしたり、あまり大変でない仕事についたりすることを、予め想定しておく。

・「世話すること」の為に完全に仕事を辞めてしまうのはよくない。パートタイムでもいいので、将来につながる仕事を続けていくべきである。

・家庭と仕事の両立が立ち行かなくなった時に、慌てて対策を考えるのではうまくいかない。

・普段から、いざという時にサポートしてくれる人的ネットワークを構築するよう努めることが大切である。

③職場を変えていく。

・フリーランス、契約社員といったような働き方は、地位が不安定になるが、時間に融通が効くことが多いので、世話(子育て、介護、家事)をしながら働く人にとっては、考慮すべき働き方である。

・インターネット等を使って在宅勤務できるような会社も増えてきており、世話をしながら働く人にとって好ましい動きである。

・世話をしながら働くために会社に求めることを、まずは上司等に伝え、そのようなニーズがあることを会社に分かってもらう必要がある。

・長時間勤務は生産性が下がることを認識し、職場にいる時間ではなく、仕事の成果で評価されるように変えていかなくてはならない。

・「世話すること」に必要なスキル(忍耐力、柔軟性、共感等)は、仕事において必要なスキルでもあるので、世話しながら働くことをもっと評価する必要がある。

④「世話すること」を大切にする市民になる。

・世話(子育て、介護、家事)している人達をサポートするのは、個々の会社だけでは限界があるので、そのような政策を政治的に実現していく必要がある。

・現在はまだ、「世話すること」を担っている人の多くは女性なので、より多くの女性を政治の世界に送り込む必要がある。

・「世話すること」は、次世代を育てることでもあり、国の将来を左右するような極めて重要なことであり、国として「世話すること」に積極的に投資していく必要がある。

といったことを提唱して、本書を終えています。

本書は、先ほど挙げた「Lean In」でにおける、

・一人でも多くの女性が、もっともっと積極的に前に出て、組織、政治等のリーダーとなって、社会を変えていく必要がある。

・仕事と家庭の両立について若いうちから考え過ぎて、初めから一歩引いてしまっては駄目である。

といった主張とはまた違った視点から書かれていて、なかなか興味深く読むことができました。

「世話すること(子育て、介護、家事)」を今よりもっと大事にする(評価する)意識が世間一般に浸透すれば、女性も男性も、世話(子育て、家事、介護)しながら働きやすくなり、その結果として、より良い人生が送れるようになるのだと思います。

短い期間でそのような変化を起こすのは、正直難しいとは思いますが、まずは自分のできる範囲から、そのような変化を起こしていきたいなぁ…と思いました。

「Lean In」ほどは読みやすくないですが、女性と男性の平等についてじっくり考えることのできる良書だと思います。

2016年2月28日 (日)

読みました(洋書/ノンフィクション、児童書) ~ The Boy Who Harnessed the Wind

数年前に本屋さんで見かけて「読もうかなぁ…」と思っていたのですが、何となく読まないままだった本です。最近、別の本屋さんで見かけて買ってみたのですが、帰宅してよく見てみたら"Young Readers Edition"でした。「まぁ、いいか…」 と思ってそのまま読んでみたら、自分のレベルに丁度合っていました…

著者(William Kamkwamba)が、子供時代から現在(2014年)に至るまでを振り返って書いた自伝的な本です。 Williamは、1987年に、人々が魔術を信じているような、電気も通っていない、アフリカの貧しい農村で生まれました。Williamは、ラジオを分解して仕組みを調べたりするような、好奇心旺盛な少年でしたが、2001年の飢饉を切っ掛けに学費が払えなくなり、他の多くの貧しい子供達と同様に、学校に行くことができなくなります。Williamはとても落ち込むのですが、近くの図書館で借りた科学の本を読みながら、家族と自分の為に、電気を起こす風車(風力発電装置)を作ろうと頑張ります。

風車を作るといっても、部品を買うお金は無く、スクラップ置き場やゴミ捨て場から部品になりそうなものを探して、それを工夫して加工し、少しずつ風車を作り上げていきます。近所の人達から変な目で見られても、信念を持って頑張り抜き、ついには風車を完成させ、家の中を電球で照らすことに成功します。風車が出来てからも、現状に満足することなく、スイッチ、ブレーカー、携帯電話の充電器等々、様々なものを創意工夫によって作っていきます。

そして、2006年、Williamの風車が世界に広く知られることなり、それと同時にWilliamの世界も、故郷から海外へと急速に広がっていきます。マスコミの取材を受けたり、TEDの舞台に立ったりした後には、新たな学校生活、新たな挑戦が始まり、それは今もなお続いているようです。

食べていくのがやっとで、着る物も殆どなく、学校に行くことも出来ない困難な状況にも拘わらず、自分の考えを信じて、風力発電装置を完成させたWilliamの頑張り、粘り強さ、向上心には、ただただ感心いたしました。通勤電車の中で読みながら、「着る物にも、食べる物にも、住む所にも全く困らないような恵まれた環境にいるのだから、もうちょっと頑張ろう!」と、何だか元気をもらうことが出来ました。

また、Williamと友人のGilbertや従兄弟のGeoffreyとの交流も、心温まるものがあり、読んでいて楽しかったです。読後感の爽やかな、お勧めできる本だと思います。

(なかなか良かったので、本好きの子供にも読んでもらおうと、邦訳版も注文してみました。まだ、ちょっと難しいかなぁ…)

2016年2月 7日 (日)

読みました(洋書/ビジネス) ~ The 7 Habits of Highly Effective People

20年くらい前に「7つの習慣」というタイトルで翻訳出版され話題になったビジネス書です。渡辺由佳里さんの「洋書ベスト500」にも掲載されており、タイム誌が選ぶ「最も影響力のあるビジネス書」の一冊とのことです。原著は25年以上前の出版になりますので、今更な気もしたのですが、古本を見つけたので読んでみました。

良い人間関係を築いたり、豊かな人生を過ごす為には、小手先だけの(表層的な)テクニックを実践するだけでは効果は長続きしない。自分が本当に大事にしている原則・信条を見つめ直し、それに基づいて次の7つの習慣を実践していく必要がある、といった主張をしている本だと思います。

その7つの習慣とは…

<Private Victory / Independence>
1 Be Proactive - Principles of Personal Vision
2 Begin with the End in Mind - Principles of Personal Leadership
3 Put First Things First - Principles of Personal Management

<Public Victory / Interdependence>
4 Think Win/Win - Principles of Interpersonal Leadership
5 Seek First to Understand, Then to Be Understood - Principles of Empathetic Communication
6 Synergize - Principles of Creative Cooperation

<Renewal>
7 Sharpen the Saw - Principles of Balanced Self-Renewal

最初の3つ(1-3)は、個人の習慣(心がけ)について。次の3つ(4-6)は、対人関係における習慣(心がけ)について。最後の1つ(7)は、他の6つの習慣(1-6)の見直し・更なる向上について。

留意点としては、対人関係における習慣(4-6)を実践する為には、ある程度個人の習慣(1-3)が出来ていないと、なかなかうまくいかないとのこと。(Private Victory precedes Public Victory.)

以下、それぞれ習慣について、自分なりの解釈を簡潔に書いてみたいと思います。

1 Be Proactive

外部からの刺激(stimulus)に対しては、感情的・衝動的・条件的に反応(response)しがちである。「外部からの刺激(stimulus)」と「自分の反応(response)」の間には隙間があり、その隙間で創造力・良心・意志等を働かせて、自分の反応をコントロール(選択)できるようになることが大切である。

また、世の中には、自分の行動だけではどうにもならない(変えられない)ことが多いが、自分が影響を与えられる部分(circle of influence)は必ずあるので、その部分に対して積極的に働きかけ、その影響を与えられるを部分を少しでも広げていくことが大事である。

何か失敗をした時、それを嘆いたり、それに腹を立てたりするのではなく、失敗を認め、修正し、そこから学ぶのがproactiveな姿勢であろう。

2 Begin with the End in Mind

人生の終わりに(自分の葬式の時に)、家族・友人・同僚等からどのような人だったと言われたいか、まずはじっくり考えてみよう。そして、それを念頭におき、自分が本当に大事にしている原則・信条を見つめ直し、それに基づいて日々行動するようにしてみよう。自分の原則・信条をはっきり認識していないと、日々忙しく努力しても、間違った方向へ進んでいってしまう。

家庭・職場・友人関係等において、自分の本当になりたい姿、本当にしたい事を、自分の憲法(personal mission statement, personal constitution)として書き記してみよう。書くことで、それらが明確になる。

3 Put First Things First

「至急」かつ「大事」なことは、誰でもまず最初にやると思うが、「大事」ではあるが「至急ではない」ことは、先延ばししがちである。後者を実践することは、将来の生産能力(production capability)を向上させることにつながるし、ひいては前者の事態(緊急事態)を減らすことにもつながるので、長期的な視点から、後者について日々実践する時間を意識的に設けることが大事である。

その為には、「至急」ではあるが「大事ではない」ことを、他の人に任せたり、(笑顔で)断ったりすることも必要である。

4 Think Win/Win

我々は、小さい頃から他の人と比較され続けているので、「勝つか負けるか(Win/Lose・Lose/Win)」という考え方が身についてしまっている。しかしながら実際には、Win/Winという考え方に基づき、お互いの意見を持ち寄り、双方にとってメリットのある方策を見出すことも可能なのである。

その為には、相手の意見・気持ちをよく理解すること、勇気を持って自分の意見・気持ちを相手に伝えること、その両方が必要である。

Win/Lose・Lose/Winな関係は長続きしないが、Win/Winな関係であれば双方にとってメリットがあるので、長続きする。また、Win/Winな関係になれないのであれば、身を引く(関係を止める)という選択肢も考えるべきである。

5 Seek First to Understand, Then to Be Understood

人から相談を受けたり、人が意見を述べたりすると、その話をしっかり聞かないうちに(理解しないうちに)、自分の経験・信条等に基づいて性急にアドバイス、反論等をしてしまうのは、よくあることである。また、相手が異なる意見である時には、「いくら言っても分からない奴だなぁ…」と思ってしまいがちである。

そんな時は、先ずは自分の意見は横に置いておいて、相手の意見・気持ちに辛抱強く耳を傾け、「心から」理解するように努めてみよう。そうすることにより初めて、適切なアドバイスや意見交換ができるようになるのである。

また、そうすることにより、時間はかかるかもしれないが、相手が「理解してもらえた!」と感じて心を開くようになり、こちらの意見にも耳を傾けるようになるのである。どちらかが先に理解を示さなければ、より良い関係は築けない…

6 Synergize

お互いに信頼関係があれば、協同して新たな解決策を模索しているうちに、一人(片方)だけでは思いつかなかったような、何倍も素晴らしいアイデアが生まれることが多い。一方、お互いが疑心暗鬼の状況では、そのようなことは望めない。

一個人の認識には限界があり、どうしても偏った見方になってしまうので、他の人から異なった意見を聞くことが大事なのである。

7 Sharpen the Saw

上記の6つの習慣について、自分が大事にしている原則・信条に則しているか、継続的に(終わることなく)見直していく必要がある。

その為には、健康的な食事、適度な運動をし(①physical)、自分が本当に大事にしていることを再確認し(②spiritual)、本を読み、自分の考えを書き記し、学び(③mental)、対人関係において上記4~6の習慣が実践できているか再確認する(④social/emotional)必要がある。その際には、上記4つの側面(①~④)について、偏らず、バランスよく実践していくことが大切である。

上記の6つの習慣はお互いに密接に関係しているので、1つの習慣がより良くなることにより、他の習慣にも好影響を与えるのである。

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読む前までは、失礼ながら「ハウツー本かなぁ…」なんて漠然と思っていたのですが、上記のとおり、もっともっと奥の深い本でした。具体例を沢山挙げ、分かり易い言葉で書かれており、日々の生活で実践しやすくなっていると思います。一読の価値が十分ある本だと思います。

会社でも家庭でも、それ以外でも、上記の7つの習慣を意識して、日々生活していきたいと思いました。

最後に、今更な感じはありますが、邦訳を紹介しておきます…

2015年10月24日 (土)

読みました(洋書/ビジネス) ~ WORK RULES!

Googleの人事部門(People Operations)のトップ(Senior Vice President)であるLaszlo Bock氏が、Googleの様々な人事制度(採用、福利厚生、教育、評価、報酬…)につい て述べた本です。他の会社・組織にも参考にしてもらおうという意図で、分かり易く書かれていると思います。

以下、本書の内容を、備忘録的に、章ごとに、ごく簡潔にまとめてみました。

1. Becoming a Founder

創業者(創設者)のつもりで人事制度を考えよう。

2. "Culture Eats Strategy for Breakfast"

社員に仕事の意義を気づかせよう。そして、自由を尊重する文化を作るためには、社員一人一人を信頼して、自分が不安になるくらいの裁量権を与えよう。

3. Lake Wobegon, Where All the New Hires Are Above Average

採用には十分な予算を割り当て、じっくり時間をかけ、(ある重要な面で)自分よりも優れている人だけを採用しよう。妥協は禁物。

4. Searching for the Best

採用に当たっては、会社・組織の求める資質、能力等を明確にした上で、優れた人材の情報を、社員からの紹介をはじめ、様々な手段で集めよう。

5. Don't Trust Your Gut

採用に当たっては、候補者の同僚や部下になる人にも参加してもらい、候補者をできるだけ客観的な方法・手法で評価しよう。また、候補者に我々の仕事の意義等を伝えて、一緒に働きたい気持ちになってもらおう。

6. Let the Inmates Run the Asylum

上司から肩書きや権限を取り去り、社員同士が活発に議論できる環境を作ろう。そして、社員自らが、上司の意見(指示)に従うのではなく、データ(実験結果等)に基づいて意思決定できるような環境を作ろう。

7. Why Everyone Hates Performance Management, and What We Decided to Do About It

社員の評価に当たっては、その人の目標を正しく(能力より高めに)設定した上で、同僚や他部署の人の意見もよく聞いて、できるだけ公平に評価しよう。また、報酬(評価)の話と教育(人材開発 )の話は一緒くたにせず、別の機会に行おう。

8. The Two Tails

会社全体のパフォーマンスを上げる為には、積極的に「評価の低い人」をトレーニングし、場合によっては別の役割を与えよう。また、「評価の高い人」の優れている点(資質)を観察し、今後の社員教育に生かそう。

9. Building a Learning Institution

社員の教育は、理解・実践し易いように、細分化して(テーマを絞って)繰り返し実施し、その後に必ず効果を測定しよう。また、優秀な社員にも先生になってもらおう。

10. Pay Unfairly

秀でた成果を出す人に対しては、理由をきちんと説明した上で、その成果に見合った高額の報酬を与え、評価しよう。また、お互いの成果を祝い、お互いに感謝し合える社内文化を作 ろう。

11. The Best Things in Life Are Free (or Almost Free)

社員がより効率的に、協同して、創造的に仕事ができるようなサービスを提供しよう。やり方を考えれば、それほどコストはかからない。

12. Nudge...a Lot

社員がより幸せで健康に働けるように、社員をそっと後押しするような(意識せずに影響されてしまうような)仕組みをいろいろと考えよう。

13. It's Not All Rainbow and Unicorns

様々な制度を試していれば失敗することもある。そんな時は失敗を素直に認め、様々な人から率直な意見を聞いた上で、制度を修正しよう。

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本書で特に肝に銘じたいと思った箇所は、2章の最後(まとめ)で出てきた、

Give people slightly more trust, freedom, and authority than you are comfortable giving them. If you're not nervous, you haven't given them enough.

という文章です。なかなか難しいですが、意識して実践していきたいと思いました。

Googleという会社は、世界的に、最も働き甲斐のある職場の一つと評価されているだけあって、既存の概念にとらわれない、独創的な人事制度を採用しているなぁ…と思いました。また、新たな人事制度を採用する際には、まずは少数のグループで実施(実験)してみて、データで効果を確認してから全社的に実施しているところは、「さすが、データを重視するGoogleらしいやり方だなぁ…」と改めて感心いたしました。

一方で、やはり、Googleの資金力、オープンな議論を尊重する文化、人材の厚みがあってこそ、初めてこれらの人事制度が可能になる、という面は否めないと思いました。また、依然として終身雇用が一般的である(転職が一般的ではない)日本には、なかなか当てはまらなそうな箇所もありました。

そうは言っても、本書には、日本の会社にも参考になりそうな内容が沢山含まれていると思います。他の会社・組織でうまくいっている効果のありそうな制度・手法を、自社でも少し試してみて、効果が確認できたものから一つずつ採用していく、そういった地道なプロセスが大切なのではないか、と思いました。

会社・組織の人事制度を考える立場にある人、人事制度に興味がある人にとっては、新鮮な視点が得られる良書だと思います。

邦訳はこちら…

2015年8月 2日 (日)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ SO YOU'VE BEEN PUBLICLY SHAMED

不適切な行為をしたり、不適切な発言をした人達が、ソーシャル・ネットワーキング(ツイッター、フェイスブック等)上で非難されることがよくある。時には、過剰なまでの非難を受け、こき下ろされ、辱めを受けた結果(publicly shamed)、その人が職を失って、将来が潰されてしまうこともある。

確かに本人にも非はあるが、その人の将来が潰されるまで徹底的に非難し、辱める権利が我々に本当にあるのか…

そのような思いを抱いた著者(Jon Ronson)が、ソーシャル・ネットワーキング上で辱めを受け、将来を潰されてしまった人達に話を聞くことから、話が進んでいきます。嘘の内容を書いて読者を騙していた著名なライター(第2、3章)、人種差別的なジョークを呟いたPR専門家(第4章)など、そこまで徹底した辱めを受けるべきなのか…

そして、そこから様々な方向へ、取材は発展していきます。

ソーシャル・ネットワーキング上でターゲットを徹底的に辱めるのは、集団心理(集団による狂気/group madness)のせいなのか、良いこと(正しいこと)をしたいという願望(desire to do something good)のせいなのか…(第5、6章)

辱めを受けた人が、打ちひしがれた状態から立ち直って、自分の人生を取り戻すにはどうしたらいいのか。辱めを拒否する強い意志があれば、なんとかなるのか…(第7、8、9、10章)

辱めを受けた経歴が、いつまでもネット上に残ってしまい(Googleで簡単に検索されてしまい)人生がやり直せない…諦めるしかないのか…(第11、14章)

法廷の場では、相手方を徹底的に非難し、辱めるのが常套手段になっている…(第11、12章)

暴力的犯罪を犯す人達は、子供の頃に暴力、性的虐待等の辱めを受けていることが殆どであり、その結果として自分の感情をシャット・ダウンしてしまっている。そのような人達も、周りの人達が敬意を持って接することにより、自尊心を取り戻して救われる可能性があるようだ…(第13章)

ソーシャル・ネットワーキング上で、自分達の良識から外れた人を皆で徹底的に辱めることにより、その良識に対する確信が更に強まり、異なった意見を受け入れられなくなってしまう。ネット上の世界は、保守的な世界になってしまっているのではないか…(第15章)

そして、結論(まとめ)の無いまま本書は終わります。あと、どう考えるかは、読者に委ねられているということなのでしょう…

個人的には、ソーシャル・ネットワーキング上の書き込みに、他の意見を寄せ付けない雰囲気、ちょっと異様な雰囲気を感じることがしばしばあるので、非常に興味深く読むことができました。「日本社会は同調圧力が強い」とよく言われますが、アメリカ社会でもその傾向が強まってきている、ということなのでしょうか…

また、Google検索の負の側面についての記述も、いつも便利に利用しているだけに、とても興味深かったです。

数年前に読んだJon Ronsonの「THE PSYCHOPATH TEST」と同様に、私にとっては単語が難しく、更に話があちこちに飛ぶので、読むのに少し骨が折れましたが、様々な人達に対する取材がメインで話が進んでいくので、最後まで飽きずに読むことができました。

お勧めできる本だと思います。

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