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2016年4月28日 (木)

読みました(洋書/ノンフィクション) ~ Unfinished Business

渡辺由佳里さんの洋書ファンクラブ紹介記事を読んで、「いつか読もう!」と思っていた本です。仕事でバタバタしていてなかなか読めなかったのですが、やっと読むことができました。

国際関係の専門家・学者であり、Hillary Clintonの下で重責を担ったこともある著者が、自己の経験を踏まえつつ、「女性と男性とが同等に活躍できる社会を実現する為にはどうしたらよいか?」について、考えを述べている本です。

同じテーマについて書かれた本としては、FacebookのCOOであるSheryl Sandbergの「Lean In」が有名ですが、同書が客観的なデータに基づきつつも、意図的に著者の感情を前面に出して書かれていたのと対照的に、本書は、感情を前面に出さず、冷静且つ丁寧に主張が展開されていると思いました。

まず、本書の「Part I」では、私たちが女性の社会進出に対して持っている典型的な考え方、例えば、

・女性でも、とにかく仕事に熱心に取組みさえすれば、すべてを手に入れられる。

・女性は、サポートしてくれる適切な人と結婚すれば、すべてを手に入れられる。

・子供には母親が必要である。

・男性の仕事は稼ぐことである。

・女性の社会進出が進まないのは、女性自身の問題である。

・長時間働く人が、一番良い仕事をしている。

といったような考え方について丁寧に検証し、「必ずしもそうとは限らないのでは?」と問題提起しています。

そして、「Part Ⅱ」では、上記のような典型的な考え方に囚われることなく、少し違った角度から考えてみる必要があるとして、

・女性と男性の真の平等を実現する為には、会社のトップとして活躍しているような女性だけではなく、すべての女性の置かれている状況を見ることが肝要である。

・世間一般で、「仕事すること」に比べて「世話すること(子育て、介護、家事)」が軽んじられていることが、女性の置かれている状況を厳しいものにしている。

・「世話すること」は「仕事すること」と同様に、様々なスキル(忍耐力、柔軟性、共感力等)を必要とするのであり、骨の折れる大変なことである。

・女性だけでなく、男性の選択肢も広げていく必要がある。いわゆる「男らしさ」に縛られることなく、自分の気持ちに忠実に生きられるようにする必要がある。

・女性は、男性が世話(子育て、介護、家事)をする際には、一つ一つ指示を出したりせず、男性のやり方に任せた方がよい

といったような視点を持つことが大切だと、主張しています。

その上で、最後の「Part Ⅲ」において、女性と男性の真の平等を実現する為に採るべき具体的方策として、

①話し方を変えることで、考え方も変えていく。

・母親がしても当然と思われるようなこと(平日の学校行事に出席する等)を父親がしたぐらいで、過剰に賞賛するのは良くない。

・ビジネスの世界で、女性を紹介する時には「2児の母親でもあります」というように紹介する一方で、男性を紹介するときには父親としては紹介しない、というのもよろしくない。

・職場において、子育て、介護、家事等に関することを正直に話すべきである。

・女性だけでなく男性に対しても、将来どのように家庭と仕事のバランスをとるつもりなのか訊くべきである。

②今後どのように仕事をしていくか、予め計画しておく(計画通りにはいかないが…)。

・将来の一時期、「世話すること(子育て、介護、家事)」に重きを置くために、より時間に融通の効く働き方をしたり、あまり大変でない仕事についたりすることを、予め想定しておく。

・「世話すること」の為に完全に仕事を辞めてしまうのはよくない。パートタイムでもいいので、将来につながる仕事を続けていくべきである。

・家庭と仕事の両立が立ち行かなくなった時に、慌てて対策を考えるのではうまくいかない。

・普段から、いざという時にサポートしてくれる人的ネットワークを構築するよう努めることが大切である。

③職場を変えていく。

・フリーランス、契約社員といったような働き方は、地位が不安定になるが、時間に融通が効くことが多いので、世話(子育て、介護、家事)をしながら働く人にとっては、考慮すべき働き方である。

・インターネット等を使って在宅勤務できるような会社も増えてきており、世話をしながら働く人にとって好ましい動きである。

・世話をしながら働くために会社に求めることを、まずは上司等に伝え、そのようなニーズがあることを会社に分かってもらう必要がある。

・長時間勤務は生産性が下がることを認識し、職場にいる時間ではなく、仕事の成果で評価されるように変えていかなくてはならない。

・「世話すること」に必要なスキル(忍耐力、柔軟性、共感等)は、仕事において必要なスキルでもあるので、世話しながら働くことをもっと評価する必要がある。

④「世話すること」を大切にする市民になる。

・世話(子育て、介護、家事)している人達をサポートするのは、個々の会社だけでは限界があるので、そのような政策を政治的に実現していく必要がある。

・現在はまだ、「世話すること」を担っている人の多くは女性なので、より多くの女性を政治の世界に送り込む必要がある。

・「世話すること」は、次世代を育てることでもあり、国の将来を左右するような極めて重要なことであり、国として「世話すること」に積極的に投資していく必要がある。

といったことを提唱して、本書を終えています。

本書は、先ほど挙げた「Lean In」でにおける、

・一人でも多くの女性が、もっともっと積極的に前に出て、組織、政治等のリーダーとなって、社会を変えていく必要がある。

・仕事と家庭の両立について若いうちから考え過ぎて、初めから一歩引いてしまっては駄目である。

といった主張とはまた違った視点から書かれていて、なかなか興味深く読むことができました。

「世話すること(子育て、介護、家事)」を今よりもっと大事にする(評価する)意識が世間一般に浸透すれば、女性も男性も、世話(子育て、家事、介護)しながら働きやすくなり、その結果として、より良い人生が送れるようになるのだと思います。

短い期間でそのような変化を起こすのは、正直難しいとは思いますが、まずは自分のできる範囲から、そのような変化を起こしていきたいなぁ…と思いました。

「Lean In」ほどは読みやすくないですが、女性と男性の平等についてじっくり考えることのできる良書だと思います。

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