THE INEVITABLE: Understanding the 12 Technological Forces That Will Shape Our Future / Kevin Kelly
少し前にツイッター(X)上で見かけて、面白そうだったので読んでみました。本書では、インターネットやAIといった新しいテクノロジーの発展により今後社会がどのような方向に変化していくか、以下の12の項目を挙げて示しています。
1 BECOMING
2 COGNIFYING
3 FLOWING
4 SCREENING
5 ACCESSING
6 SHARING
7 FILTERING
8 REMIXING
9 INTERACTING
10 TRACKING
11 QUESTIONING
12 BEGINNING
1つの項目に1章ずつ割いて、具体的事例を挙げながら丁寧に説明しています。また、各項目が相互に密接に関係していることもよく分かると思います。
「5 ACCESSING」が、私にとっては一番実感できる項目でしょうか。自動車は買わないでカーシェアリング・サービスを使っているし、音楽はCDは殆ど買わずにSpotifyで聴いているし、日経新聞は紙ではなくネットで読んでいるし、自分で撮った動画や写真はハードディスクではなくクラウド上に保存しているし、ゲームはお店でソフト(CD、カード等)を買わずにネットからダウンロードしたりクラウド上で遊んだりしているし、年々物を所有しなくなってきていますよね。
「11 QUESTIONING」についても、仕事をしている上で実感するようになってきました。例えば、法務業務について言えば、私が入社した数十年前は法律の知識を沢山持っていることが重要だったように思うのですが、今や法律の知識はネット上で比較的容易に得ることができ、沢山の知識を持っていることよりも良い問いを立てる(例えば、どのような問題事象が起こりうるのか考えて提示する)ことができる方が重要になってきていると思います。
「1 BECOMING」については、本書を読むまでは、Windowsやウイルス対策ソフトやスマホのアプリが更新される度に「現在のバージョンに慣れたばかりなのに…」と不満に思っていたのですが、「たえず更新される」のは新しいテクノロジーが持つ性質であり避けられないことが理解できたので、「慣れるしかないか…」と少しは思えるようになりました。
「2 COGNIFYING」については、我々はAIやロボットと競争するのではなく、AIやロボットと共に変化していくのである、という考え方が、前向きな捉え方でいいなぁ…と思いました。
こんな感じで、各項目とも興味深く読むことが出来ました。出版されてから8年くらい経っていますが、今読んでも十分示唆に富む本だと思います。単語もそれほど難しくなく比較的読みやすいので、お勧めできる洋書だと思います。
日本語訳はこちら。
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