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読みました(洋書/社会問題) ~ A PATH APPEARS

3年前に、前作の"HALF THE SKY"を読んで感銘を受けたので、本作も、発売前から読むのを楽しみにしておりました。

前作では、アジア、アフリカ等での女性のおかれている過酷な現実が取り上げられておりましたが、本作では、前作よりも広い視点から、世界各国での貧困がもたらす諸問題が取り上げ られております。世界の貧困問題とそれに対する取組み(支援・援助)の現状を理解し、今後の取組みのあり方を広い視点で考える際に、とても役に立つ本だと思います。

"PART ONE"では、「今は貧しい状況におかれていても、機会さえ与えられれば素晴らしい能力を発揮する人は沢山いる」との著者の信念の下、その機会を与える(広げる)様々な取組みにつ いて、具体例を沢山交えながら述べています。

特に本書では、貧しい家庭の子供に対して、幼い頃から積極的に介入し、支援・援助することの重要性を強調しています。この点については、 著者は4章にも亘って述べています(第4章~第7章)。

具体的な取組み事例には、

・子供の障害を早期に発見して、治療が容易なうちに治療を行う取組み

・子供に必要な栄養素をタブレット等で与えて、子供の体・脳の適切な発達を促す取組み

・母親に本を配 って、読み聞かせの大切さを教え、推奨し、子供の語彙力を高める取組み

・教育プログラム(チェスに取組ませるのもその一つ)を通じて、子供に気概、熱意、自制心、自信、希望などを植え付ける取組み

などなど、本当に多種多様な事例があります。そして、著者は、できるだけ早い時期から子供・母親を援助・支援することが、貧困の連鎖を断ち切るには一番効果的である(費用対効果が高い)と結論づけています。

"PART TWO"では、既存の支援・援助の方法をより効果的なものに改善していく取組みについて、具体例を沢山交えながら述べています。

そのためには、これまで支援団体が積極的にやってこなかった新たな取組みを行うこと、例えば…

・能力に見合った報酬を支払って優秀な人材を採用し、マーケティングをより大規模・効果的に行ったり、組織作りをより効率的に行うこと

・支援・援助の効果・結果をシビアに検証し、失敗があればそれを公表 ・説明し、そこから学んで支援・援助方法を改善していくこと

などの必要性を強調しています。そのような新たな取組みにより、結果的によりインパクトのある支援・援助ができるようになる、より多くの人を助けることができると述べています。

また、これまでの支援・援助は非営利団体が中心でしたが、支援・援助の内容によっては、営利団体として利益を上げながら支援・援助を行った方が、より永続的でインパクトのある支援 ・援助をすることができると主張しています。

更には、ダノン(Danone)、ユニリーバ(Unilever)等の例を挙げながら、大きな会社が貧困問題に取り組むことにより、非常に大きなインパクトのある支援・援助が可能になるとして、非営利団体と大きな会社が貧困問題に共闘して取組むことを促しています。

"PART THREE"では、個々人が支援・援助を実践することにより、支援・援助を受ける側が助けられる(貧困から抜け出す機会を与えられる)だけでなく、支援・援助する側自身も大きな利益を受けることになる(より幸福を感じ、心理的にも身体的にもより健康になり、結果的に充実した人生を送れるようになる)と、様々な調査結果を交えつつ主張・指摘しています。

そして、ソーシャルメディア等の効果的な手段を使って、「支援・援助したい人たち」と「支援・援助を必要とする人たち」とをとつなぐ取り組み、また、「支援・援助したい人たち」同士をつなぐ取組みを紹介しつつ、読者が支援・援助の為に一歩踏み出すことを後押しして、本書を締めくくっています。前作と同じく、具体的にどのようなことをしたらよいか、いくつもの実践的な方法を提示して、読者が自分にあった支援・援助方法を探して行動を起こすことを、積極的に促しています。

前作"HALF THE SKY"は、正直、内容に圧倒されて、読んでいて辛くなる場面もありました。一方、本作は、厳しい現実が述べられてはいますが、前作よりも沢山、効果を挙げている(希望の持てる)取組みが紹介されており、前作よりも読みやすく、多くの人にお勧めできる内容になっていると思います。

私は、前作を読んでプラン・ジャパンのスポンサーになったのですが、最近は、支援先に手紙を書いたりしていないので、本作を読んだの機に、もう少し積極的に取組んでいきたいと思いました。

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ここからは、アマゾンのレビューには書いていない内容です。

本書では、私が今までに読んだ洋書で述べられていた、素晴らしいと思う取組みが、いくつも取り上げられています。例えば…

"The Blue Sweater"で述べられているJacqueline Novogratz氏の取組み

"Creating a World Without Poverty"で述べられているMuhammad Yunus氏の取組み

"Leaving Microsoft to Change the World"で述べら れているRoom to Readの取組み

"Leaders Eat Last"で少し紹介されているcharity: waterの取組み

そして中でも、

"How Children Succeed"を読んで感銘を受けた「KIPP」や「IS318」の取組み

が取上げられていたのが、とても嬉しか ったです。

私にとっては、本書には「今までに読んできた本のまとめ」といった側面もあり、なかなか興味深く読むことができました。

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