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2014年3月 1日 (土)

読みました(洋書/教育) ~ Nurture Shock

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渡辺由佳里さんの洋書ガイド「洋書ベスト500」に載っていた、子供の教育に関する本です。比較的最近の本であり(2009年)、面白そうだったので読んでみました。

 

この本は、次の10章から成り立っております。各章について、私なりの解釈を書いてみました。

 

1. The Inverse Power of Praise

 

「才能」を褒めるのではなく、「努力」を褒める方が子供は伸びる。「才能(自分がコントロールできないもの)」を褒めても、子供は失敗を恐れて難しいことにチャレンジしなくなる。「努力(自分がコントロールできるもの)」を褒めると、進んで(楽しんで)難しいことにチャレンジするようになる。

 

※数年前に読んだ"Einstein Never Used Flash Cards"にも同じようなことが書いてありました!

 

2. The Lost Hour

 

睡眠は、大人にとっても大事だが、子供にとっては比較にならないくらいとっても大事である。睡眠不足は、子供の学習能力・意欲に重大な悪影響を与える。

 

3. Why White Parents Don't Talk about Race

 

子供を様々な人種の人がいる環境におくだけでは、子供が肌の色の違いによる差別をしなくなるようにはならない。子供が小さい頃から、親が「差別してはいけない」というメッセージを明確に、分かり易く伝えていく必要がある。

 

4. Why Kids Lie

 

小さい子供でも、親が思っている以上に沢山の嘘をついている。社交的な子供、知能の高い子供ほど嘘も巧みで、なかなかばれない。親も、人間関係をうまく保つために、日常的に嘘をついており、「正直さ」が大切なことを子供に教えるのは、なかなか難しい。

 

5. The Search for Intelligent Life in Kindergarten

 

子供のIQ等は、生まれつき決まっている訳ではなく、成長とともに変わっていく。幼稚園の段階でのIQ等に基づき、その子の教育方針を決めるのは、あまりにも時期が早すぎる。

 

6. The Sibling Effect

 

兄弟姉妹がいるからといって、一般的に信じられているように、一人っ子の場合よりも他の子とのつき合い方がうまくなる訳ではない。良い影響を与える兄弟関係もあれば、悪い影響を与える兄弟関係もあるのは、友達関係と同様である。

 

7. The Science of Teen Rebellion

 

10代の子供は、親子関係を良好に保つため、自身のアイデンティティを確立するために沢山の嘘をついている。親が寛容であれば、子供は嘘をつかなくなるというのは幻想である。一方、大事なルールは厳格に定めるが、子供の反論に耳を傾け議論し、必要な時には柔軟に対応する親に対しては、子供はあまり嘘をつかなくなる。また、親子間で議論をすることにより、信頼関係もより深まる。

 

8. Can Self-Control be Taught?

 

"Tools of the Mind"という教育手法が、幼児教育の現場で大きな効果を挙げている。例えば、自分自身で計画した「ごっこ遊び」にどっぷりと浸かることにより、物事を象徴的・抽象的に捉える能力が身につくとともに、自制心・集中力も養われる。「遊び」を通じて、小学校以降の学習に必須の能力を効果的に身につけることができるのである。

 

※「ごっこ遊び」の大切さについても、"Einstein Never Used Flash Cards"に同じようなことが書いてありました!

 

※"Tools of the Mind"については、もう少し詳しく知りたいと思いました。

 

9. Plays Well with Others

 

教育熱心な親が増えているが、良かれと思ってしていることでも、子供に悪影響を与えている場合がある。例えば、いくら教育熱心でも、言っていることがころころ変わったり、甘やかし過ぎたりすれば、却って子供が攻撃的(aggressive)になってしまう。

 

10. Why Hannah Talks and Alyssa Doesn't

 

赤ちゃんは、耳だけから言語を習得している訳ではない。親の口の動きから学ぶことも多いし、親の反応に触発されて言語を発する意欲がより出てくるのである。教育ビデオをただ見せるだけでは、効果はない。

 

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内容的には、いろいろと気付かされる箇所が多く、最後まで興味深く読むことができました。ただ、テーマが多岐に亘っているので、読んでる最中は「ちょっと、まとまりがないなぁ…」と感じていたのも事実です。

 

でも、最後の"Conclusion"の箇所を読んで、この本の根底にあるテーマが分かったような気がしました。

 

我々大人達(親、教育者、研究者…)は、子供達のことをよく理解していると思っているが、実際は、そうではないことが多いのである。今までの考え方・思い込みに捕らわれずに、もっと子供達のことを丁寧に観察して、子供達と向き合っていく必要があるのではないだろうか…

 

この本を読んで、「子育て」は本当に難しく大変なことなんだなぁ…と改めて思いましたが、それ故に非常に興味深いとも思いました。一度は読んでみる価値がある本だと思います。

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