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読みました(洋書/社会) ~ ALL JOY AND NO FUN

アメリカのAmazonで売れているようで、面白そうだったので読んでみました。子育てが親(の人生)に与える影響について書かれた本です。

各章の概要は次のとおりです。

Chapter 1 : autonomy

今日の親たちは、子供の頃から「自主性」や「自己実現」を何よりも重んじるように言われてきた。しかしながら、子育てが始まった途端に、日々、子供の予期・予測のできない行動への対応に忙殺されて自由な時間がなくなり、「自主性」を保ったり、「自己実現」を実感するのが非常に難しくなってしまう。その結果「こんなはずではなかった…」と不満、苛立ちを募らせてしまうのである。

Chapter 2 : marriage

それまで上手くいっていた結婚生活も、子育てが始まると、激増した家事・育児の分担、方針等をめぐって夫婦間で意見の食い違いが生じ、軋轢(ストレス)が増えてくる。また、子育てに忙殺される結果、それまで培った社会的な(外部との)つながりが失われてしまうことが多く、そのことも結婚生活の軋轢(ストレス)を悪化させる原因となっている。

Chapter 3 : simple gifts

小さい子供と一緒にいると、一緒に水遊びに没頭したり、大声で歌ったりして、大人の常識(決まりきったやり方)から開放される瞬間がある。また、一緒に砂山を作ったり、ケーキを焼いたり、ボール投げをしたりして、普段なかなかできない身体的な活動をする機会もできる。

Chapter 4 : concerted cultivation

第二次世界大戦後、親に対する社会的なプレッシャー、要求が強まった。生活費の増大、仕事との両立、子供の安全に対する不安、そして何よりも、子供が「働き手」ではなく「庇護される対象」とみなされるようになったことが、大きな背景となっている。そのような前例のない状況の中で、親たちはストレスを感じながら、手探りで子育てをしている。

Chapter 5 : adolescence

今日、親は、青年期まで子供を庇護し、幸福な人生を送れるように手引きすることが要求されるようになった。しかしながら、青年期の子供は自立を求めるものであり、それ故に親に激しく反発し、親から離れていくのが普通である。そのような相反する状況の中、親たちは当惑し、心を痛めるている。特に、それまで子育て以外の活動(仕事、趣味等)に取組んでいなかった親ほど、より心を痛めている。

Chapter 6 : joy

今日の親たちは、上記のように、前の世代とはまた違った意味で、ストレスを感じ、悩み、戸惑い、大きな代償を払いながら子育てをしている。しかしながら、その親たちが自分の子育てを振り返った時に、「子供が自分を幸せにしてくれた」と感じているのも、また事実である。子育てをすることにより、今まで関わることのなかった世界・人々と関わり(つながり)を持てて、人生が広がることもある。そして何よりも、子供の予測を超えた成長を見守ること、(喧嘩、反発等しながらも)子供と深いつながりを感じられることに、悦びを感じているのである。

かなり意訳、簡略化していますが、凡その流れは上記のとおりだと思います。

親になって十年程度経ちましたが、妻も私も、言うことを聞かない子供に苛々したり、怒鳴ったりすることは日常茶飯事です。また、特に妻は、毎日毎日子育てで忙しく、自由な時間も殆ど取れず、やりたいことも殆どできていないと思います。その一方で、やはり子供がいると楽しいですし、子供がいて良かったなぁ…と私共は感じています。

この本では、上記のような一見相反する感情・気持ちの理由(わけ)が、ある程度納得できる形で示されていると感じました。この本は、親・夫としての自分自身の感情を理解・整理する上で役に立つと思いますし、そうして感情を理解・整理することで、より楽しく家族と暮らしていけるのではないかと思っております。

「他の人と共に苦労した出来事は、(その時は一杯一杯で楽しいとは到底思えないだろうが、)後々、本当に良い思い出になる」といったようなことがよく言われますが、子育てはその最たるものではないかと思いました。二十年近くに渡って、予測・予想がつかない様々な出来事を、家族で苦労して、時には周りの人々をも巻き込みながら乗り越えていくのであり、その大変さたるや、会社の仕事よりもすごいのではないかと思いました。そんなことを、この本を読みながら感じていました…

一般的に、子育てが「子供」に与える影響というのは常に議論されており、それに関する本も非常に沢山出版されていますが、子育てが「親」に与える影響というのは、議論される機会が比較的少ないと思いますし、それに関する本も少ないかと思います。そういう意味でも、この本は読む価値があるのではないでしょうか。

内容としても、抽象的な議論ではなく、親たちの生の声が沢山引用されているので、共感できる箇所が沢山あり、比較的読みやすかったです(少し単語が難しかったですが)。子育て中の方はもちろん、これから子育てをすることになる方、子育てが一段落した方にもお勧めできる本だと思います。

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