ブログの紹介

ご訪問、ありがとうございます! このブログでは、これまでに読んだ洋書の感想を、気ままに書いております。

2008年の終わり頃に、「日本人は英語のインプット量が足りない」というような記事を読んだのを切っ掛けに、趣味で洋書を読むようになりました。それが、細々とですが、現在まで続いております。

私が会社勤めということもあって、ビジネス書の洋書をよく読みます。ノンフィクションも好きでよく読みます。

また、語彙力が弱いからでしょうか、英米の文化・習慣に疎いからでしょうか、フィクションを読むのが苦手です。そのため、フィクションであれば児童書を手に取ることが多いですね。

洋書選びの参考にしているのは、渡辺由佳里さんのブログ「洋書ファンクラブ」と本「洋書ベスト500」です。また、Amazon(アメリカのサイト)での評判も併せて参考にしております。

1ヶ月に1冊分ぐらいしか感想を書いていないので、時々覗きにきていただければ幸いです!

2018年9月19日 (水)

読みました(洋書/ビジネス) ~ The New Rules of Sales & Service

David Meerman Scott さんの著書は、これまで、

 The New Rules of Marketing & PR

 Real-Time Marketing & PR

 Marketing Lessons from the Grateful Dead

と読んできましたが、今回は「マーケティング」ではなく、「営業」と「カスタマーサービス」に関する本です。紀伊國屋(梅田)の洋書バーゲンで見つけたので、読んでみました。

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まず、「営業」の側面におけるポイントとしては、自分なりにまとめると、

インターネット検索やソーシャル・メディアが発達した今日においては、買い手は、売り手(セールスマン)に接触する前に、既に自分自身で商品やサービスの情報を集め、調べ、比較検討している。

→従って、買い手が売り手に接触した時点では、買い手が売り手に近い知識(場合によっては売り手以上の知識)を持っていることが多い。また、その時点で、買い手が、既に購入の意思を持っていることが多い。

→従って、売り手が買い手に対して、商品やサービスの情報をコントロールすることは不可能であるし、逆に、一から説明する必要もない。基本的には、売り手ではなく、買い手が主導権を握ることになる。

→従って、売り手には、買い手の話をよく聴き、買い手の課題、要望、疑問点などを的確に把握し、それらを迅速に整理・解決するという、コンサルタント的・アドバイザー的な役割が求められている。逆に、買い手の話をよく聴かず、これまでのように無理に売り込もうとすると、買い手は離れていく。

→買い手が接触してきたら、素早く反応すればするほど、取引が成立する可能性が高まる。

Buyers control the buying process, not you.

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次に、「カスタマーサービス」の側面におけるポイントとしては、

「既存顧客を繋ぎ止める」労力の方が、「新規顧客を獲得する」労力よりも少なくて済むので、「カスタマーサービス」は極めて重要であり、「営業」以上に注力する必要がある。

→また、ソーシャル・メディアが発達した今日においては、買い手が良いサービスを受けると、その経験をソーシャル・メディアで発信し、それが瞬く間に広がり、新たな顧客獲得につながることも多い。

→従って、カスタマーサービスに注力していく必要があるが、次の点に留意する必要がある。

・今日においては、買い手とカスタマーサービスがつながる方法は、対面や電話だけではなく、メール、Twitter、Facebook、YouTube等々、いろいろな方法がある。一つの方法に拘らず、買い手のニーズに合わせて複数のチャンネルを用意しておく必要がある。

・今日においては、情報のやり取りの速度が格段に増しているので、買い手からの要請等に素早く応える必要がある。特に正当なクレームに対しては、迅速さが大事である。

・買い手は、機械的・画一的な対応ではなく、人間的・個別的な対応を求めているので、顔の見える対応を心がけたい。

・ソーシャル・メディアでの対応は、電話やメールとは違い、公の場で行われることになるので注意が必要である。

→従って、カスタマーサービスの担当者には、柔軟に対応できる人材を配置し、主体的に対応できる十分な権限を与えておく必要がある。

Happy customers. Positive reviews. Good word of mouth. New business.

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そして、ソーシャル・メディアの使い方としては、

I'd suggest you should be doing 85 percent sharing and engaging, 10 pecent publishing original content, and only 5 percent or less about what you are trying to promote.

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本書のアドバイスを実践するのはなかなか大変だと思いましたが、この変化についていかないと生き残れない、ということは納得できました。

本書のアドバイスを、私が属する(対企業がメインの)建設業界にそのまま適用できるかどうかについては、現時点では時期尚早な気がしていますが、方向性としてはその方向に向っていると思いますので、意識はしていきたいと思いました。

David Meerman Scott さんの著作がもう4作目になるので、Davidさんの考え方に慣れすぎてしまって、正直、途中で少し飽きそうになったのですが、具体的な面白い事例が豊富に紹介されているので、結果的には、最後まで興味深く読むことができました。また、本作も他の著作同様、とても読みやすく、分かりやすく書かれていると思います。

今日の「営業」や「カスタマーサービス」を取り巻く状況と、対応方法の基本を理解するには、とても役に立つ本だと思います。お勧めです。

2018年6月22日 (金)

読みました(洋書/社会) ~ THE 100-YEAR LIFE

数年前に話題になりました「ライフ・シフト」の原書です。紀伊國屋の洋書バーゲンで見つけたので読んでみました。

生活の質の向上、栄養の改善、医療の発達等により、寿命が次第に延びてきており、今後は100歳まで生きるのが普通になってくる。その「100年人生(The 100-Year Life)」の恩恵を受け、長く人生を楽しめるようにする為には、先見の明(foresight)と準備(planning)が必要であるとした上で、我々はどのように対応・変化していけば良いのか考察している本です。

本書のポイントとしては、

・これまで標準とされてきた、年齢とリンクした「3ステージの人生(three-stage life)」<①教育を受ける時期→②仕事をする時期(転職含む)→③退職後の余生>では、「100年人生」を上手く生きることができない。 

・なぜならば、「3ステージの人生」では、65歳で退職したとすると、退職後の余生が35年あることになるが、通常、そこまで貯蓄がもたないし、生きがいもなくなってくる(疲れてくる、飽きてくる)。 

・そうならない為には、財政的な面からは、65歳を超えて働く必要があるかもしれないし、その為には、40~50歳代で学び直して新たな(時代に合った)スキルを身につける必要があるかもしれない。また、独立して人脈を広げることが必要かもしれない。財産形成(貯蓄・運用)についても、将来を見据えて、今よりも計画的に、賢く行わなければならないだろう。

・生きがいの面からは、学び直しや、継続的な社会(他人)との関わりが大切になってくる。身体的・精神的健康を長く保つことも、より重要になってくる。

・人生が長くなればなるほど、時間的に、やりたいことができる可能性が広がってくるので、自分は何者なのか(who we are / what is really important to me)、どんな人生にしたいのか(how we construct our life)、親しい人だけでなく幅広い人の考え・意見を聞きながら、じっくり考えることがより大切になってくる。その為に、大学を卒業してもすぐには就職せずに、まずはいろいろと試してみて、自分探しをすることが必要かもしれない。

・従って、「100年人生」を生きる為には、年齢とリンクした「3ステージの人生」に囚われず、「もっと沢山のステージのある人生(multi-stage life)」を柔軟に設計する必要がある。その設計は十人十色なので、結果として、今よりもっと多様な人生の送り方が現れてくる。

・それに合わせて、公的な制度(年金、税制、教育等)や会社の制度(採用、就業時間、在宅勤務、休暇等)も、いろいろ試しながら、柔軟に変えていく必要があるし、変わらざるを得ないだろう。

・パートナーとの関係は、重点が、仕事と家庭の役割分担という点から、生活費の低減という点や、人生のステージの転換期にあるパートナーを経済面・育児面・精神面から支えるという点に移っていくだろう。その為には、今まで以上に話し合いをしなくてはならないので、お互いの信頼関係がより大事になってくる。

といった辺りだと理解しました。

本書で書かれている提案は、ある程度の教育を受け、スキルを持った人たちに対する助言としては納得がいったのですが、それ以外のごく普通の人たちに対する助言としては、正直なところ「実行するのは難しい、失敗するリスクが高いのではないか?」と思いました。筆者も、弱者を取り残してはならない、政府による対策が必要だと主張しているのですが、少し物足りなく感じました。

自分のこととして考えると、まずは、65歳以降の人生で何をしたいのか、どうしたら楽しく過ごせるのか、自分なりに考えたり、他の人と話したりして、ある程度の方向性を決める必要があるかと思いました。その上で、それに向けて具体的行動を起こしていきたいと思いました。長い人生を呪い(curse)ではなく恩恵(gift)とする為に、何をすべきか考えていきたいと思います。

本書の全体的な感想としては、少し批判的なことも書きましたが、客観的なデータを交えつつ、丁寧に論理的に話を展開する一方、Jack、Jimmy、Janeという3世代の家族を登場させることにより理解しやすくなっており、好感が持てました(なお、私はJimmyの世代です)。また、これまでの人生を振り返り、今後の人生について改めて考える機会となる良書だと思いました。

日本語訳の「ライフ・シフト」はこちら…

2018年3月30日 (金)

読みました(洋書/経済学) ~ Misbehaving

2017年にノーベル経済学賞を受賞したRichard H. Thaler氏の書いた、行動経済学に関する本です。但し、学問書というよりは、行動経済学の黎明期から、今日、行動経済学が経済学の重要分野として認知されるまでの経緯、苦労話等々を交えながら、分かりやすく行動経済学の内容、面白さを説明している本です。

私は行動経済学についてあまり理解していなかったのですが、話の中に、今まで読んだ洋書の著者も沢山出てきて("Thinking, Fast and Slow"のDaniel Kahneman、"The Marshmallow Test"のWalter Mischel、"Made to Stick"のChip Heath、"The Signal and the Noise"のNate Silver)、あれもこれも行動経済学と関連していたのだなぁ…と新たな発見がありました。

伝統的な経済学では、すべての人が経済的に合理的な行動をとることを前提に理論が構築されてきたのですが、現実の人間を観察すると、必ずしも経済的に合理的な行動をとっていはいないことに気がつきます。

例えば、

・現実の人間にとっては、「失う痛み」は「得る喜び」よりも重い、例えば「今持っている100万円を失う痛み」は「新たに100万円を得る喜び」よりもかなり(約2倍)大きいので、経済的に不合理であっても、必要以上に損失を被るリスクを避ける傾向がある。

・現実の人間にとっては、同じ金額であっても文脈により意味合いが変わってくる。例えば「20,000円のテレビが他店で15,000円で買える嬉しさ(5,000円引き)」は「2,000,000円の車が他店で1,995,000円で買える嬉しさ(こちらも5,000円引き)」よりもかなり大きい。従って、同じ金額が節約できるにも拘らず、前者の場合にはわざわざ他店に買いに行く可能性が高くなるが、後者の場合には他店に行く可能性はより低くなる。

・現実の人間は、「お買い得(positive transaction utility)」に弱いので、「お買い得」だと必要のない物まで買ってしまうことが多い。逆に「値上げ(negative transaction utility)」に対しては、たとえ需要と供給のバランスからして妥当だったとしても、過度に反発する傾向がある。

・現実の人間は、不誠実な行動をする人を罰する為には、自分の利益を犠牲にする(経済的に不合理な行動をとる)傾向がある。

・sunk costs(既に支出してしまった費用)は、新たな判断をする際には考慮しないのが経済的に合理的であるが、現実の人間は、sunk costsを取り戻そうとする傾向がある。例えば、高かった靴は、自分の足に合わなくても履き続けてしまい、結果として靴擦れになって病院に行くことになる、といったような不合理な行動をとってしまう。

・株式市場においては、数年にわたり業績が低迷している会社は、将来も業績が回復する見込みのない「敗者」としてレッテルを貼られる傾向があり、経済的に合理的な範囲を超えて株価が低迷する傾向がある。

・現実の人間は、現状維持に流れがちな傾向があるので、現状を変える方が経済的に合理的であったとしても、現状を維持してしまう傾向がある。

・現実の人間は、「将来」手に入るお金や物よりも、「今すぐ」手に入るお金や物の方を過大評価する傾向がある。

従って、経済学で現実の世の中を説明したり、経済学を現実の世の中に応用したりする(行政において政策を立案する、会社において戦略を立案する等)為には、伝統的な経済学だけでは不十分で、現実の人間の行動傾向を踏まえて、伝統的な経済学を修正して活用する必要があります。

例えば、

・ある会社において「2億円の利益が出る確率が50%、1億円の損失が出る確率が50%のプロジェクト」が20件あったとすると、会社としてはすべてのプロジェクトを実施するのが経済的に合理的だが、1件ごとに1人の責任者を定めてプロジェクトを実施するか決定させると、「利益が出る可能性」よりも「損失が出る可能性」を過度に恐れてプロジェクトを実施しないと判断する(現状維持に流れる)者がかなり出てくる。
 従って、各責任者が損失を過度に恐れず(現状維持に流れず)合理的な判断をするよう促すためには、損失発生を過度に責めない、利益獲得をきちんと評価する、バランスの良い評価の仕組みを経営者が意図的に作る必要がある。

・退職に備えた貯蓄プランへの従業員の参加率を上げるには、「貯蓄プランへの参加」をデフォルトとして設定した上で「参加したくない人」だけが不参加申請をする形にした方が、「参加したい人」が参加申請する形にするよりも、参加率は上がる。(人は現状維持に流れる傾向があるので…)
 また、「当初」は月々の貯蓄額を低く設定して、「将来」給料が上がったら月々の貯蓄額も上がっていく仕組みにしておくと、より参加率が上がる。(人は「現在」の負担額に過度に反応する傾向があるので…)

・マーケットが常に合理的な判断をする訳ではないと理解した上で、株価、不動産価格等の異常な高騰が続いた場合には(バブル)、政府の介入を検討する必要がある(「神の見えざる手」に任せきりにしない)。

というようなことがあります。このように、伝統的な経済学を現実に合わせて修正していく学問が行動経済学であると、私は理解しました。

一見すると、行動経済学と伝統的な経済学は対立しているように思えてしまいますが、著者は「伝統的な経済学の理論は、ベースになる理論として大事であり、決して行動経済学と対立するものではない。」とも述べております。この点は十分理解しておく必要があると思いました。

更に著者は、「行動経済学の考え方を現実世界で実践する為には、可能な限り比較試験(randomized control trials)を実施して、出来る限り沢山の客観的なデータを集め、効果を確かめてから幅広い実践に移す必要がある。やみくもに実践すればいいものではない。」とういうことも述べており、この点も非常に大事だと思いました。

毎日、通勤電車の中で読んで、読み終わるのに約2ヶ月かかってしまいましたが、実験、調査、観察、実践の例がとても豊富で幅広く(株式市場の話、貯蓄制度の話から、スキー場の戦略の話、アメフトのドラフトの話、テレビのゲーム・ショウの話まで)、内容も面白く、思ったよりも読み易かったです。行動経済学の入門として、お勧めできると思いました。

ちなみに、邦訳はこちら…

2017年12月23日 (土)

読みました(洋書/児童書) ~ James and the Giant Peach

Roald Dahlの作品。本作も、メルカリで古本を買いました。

両親を亡くしたJamesは、意地悪で利己的なおばさん二人に引き取られ、惨めな暮らしをしていました。ある日、奇妙な老人に出会い、沢山の小さな緑色の粒をもらうのですが、それを庭にある桃の木の根元にこぼしてしまい…

…その後、巨大な桃に乗って、人と同じサイズになった言葉を喋る虫たちと冒険することになるのですが、その虫たちのドタバタぶりがとても面白く、あっという間に読み終わってしまいました。

話の展開が突飛で面白いので、"Matilda"や"Charlie and the Chocolate Factory"ほどではありませんが、大人でも楽しめると思います。お勧めです。

2017年12月16日 (土)

読みました(洋書/児童書) ~ Charlie and the Chocolate Factory

前から一度読みたいと思ってはいたのですが、先日、メルカリで安く出品されていたので、読んでみました。

貧しい暮らしをしていたCharlieが、巨大な、でもちょっと怪しいチョコレート工場に招待されることになり、おじいさんと一緒に行くことになります。そこで見たものは…

もう少しほのぼのとしたお話を勝手に想像していたのですが、いい意味で期待が裏切られて、とても毒のある、風刺の効いた話で面白かったです。"Matilda"と同じくらい、楽しく読むことができました。大人にもお勧めできる児童書だと思います。

Roald Dahlの本は、古本で安く売りに出ていることが多いので、もう少しいろいろと読んでみたいです!

2017年10月29日 (日)

読みました(洋書/教育) ~ Helping Children Succeed

ベストセラーになった"How Children Succeed"(邦題「成功する子 失敗する子」)の続編とも言うべき作品です。前作がとても興味深かったのと、フローレンス代表の駒崎氏が邦訳「私たちは子どもに何ができるのか」のまえがきを書いていることもあり、読んでみました。

前作の"How Children Succeed"で、子供たちが将来うまくやって行く為には、Grit、Perseverance、Resilience、Zest、Curiosityといったnoncognitive skillsを身に付けることが大切だ、という結論になったのですが、「それでは、子供たちにそのようなスキルを身に付けさせる為には、一体どのようにしたら良いのか?」という残された課題について考察しているのが、本書になります。

大まかな著者の主張としては、「そのようなスキルを子供たちに直接的に教え込むことはできない。そのようなスキルを身に付けられるような環境を子供たちの周りに整える必要がある。」ということだと思います。

Rather than consider noncognitive capacities as skills to be taught, I came to conclude, it's more accurate and useful to look at them as products of a child's environment.

If we want to improve a child's grit or resilience or self-control, it turns out that the place to begin is not with the child himself. What we need to change first, it seems, is his environment.

乳幼児期であれば、家庭で、若しくは幼稚園等で、子供たちの言葉・行動・様子に暖かく反応してあげれる環境を作ることが大切、とのことです。

These rudimentary interactions (="serve and return" interactions) between parents and babies, which can often feel to parents nonsensical and repetitive, are for the infants full of valuable information about what the world is going to be like. More than any other experiences infants have, they trigger the development and strengthening of neural connections in the brain between the regions that control emotion, cognition, language, and memory.

But first, before they set foot in preschool, they need to spend their first three years in an environment with plenty of responsive, warm and serve-and-return interaction with caring adults. And if they can't get that at home, they need to get it at a place like Educare.

学校に行くようになれば、やはり子供たち一人一人の話をしっかり聞き、一人一人への期待をしっかり伝えると共に、一方的に講義をするのではなく、自主的・主体的に学べるような環境、子供たちの3つの欲求(competence, autonomy and relatedness/belonging, independence and growth)を満たすような環境を作ってあげることが大切、とのことです。例えば、グループワーク等で、子供たちの能力を少し超えるような課題にチャレンジさせる、等。厳しい規則を決めたり、ご褒美等のインセンティブを与えたりしても、殆ど効果はないようです。

The way kids learn that (=character) is by continually being compelled and supported to take risks - by sharing their work with their parents, by sharing thier work with groups, by speaking out in class, by presenting their work.

In order for a student to truly feel motivated by and about school, he also has to perceive that he is doing important work - work that is challenging, rigorous, and deep.

The experience of persisting through an intellectual challenge and succeeding despite the struggle is a profound one for school-children...It produces feelings of both competence and autonomy...

また、そのような環境を作る為には、子供たちだけでなく、環境を作る主体である親や先生たちも同様にサポートしていく必要がありそうです。

本書は、一章が短く、ポイントがコンパクトにまとまっていて読み易いのですが、思ったよりも具体例が少なく、読み物としてはちょっと物足りない感じがしました。個人的には、もう少しページ数を増やして、前作のSpiegel先生の話のような具体例を沢山挟み込んで欲しかったなぁ…と思いました。

とは言え、興味深い話ではありますので、教育・育児に興味のある方にはお勧めできると思います。

ちなみに、邦訳はこちら…

2017年9月 9日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ tuesdays with Morrie

15年以上前に邦訳「モリー先生との火曜日」を読んで、とても印象に残った本です。紀伊國屋の洋書バーゲンで原書を見つけたので、読んでみることにしました。

著者のMitch Albom氏は、大学生の時に親友のように親しくしていた教授(Morrie Schwartz氏/モリー先生)がいたのですが、卒業後は連絡も取らなくなり、仕事に没頭するようになっていました。そんなある日、テレビにモリー先生が出演しているのを見て、モリー先生がALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていることを知り、16年振りにモリー先生に会いに行きます。

モリー先生は再開をとても喜び、16年振りに、モリー先生の自宅にて、モリー先生最後の授業が始まります。

授業の科目は「The Meaning of Life」。モリー先生と著者との対話形式で進みます。モリー先生が亡くなるまでの短い間ですが、取り上げるテーマは、死ぬこと、老いること、愛すること、許すこと、家族について、結婚について、感情について、我々の文化(しがらみ)について等々、多岐に亘ります。

モリー先生の言葉の中には、心に響く沢山の言葉、格言(aphorism)があるのですが、特に覚えておきたいなぁ…と思ったものは、

The culture we have does not make people feel good about themselves. And you have to be strong enough to say if the culture doesn't work, don't buy it. (「Taking Attendance」より)

⇒"Have the courage to follow your heart and intuition. (Steve Jobs)"ということかも知れませんね…

The way you get meaning into your life is to devote yourself to loving others, devote yourself to your community around you, and devote yourself to creating something that gives you purpose and meaning. (「Taking Attendance」より)

⇒子供と一緒に遊んだり、話をしたり。課のメンバーの話をよく聞いたり、働き易い職場環境を作ったり…

Once you learn how to die, you learn how to live. (「The Fourth Tuesday - We talk about death」より)

⇒亡くなる時に後悔しないように、今をどう生きたらいいか考えて、ということかなぁ…

There is no experinece like having children...If you want the experience of having complete resposibility for another human being, and to learn how to love and bond in the deepest way, then you should have chilldren. (「The Fifth Tuesday - We talk about family」より)

⇒子育てをすべきということではなく、子育ては、人生に意味を与えてくれる貴重な経験だよ、ということ…

Aging is not just decay, you know. It's growth. It's more than the negative that you're going to die, it's also the positive that you understand you're going to die, and that you live a better life because of it. (「The Seventh Tuesday - We talk about the fear of aging」より)

⇒いずれ亡くなることを意識するようになるにつれ、人生は豊かになっていく…

...if you're trying to show off for people at the top, forget it. They will look down at you anyhow. And if you're trying to show off for people at the bottom, forget it. They will only envy you. Status will get you nowhere. Only an open heart will allow you to float equally between everyone. (「The Eighth Tuesday - We talk about money」より)

⇒虚勢を張る必要もないし、力を誇示する必要もない…

I believe in being fully present. That means you should be with the person you're with. (「The Ninth Tuesday - We talk about how love goes on」より)

⇒まずは、目の前にいる人の話をよく聞くことから始めたいなぁ…

People are only mean when they're threatened, and that's what our culture does. That's what our economy does. (「The Eleventh Tuesday - We talk about our culture」より)

⇒自分の影響の及ぶ範囲だけでも、不安の少ない環境を作りたいなぁ…

In the beginning of life, when we are infants, we need others to survive, right? And at the end of life, when you get like me, you need others to survive, right? But here's the secret; in between, we need others as well. (「The Eleventh Tuesday - We talk about our culture」より)

⇒よく考えると当たり前なのですが、忘れがちなこと… 

It's natural to die. The fact that we make such a big hullabaloo over it is all because we don't see ourselves as part of nature. (「The Thirteenth Tuesday - We talk about the perfect day」より)

⇒これについては、野山に出かけることから始めるか…

あと、モリー先生の言葉ではありませんが、

...there is no such thing as "too late" in life. (「Conclusion」より)

モリー先生自身が魅力的なのはもちろんなのですが、著者の書き方の上手さも、本書を素晴らしいもの(名著)にしていると思いました。時に、著者の過去の出来事、モリー先生の過去の出来事に戻りながら、テンポよく話が展開されているので、最後まで飽きずに一気に読むことができました。また、一章が短く、語彙もそれほど難しくないので、とても読み易いと思います。

約20年前に書かれた本ですが、今でも全く色あせない本だと思います。少し立ち止まって、自分の人生を振り返ってみる、これからの人生を考えてみる切っ掛けとなる、良書だと思います。お勧めです。

ちなみに、邦訳はこちら…

2017年8月 5日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ Becoming Brilliant

7年前くらいに読んだ"Einstein Never Used Flash Cards"(2003年)の著者が、昨年、新しい本を出していたことを知って、早速読んでみました。

本作では、"Einstein Never Used Flash Cards"で強く主張していた「自ら進んでやる遊び(Play)を通じて、子供は生きていく力を身につけるのである(Play = Learning)」との考えを根底におきつつ、これからの変化の早い世の中を生きていく子供達にとっては、単に知識を詰め込むだけではなく、次のような6つの能力(Soft Skills, 6Cs)を伸ばすことがより大事であると主張しています。そして、そのような能力を伸ばす為に我々大人はどうしたらよいか、具体的に提案をしています。

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1 Collaboration

まずは、自分自身の行動・気持ちをコントロールできるようになり、更には、お互いに助け合うことができるようになり、最終的には、お互いを信頼・尊重して、共通の目的に向かって協同することができるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供と一緒にキャッチボールをする。家族皆でボードゲームをする。お手伝いをしてもらう。ブラスバンドやサッカーチーム等の課外活動に参加させる。

2 Communication

相手の考え、気持ち等をある程度理解して会話等のやりとりができるようになった上で、最終的には、相手の考え、気持ち等を正しく理解して、自分の考え、意見等を簡潔に、的確に、丁寧に伝えられるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

スマホ等を脇に置いて、まずは子供の話をよく聞く。その上で、子供に広がりのある(決まった回答の無い)質問をする。5回以上のやりとりはしたいところ。小さい子であれば、ごっこ遊びを沢山させる、又は一緒にする。子供がテレビやスマホを見る時間を制限する。

3 Content

自分の持っている個々の知識を結びつけて何か新しいことに取り組むことができるようになり、最終的には、ある分野での専門性を更に高めて、これまでの知識(常識)を改善・修正できるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供と一緒に本を読んだり、宿題をしたりしながら、学んだ知識を子供の日常生活と結びつけて話を膨らませる。子供と公園に行って草木を観察したり、草木で何か描いたり作ったりする。楽しめるようだったら、キャンプやワークショップに参加させて、新しい経験をさせる。楽しく、興味をもって学べる環境・機会を出来るだけ沢山作る。

4 Critical Thinking

自分や他人の意見・方法等に対して疑問をもつことから始まり、世の中には自分と違う意見・方法等があることを理解するようになり、最終的には、様々な意見・方法等のうちどれがより優れているか、その根拠を確認しながら判断できるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に興味がありそうな本を沢山読ませたり、様々な話をしたりして、世の中にはいろいろな考え方があることを知ってもらう。子供が質問してきたら、分かり易く答えるだけでなく、時々「どう思う?」と聴き返してみる。

5 Creative Innovation

得意分野において、豊富な知識を使って自分らしいユニークなものを生み出せるようなった上で、最終的には、他の分野にも影響を及ぼすような、世の中の問題・課題に対する新たな解決策を生み出せるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に不要になった箱や布やガラクタを自由に使わせる(部屋はかなりちらかりますが…)。できるだけ自由に遊ばせて、なるべく口を出さない。美術館、博物館、音楽会、演劇等に行くのも、創造性を刺激するのでいい。

6 Confidence

新たなことを行うメリットとリスクを検討した上で、ある程度リスクをとって挑戦することができるようになり、最終的には、自分の能力を超えたことに対しても、失敗から学びながら、何度もチャレンジできるようになること。

(この能力を育てるためには、例えば…)

子供に対しては、成果ではなく「努力(過程)」を褒める。子供が何か失敗してしまったら、怒るのではなく、何が起きたのか訊いて、次に失敗しない為にはどうしたらよいか冷静に考えさせる。もし子供に好きなことがあれば、それを一杯やらせる。多少難しいことでも、できるだけ口出ししないで、子供に任せてみる。

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これら6つの能力は、お互いに関係しているので、それぞれをバランス良く伸ばしていく必要があります。また、子供は親をよく観察して学んでいるので、親自身も、これら6つの能力を伸ばしていくよう努力しなければならない(共に学んでいかなければならない)とのことです。子供に言うだけでは駄目ということですね…

正直な感想としては、これらの6つの能力すべてを最終的なレベルにまで引き上げるのは大変だと思います。ただ、方向性としては、知識偏重の教育に警鐘を鳴らす著者の考え方に同意できるので、目標として頑張っていければいいかと思っています。

本作も、様々な調査・観察・実験等を踏まえて分かり易く書かれており、最後まで興味深く読むことができました。但し、文章が少し固く、単語のレベルも私にとってはちょっと難しかったので、読むのに多少骨が折れました。

また、Walter Mischel氏の"Marshmallow Test"Elena Bodrova氏等の"Tools of the Mind"Angela Duckworth氏の"Grit Scale"等も出てきて、今まで読んだ本との関連性も分かり、より理解を深めることができました。

日々の子育てに役に立ちそうなアドバイスが沢山載っているので、この本も、特に子育て中の方にお勧めできると思います。本作も、そのうち邦訳が出るかな?

2017年7月 8日 (土)

読みました(教育・ノンフィクション) ~ The Marshmallow Test

心理学、教育関連の本で良く出てくる「マシュマロ・テスト(The Marshmallow Test)」の考案者、Walter Mischel氏が書いた本です。紀伊國屋の春の洋書バーゲンで見つけたので、読んでみました。

「マシュマロ・テスト」自体は、1960年代後半に考案された古いものです。観察者が、幼児の目の前にマシュマロ(別の物を使う場合もある)を1個置いて、

「これから、用事があってちょっと部屋を出ていくけど、また戻ってくるね。もし、私が戻ってくるまでマシュマロを食べないで待てたら、マシュマロを2個あげるよ。もし、私が戻ってくるまで待てなかったら、そのベルを鳴らしてね。その時は、マシュマロは1個だけだよ。」

と説明し、部屋を出て、外から幼児の行動を観察する実験です。この実験で、長い時間待つことができる子は、待てない子よりも、大人になってうまくやっていける傾向があることが、追跡調査から判明しています。

著者は本書で、この「マシュマロ・テスト」を端緒に、自制心(自制できる能力/self-control)が人生にどのような影響を与えるかについて、読者に語りかけるように、分かり易く説明しています。

本書の中で、「なるほどなぁ…」「覚えておきたいなぁ…」と思った箇所は、

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...parents who overcontrol their toddlers risk undermining the development of their children's self-control skills, while those who support and encourage autonomy in problem-solving efforts are likely to maximize their children's chances of coming home from preschool eager to tell them how they got their two marshmallows.

→よちよち歩きの頃は、つい、すぐに手を出したくなりますが、なるべくこらえる必要がありそう。既にこの頃から、自制心は育まれるようだ。

Our genes influence how we deal with the environment. The environment affects which parts of our DNA are expressed and which are ignored.

...human dispositions and behavior patterns, including character and personality, attitudes, and even political beliefs, reflect the complex effects of our genes, whose expressions throughout the course of life are shaped by a host of  environmental determinants.

→(自制心等の)人の性格や個性は、遺伝だけで決まる訳ではないし、環境だけで決まる訳でもない。双方が複雑にからみあって影響を与えているようだ。

...under high pressure and the threat of failure in the new school environment , the students who viewed their abilities as fixed soon began to get lower grades, doing progressively worse over the two years of junior high school. The students with a growth mind-set, in contrast, kept getting better and better grades over those two years.

→「努力すればできるようになる(能力が上がる)!」という気持ち・信念を持てるようになることが大切。

If you see more continuity between yourself now and yourself in the future, you probably put more value on delayed rewards and less value on immediate rewards and are less impatient than people who view their future selves as strangers.

→「現在の私(yourself now)」と「将来の私(yourself in the future)」との連続性(つながり)を意識する工夫が必要。

...the same question - "Why did I feel that way?" - reactivates the hurt when one is self-immersed, but it will cool the hurt and provide a more adaptive narrative when one is self-distanced, like an observer.

By increasing your psychological distance from the (painful) event, you reduce stress, cool the hot system, and can use the prefrontal cortex to reappraise what happened so that you can make sense of it, gain closure, and move on.

→自分に起きた嫌な出来事、辛い出来事は、壁にとまっている蝿になった気で(as a fly on the wall)、一度距離を置いて覚めた目で眺めてみると良さそう。

...positive self-affirming mental states, including positive illusions (as long as they are not extreme distortions of reality), enhance healthier physiological and neuroendocrine functioning and lead to lower stress levels. The realists who perceive themselves more accurately experience lower self-esteem and more depression, and they are generally less mentally and physically healthy.

We see others accurately, but we wear the rose-colored glasses when we rate ourselves, if we are fortunate enough to not to be depressed. In fact, this kind of inflation in self-evaluation may be what helps protect most people from being depressed.

→自己についての正確な評価・認識が、必ずしも心の健康につながるとは限らない。自己評価は、少しぐらい水増しした方が良いみたい。

We are both ants and grasshoppers, and to lose the hot emotional system and live continually dominated by the cool cognitive system in the service of a possible future can become a life story as unsatisfying as its opposite.

...a life lived with too much delay of gratification can be as sad as one without enough of it.

→自制心はとても大事だが、自制心があり過ぎるのも問題。何事も、バランスが大事。

...if you want your children to adopt high self-reward standards, it's a good idea to guide them to adopt those standards and also model them in your own behavior.

How parents and other important figures in a child's life do or do not control themselves ...all profoundly influence the child.

→子供に言うだけでは駄目、自分でも実践しないと。

Self-control involves more than determination; it requires strategies (e.g. If-Then implementation plans) and insights, as well as goals and motivation, to make willpower easier to develop and persistence (often called grit) rewarding in its own right.

...without compelling goals and drive, EF (executive function) can leave us competent but aimless.

→自制心を養うためには、決意するだけではうまくいかない。賢い方法、目標、動機付けが必要。

In life, employing If-Then implementation plans has helped adults and children control their own behavior more successfully than they had imagined possible.

The more often we rehearse and practice implementation plans, the more automatic they become, taking the effort out out effortful control.

→「~という(自分がうまく対処できない)状態が起きたら…する」という計画を予め定めておくことは、自分の行動を上手にコントロールするのにとても有効である。

(例えば、「仕事が重なってパニックになりそうだったら、深呼吸を20回以上する(外の空気を吸ってくる)」「パソコンでソーシャル・メディアを読んでいる時に子供達が話しかけてきたら、子供達と話をするのを優先する」などなど…)

To keep infants' stress levels low, a first step for parents might be to try to reduce their own stress, recognizing that it often increases when newborns arrive.

→子供の自制心を育むためには、新生児の頃からできるだけ子供にストレスを与えないことが肝要だが、その為には、まずは親自身がリラックスする必要がありそう。

To promote children's sense of both autonomy and responsibility, we can help them realize early in life that they do have choices that are theirs to make, and that each choice comes with consequences: good choices - good consequences; bad choices - bad consequences.

→小さい頃に、どのように行動するかは自分で決められること、その行動によって結果・成果が違ってくることを理解させることが大切。

The challenge for the parents is to provide the support their child needs and wants, and then let her work on her own, without taking over and doing if for her.

→サポートはするけど、あくまでサポートに徹する。

Rather than looking for good grades and applauding kids for being "so smart," we can praise them for trying as hard as they can.

...we can help them to understand and accept that failures along the route are part of life and learning, and then encourage them to find constructive ways to deal with such setbacks so that they keep trying instead of becoming anxious, depressed, and avoidant.

→子供の頃は、「成果」ではなく「努力」を褒める。 同様のことは、以前読んだ本、"Einstein Never Used Flash Cards"や"Nurture Shock"にも書かれたので、特に留意する必要がありそう。

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以上、本当に一杯ありました。

読む前は、著者は、もう年配の方だし、学者だし、固い内容で読むのが大変かなぁ…と思っていたのですが、様々な調査、観察、実験結果を引用しながら、とても分かり易く書かれており、興味深く読むことができました(特に後半)。

また、本書には、以前読んだ本"Nurture Shock"に出てきたTools of the Mind、"How Children Succeed"に出てきたKIPP(Knowledge Is Power Program)、"Grit"の著者であるAngela Duckworth氏、"Thinking, Fast and Slow"の著者であるDaniel Kahneman氏等も登場し、それらとの関連性を確認することができたのも良かったです。

子育てに関しても、自分自身の生き方に関しても、参考になりそうな箇所が一杯あると思います。子育て中の方の方が、より興味を持って読めると思いますが、そうでない方にも十分お勧めできる本だと思います。

ご参考までに、日本語訳はこちら…

2017年5月20日 (土)

読みました(ノンフィクション) ~ GRIT

以前読んで興味深かった本"How Children Succeed"に名前が出てきたAngela Duckworth氏が初めて出した本で、書店で日本語訳が売り出されていて、とても気になっていたのですが、やっと読むことができました。

本書では、表題でもある"Grit"とは一体何か、なぜ"Grit"が大事なのか、どのようにしたら"Grit"が育つのかについて、丁寧に分かり易く説明しています。著者が学者と言うこともあり、調査・実験データが豊富に取り上げられていて、とても興味深い本になっています。

自分なりに、要点をまとめてみると…

・人生において何を成し遂げられるかは、"talent(生まれ持っての才能)"にも影響されるが、それ以上に、その人に"Grit"があるかどうかに大きく影響されることが、様々な調査結果から分かってきた。

・"Grit"とは、長期的な目標を達成する為に、熱意を持って、粘り強く努力し続ける力のことである(passion and perseverance)。

・理解の為にあえて単純化すると、 「talent(生まれ持っての才能)×effort(努力)=skill(技量)/skill(技量)×effort(努力)=achievement(成果)」ということであり、talentよりもeffortの影響の方が大きいことが分かると思う。

・"Grit"の程度は、人によって固定された(変わらない)ものではなく、育てることができる。

・"Grit"を沢山持っている人は、①interest(興味)、②capacity to practice(練習できる力)、③purpose(他者への貢献という目的)、④hope(逆境から立ち直れる力)の4つを持っているので、"Grit"を育てるには、その4つの側面を育てるようにすると良い。

・interest(興味)を育てる、つまり興味を深めていく為には、物事の微妙なニュアンスを理解できる、楽しめるようになる必要がある。

・capacity to practice(練習できる力)を育てる為には、漫然と練習するのではなく、自分のできていない点(苦手な点)を把握し、その点を改善する為に集中して繰り返し練習し、少しずつ理想に近づけていく、ということを意識する必要がある。更に、そのような練習(deliberate practice)を習慣(habit)にすることが大切である。

・purpose(他者への貢献という目的)を育てる為には、日々の行動について、どうしたらより他者に貢献できるようになるのか考えてみることが大切である。ロール・モデルになる人を見つけて参考にするのも良い。

・hope(逆境から立ち直れる力)を身につける為には、能力は育てることができる(固定されたものではない)という意識を持つこと、前向き、楽天的な思考を持つよう努めることが大切である。そして、必要なときには、他の人に助け・助言を求めることも大事である。

・子供が"Grit"を身につける為には、高いハードルを設定しながらも、子供に寄り添う(必要に応じて手助けする)ような子育てが必要である。どちらか片方だけではうまくいかない。

・子供が"Grit"を身につける為には、課外活動(extracurricular activities)に参加させるのが有効である。その際は、子供本人が参加する課外活動を決めること、一度決めたら一定期間(数年間)は頑張って続けることが大切である。

・"Grit"を育てる為には、"Grit"の文化を持った組織を見つけて参加するのも有効である。

個人的には、本書を読んで「楽器・英語の練習・学習方法をもうちょっと工夫しよう」「練習・学習を毎日の習慣にしよう」と改めて思いました。あと、「あの人には生まれつき才能があるから…」と羨ましがる癖も、止めようと思いました。

理論的にすっきりしない箇所もありましたが、ここ数年話題になっている"Grit"について分かり易く書かれており、非常に興味深く読むことができました。

洋書としては、文章や単語もそれほど難しくなく、具体例も豊富で、比較的読み易かったです。教育に携わる人にだけではなく、より充実した人生を送りたいと思っている人にもお勧めできる本だと思いました。

ご参考までに、日本語訳はこちら…

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