DEAR LIFE
2013年にノーベル文学賞を受賞したAlice Munro氏の短編集(2012年)です。
Alice Munro氏の作品を一冊くらいは読んでおきたいなぁ…と思って読み始めたのですが、「あれ、この話、知ってる」。いつ頃読んだのか、洋書で読んだのか邦訳を読んだのか、全く覚えがないのですが、「どの話も、断片的に、記憶がある」。ただ、どの話も結末を覚えていなかったので、初めから終わりまで堪能することができました。
まずは、短編が10話。
どの話も、登場人物は、素晴らしいことを成し遂げるのでもなく、立派な人生を送るのでもなく、それぞれの生活をその人なりの思いで過ごしています。その生活の中で、困った出来事や、いらいらする出来事や、楽しい出来事や、悲しい出来事や、気になる出来事が起き、登場人物の感情が揺れ動きます。それぞれの出来事や登場人物の心情が淡々と描かれているのですが、いつの間にか話に引き込まれていくのは、著者の描写が巧みだからでしょうか。また、いらいらする出来事も悲しい出来事も、ちょっとしたユーモアを交えながら語られるので、それほど辛くならずに読むことができました。
個人的には、読んでいるこちらもだんだん不安になってくる、"IN SIGHT OF THE LAKE"が一番印象に残りました。自分にもこんな経験が、しばしばあるので…
最後に、自伝的な短編が4話。
著者自身の子供時代の経験を元にした短編。話の内容からすると、著者の子供時代はなかなかに大変だったように思うのですが、読んでいても悲壮感は感じませんでした。最後の話が特に印象的で、本書の題名"DEAR LIFE"の由来もここで分かります。
自伝的な短編も含めて、どの話も人間の不完全さ(滑稽さ、不合理さ、悲しさ、弱さ、はかなさ…)が、冷めているようで優しい目線で描かれていて、読み終わった後に温かい気持ちになれました。また、全体的に、Pathos(哀感)を感じる作品が多かったように思います。
おそらく読んだのは2回目なのですが、やはり、フィクションが苦手な私には英語表現が難しく、著者の意図をつかみ切れていないであろう箇所も沢山ありました。それでも1回目よりは深く味わえたと思うので、改めて読んでみて良かったです。
人を選ぶとは思いますが、ある程度洋書を読み慣れている方にはお勧めできると思います。一編一編、読後感を楽しみながら読むことのできる本だと思います。
邦訳はこちら。
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