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アングロ・コンサーティーナのメーカー

コンサーティーナについて、年に数回くらい、お勧めのメーカー等を尋ねられます。いつも、場当たり的に回答している気がするので、ちょっとまとめてみました。

まずは大前提として、アイルランド音楽をやろうとする方は、「イングリッシュ・コンサーティーナ」ではなく「アングロ・コンサーティーナ」を購入して下さい。また、できる限り「30キー(ボタン)」にして下さい。

 

<入門モデル>

Rochelle2 Rochelle10 Rochelle9 Rochelle13

「コンサーティーナとはどんなものか、ちょっとやってみたいなぁ~」という方は、まずこのクラスの楽器を買うことになるでしょう。アイルランド音楽をやろうとしている方は、このクラスの楽器であっても、20キーではなく30キーの楽器を買うことをお勧めいたします。コンサーティーナにはまった方は、程なく(数ヶ月ぐらいで?)、「中位モデル」の楽器にグレード・アップしたくなることでしょう!

 

1 Rochelle(Concertina Connection)(オランダ→アメリカ)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://www.concertinaconnection.com/rochelle%20anglo.htm

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/04/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・入門レベルにしては、低音のレスポンスが良いです。

・リールを弾くのはしんどいと思いますが、弾ける人はいます(私は無理…)。

・楽器のサイズが大きいのが難点でしょうか…

 

2 Gremlin(Bastari/Stagi)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ(日本の楽器店)】

http://shop.taniguchi-gakki.jp/products/list.php?category_id=43

・かみさんも最初はこの楽器でした。私も最初はこの楽器をかみさんから借りました。

・楽器のレスポンスは良くありません。

・リールを弾くのはしんどいと思いますが、弾ける人はいます。

 

3 Hohner(ドイツ)

【リード】アコーディオン・リード

・楽器のレスポンスは良くないと思います。

 

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中位モデル>

Edgley_concertina_2 2 11 Lachenal_concertina_1

セッション(ライブも?)で演奏するには、このクラスの楽器以上でないと、ちょっとしんどいと思います。このクラスは、「アコーディオン・リード」の楽器と「コンサーティーナ・リード」の楽器が混在しています。

アイルランド音楽をやっている方から、「このクラスの楽器であればどのメーカーが良いでしょうか?」とよくご質問を受けます。その時には、「アコーディオン・リード」の音が気にならないようでしたら、価格が少し高めになりますが、Edgley(又はClover)をお勧めしています。楽器のレスポンスが非常によく、特に、リールを弾くときのストレスが軽減されると思います。

このクラスの「コンサーティーナ・リード」の楽器は、EdgleyCloverに比べるとレスポンスが遅いです。一方で、コンサーティーナらしい音がして、個人的には弾いていて気持ちがいいです。特に、ゆっくりとした曲を弾いている時にそう感じます。

 

1 Norman(イギリス)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://www.acnorman.co.uk/

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concert-3.html

・弾いたことがあります。

・楽器のレスポンスは、そこそこです。

 

2 Marcus(イギリス)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】https://www.marcusmusic.wales/

・弾いたことがあると思うのですが、記憶が曖昧です…

 

3 The Irish Concertina Company(アイルランド)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】https://www.irishconcertinacompany.com/

・最近のメーカーでしょうか…

 

4 Harry Geuns(ベルギー)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://bandoneon-maker.com/concertinas/

・昔はWakkerと共同で製作していました。その頃の楽器を少しだけ弾いたことがありますが、なかなか反応は良かったと思います。

 

5 Morse(Button Box)(アメリカ)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】https://www.buttonbox.com/

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2016/09/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。ネット上でも評判は良いです。

・有名なアコーディオン屋さんでもあり、信頼できるメーカーだと思います。

・重量がとても軽く、ボタンも押しやすいので、弾きやすいと思います。

・レスポンスは、気持ち7のEdgleyの方が良いと思います。

※現在は、残念ながら、このメーカーは無くなってしまいました(2023.8追記)。

 

6 Tedrow(Homewood Music)(アメリカ)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://hmi.homewood.net/concertinas/

・評判は良いです。一度弾いてみたいメーカーです。

 

7 Edgley(カナダ)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://www.concertinas.ca/hybrids.html

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/05/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・日本でこのメーカーの楽器を弾いている人は多いと思います。

・楽器のレスポンスが素晴らしいです(「上位モデル」並み)。

・作りがとてもしっかりしています。その分、少しだけ重いかな…

・昔の楽器は音色が少しきつかったですが、現在では大分改善されています。

・「中位モデル」で一番お勧めできる楽器です。

 

8 Clover(Concertina Connection)(オランダ→アメリカ)

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://www.concertinaconnection.com/clover%20anglo.htm

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2012/12/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。キットで購入して組み立てました。

・中位モデルにしては、とてもレスポンスの良い楽器です。

・この楽器も、私のお勧めです。

 

9 A P James

【リード】アコーディオン・リード

【ホームページ】http://www.apjmusic.co.uk/

・弾いたことはありませんが、なかなか良さそうです。

 

10 Connor(イギリス)

【リード】コンサーティーナ・リード

・少しだけ弾いたことがあります。

・Barleycorn Concertinas (Chris Algar)と協同して製作しているモデルです。

・アンティーク楽器のリードを使用しています。

・「上位モデル」のConnorよりはレスポンスが劣ると思います。

 

11 Phoenix(アメリカ)

【リード】コンサーティーナ・リード

・少しだけ弾いたことがあります。

Concertina ConnectionがBarleycorn Concertinas (Chris Algar)と協同して製作しているモデルです。

・「上位モデル」並みとはいきませんが、なかなかレスポンスの良い楽器です。

 

12 Crabb(戦後)(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2015/05/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・楽器のレスポンスはLachenalに近いと思います。

・「上位モデル」に挙げた戦前のCrabbよりは品質が劣ると思います。

 

13 Wheatstone(戦後)(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード(但し、伝統的な形状とは異なる楽器もある…)

・「上位モデル」に挙げた戦前のWheatstoneよりも品質が劣ると言われております。

・楽器によって、リードやリード・シューの材質や形状が違うので、品質にばらつきがあると思います。

・よく中古で出回っており、比較的低価格です。

・評判は、あまり良くありません。ただ、昔、1台だけ弾かせていただいたことがあるのですが、その楽器は反応がなかなか良かったです。

 

14 Lachenal(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・世界的に数多くの楽器が出回っており、日本でも弾いている人が多いと思います。

・エンドのデザインが単純な楽器は品質が低い傾向があるようです。

・楽器のレスポンスはそこそこですが、個人的には音色が好きです。

・Lachenalについては、別途、記事を書いておりますのでご参照下さい。

 ⇒ http://irish.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/lachenal-b485.html

 

15 Jones(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

・品質はLachenalに近いようです。

・音が柔らかいとの評判ですので、音量は小さめかもしれません。

 

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<上位モデル>

Dipper_1 Suttner_concertina_1 Wakker_concertina_1 Jeffries_concertina_1

 

中位モデルでも、十分一生モノだと思いますが、アイルランド音楽のセッションにはまっていくと、やはりこのクラスの楽器が欲しくなると思います。アイルランド音楽の名前の知れたコンサーティーナ奏者は、凡そこのクラスの楽器を使用していると思います。

このクラスは、すべて「コンサーティーナ・リード」の楽器で、製作に手間がかかるので、どうしても高額になってしまいます。新品の楽器の場合、メーカーにもよりますが、レスポンスの良い楽器は注文してから何年も待つことになると思います。

アンティークの楽器の場合、同じメーカーでも楽器の当たり外れがあるので注意が必要です。また、高額になるので、楽器の状況によっては返品することも必要かもしれませんね。

 

1 Dipper(イギリス)

【リード】コンサーティーナ・リード

【(息子さんの)ホームページ】http://johndipper.co.uk/

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2012/12/anglo-concert-1.html

・弾いたことがあります。

・楽器のレスポンスが非常に素晴らしいです。他の上位モデルと比べても別格です。

・たまに中古品が売りに出ていますが、やはり高いです。

・音色については、かみさんも私もアンティークのJeffriesの方が好みです。

 

2 Connor(イギリス)

【リード】コンサーティーナ・リード

・少し弾いたことがあります。

・製作された時期によって、リードの品質が異なるようなので、購入の際には注意が必要です。(最近製作された楽器は、リードの品質があまりよくなさそう…)

 

3 Wakker(Concertina Connection)(オランダ→アメリカ)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】http://www.wakker-concertinas.com/anglo%20overview.htm

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concert-4.html

・弾いたことがあります。

・楽器のレスポンスが良く、特に低音のレスポンスが良いです。

・他のメーカーに比べて、外観の仕上げが素晴らしいです(丁寧で美しいです)。

 

4 Carroll(アメリカ)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】http://www.carrollconcertinas.com/index.html

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2018/06/anglo-concertin.html

・比較的最近できたメーカーです。

・注文していた楽器が2018年に届きました。

・レスポンスは、Dipperには敵いませんが、SuttnerWakkerよりも速いと思います。

・高音の音色が少しきつく感じますが、弾いているうちに落ち着くと思います。

 

5 Edgley(カナダ)

【リード】コンサーティーナ・リード(但し、伝統的な形状とは異なる)

【ホームページ】http://www.concertinas.ca/heritage.html

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2015/09/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・日本にも何台か入ってきていると思います。

Edgley氏がコンサーティーナ・リードの楽器を作り始めたのは、比較的最近です。

・リードはリード・フレームに「リベット」で留められています(通常は「クランプ」で留める)。

DipperJeffriesと比べると弾き心地が劣りますが、Suttnerと同レベル程度の良い楽器だと思います。

Suttnerとの比較では、Suttnerの方が少し音色が明るいと思います。また、Edgleyの方が低音のレスポンスが良いですが、その分音量が控え目だと思います。

・エンド・フレームの幅がちょっと広め(厚め)ですが、慣れれば気にならないと思います。

 

6 Suttner(ドイツ)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】http://suttnerconcertinas.com/

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concert-5.html

・弾いたことがあります。

・高音のレスポンスはかなり良いです。低音のレスポンスが今一つでした。

・高音の音色は華やかで存在感があり、アイルランド音楽に適していると思います。

・優しく「そっと」弾くというよりは、力を込めて「がしがし」弾く楽器だと思います。

・アイルランドでも弾いている人が多いと思います。

 

7 Kensington(アメリカ)

【リード】コンサーティーナ・リード(但し、伝統的な形状とは多少異なります)

【ホームページ】http://www.kensingtonconcertinas.com/

・評判からすると、コスト・パフォーマンスは高そうです。

 

8 Chris Ghent(オーストラリア)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】https://chrisghentconcertinas.au/index.html

 

9 Thomas Concertinas(アメリカ)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】http://www.thomasconcertinas.com/

・最近のメーカーだと思います。

 

10 Wheatstone(イギリス)

【リード】コンサーティーナ・リード

【ホームページ】http://www.wheatstone.co.uk/wheatstone/concertinas/anglo.htm

・かなり良さそうですが、最近はあまり評判を聞きません…

 

11 Jose Claro(アイルランド)

【リード】コンサーティーナ・リード

【関連ページ】http://www.concertina.net/forums/index.php?showtopic=17607

・最近、Custy'sでも取り扱いがあるようです。

・受注に応じて特殊な仕様でも作るようです。

 

12 7Mount Concertinas(ドイツ)

【リード】コンサーティーナ・リード(但し、伝統的な形状とは異なるようです)

【ホームページ】http://sevenmount.de/

 

13 Kookaburra Concertinas(Richard Evans)(オーストラリア)

【リード】コンサーティーナ・リード

 

14 Jeffries(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2012/04/anglo-concertin.html

・弾いたことがあります。

・いろいろな時期のものがあります(エンドのマークを見て判断します)。

 詳細 ⇒ http://irish.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post.html

・同時期の楽器でも当たり外れがあるようです。

・当たりの楽器は、レスポンスも音色も素晴らしいです。

 

15 Crabb(戦前)(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concert-1.html

・弾いたことがあります。

Jeffries以上に品質にばらつきがあるようです。

・一般的にはJeffriesより品質が劣ると言われているようですが、良いJeffriesに匹敵するものもあります。

 

16 Shakespeare(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

Crabbに近い品質のようです。

 

17 Wheatstone(戦前)(アンティーク)

【リード】コンサーティーナ・リード

【一例(写真)】http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/2011/02/anglo-concert-2.html

・弾いたことがあります。

・楽器のレスポンスは、「上位モデル」としてはそれほど良くないでしょうか…

 

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<更に詳しく調べたい方>

Chris Timsonさんの文章をT.Yagiさんが訳されているページが非常に参考になりますので、ぜひご覧ください!

http://concertina.music.coocan.jp/faq/index.html

 

アンティーク楽器の入手ルートはいろいろとありますが、私達は大抵、Chris Algar氏(Barleycorn Concertinas)にお世話になっていました。

https://concertina.co.uk/

 

(2020.10追記)

「ケルトの笛屋さん」で入門モデルと中位モデルを取り扱っておりますので、遅ればせながらリンクを貼っておきます。

https://celtnofue.com/store/concertina.html

 

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<修理について>

Bush11 Edgley_actions Reed_1 Tuning_bellows1

コンサーティーナに不具合が生じた場合、基本的には自分で修理をすることになります。「入門レベル」の楽器を日本の楽器店で購入された方は、そのお店が修理対応してくれるかもしれません。また、「アコーディオン・リード」の楽器であれば、もしかしたら、対応してくれるアコーディオンの修理屋さんがあるかもしれません。

「コンサーティーナ・リード」の楽器は、日本で対応してくれそうな修理屋さんは、名古屋市の「モンテ アコーディオン」さんぐらいしか知りません。先日、Suttnerのメンテナンスをお願いしましたが、こちらからの質問にも詳しく答えていただき、安心して任せることができました(2023.8追記)。お店のブログに修理の様子が少し載っています。

http://accordion.asablo.jp/blog/2009/11/07/4705001

私自身、所有しているコンサーティーナの修理をよくするのですが、「アコーディオン・リード」の楽器の修理よりも、「コンサーティーナ・リード」の楽器の修理の方が慣れています。チューニングも、時々ですがやっております。

アコーディオン・リード

Tuning_l_1 Tuning_l_2 Tuning_r_1 Tuning_r_3

コンサーティーナ・リード

Reed1 Before_2 Repair3 Spare_reeds1

修理部品(パーツ)は、大抵はイギリスのConcertina Sparesで購入しています。

Parts1

また、修理の仕方は、David D. Elliott氏の「The Concertina Maintenance Manual」を参考にしています。

 

コンサーティーナの修理は手間がかかりますが、やってみると結構面白いです。不具合が発生した時に勇気を持ってエンドを開けてみると、意外と世界が広がるかもしれませんよ!

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