Most Likely to Succeed / Preparing our Kids for the Innovation Era
同タイトルのドキュメンタリー映像の方で有名ですが、書籍もあるということなので読んでみました。
本書において著者は、現在の社会は「知識を重視する社会」から「イノベーションを重視する社会」に変わったにも拘わらず、子供たちへの教育は昔のままで知識を詰め込むことに重きを置いており、結果的に、子供たちから社会で成功するための能力(創造力、協同する力、批判的思考力などなど)を奪っていると、具体的なデータを挙げて警鐘を鳴らしています。その上で、どのように教育を変えていくべきか、先進的な取り組みを紹介しながら提案し、早期の変革を促しています。
ドキュメンタリー映像で中心的に取り上げている"High Tech High"の取り組みについては、本書では数ページ程度しか取り上げられていませんので、そこは期待しない方がよいと思います。本書では、ドキュメンタリー映像よりも、かなり包括的で詳細な分析がなされており、読みごたえがあります。
私自身、昨年頃から子供たちの進路について考える機会が多くなったので、本書を読みながらいろいろと考えさせられました。私自身が旧来型の知識重視の(テスト重視の)教育を受けてきたからだと思いますが、本書を読んで頭では理解したつもりでも、いざ自分の子供たちに新しい教育を受けさせる段になると、どうしても少し抵抗を感じてしまいます。おそらく、まずは親自身が学んで、考え方を修正していかなければならないのでしょうね。
本書ではアメリカの教育について取り上げていますが、日本でも同様に、まだまだ、大学受験に合格することが中学校・高校の教育の中心になっていると思います。本書で紹介されている先進的な取り組みや、日本における先進的な取り組み(数年前に研修を受けた「ラーンネット」もその一つでしょう)を頭に置きながら、子供たちの話に耳を傾けていきたいと思いました。
少々難しい英単語が出てきますが比較的読み易いと思いますので、子供の教育に関心のある方、特に子供の進路について考えている方にお勧めできる本だと思います。併せて、同タイトルのドキュメンタリー映像(Trailerへのリンクはこちら)も観ると、より理解が深まると思います。
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